Bコープ企業数が日本越えの台湾は「サステナブランドの宝庫」だった。漁網メガネ、分解できる植物性なめしの革バッグなど

TAIPEIcorners

撮影:荒幡温子

7月19日〜21日まで、東京ビッグサイトで開かれた「ライフスタイルWeek」。

雑貨・ファッション・ビューティーアイテムなど日本のみならず、世界中のバイヤー向けに開かれた見本市だ。

出展者も、多様な国や地域の企業が名を連ねる。中でも、ひときわ盛り上がりを見せていたのが、台北市文化創意産業支援プロジェクト「台北創意生活館(TAIPEI corners)」のブースだ。

実は台湾はサステナビリティの国際基準「B Corporation(B Corp)」を取得している企業が多いことでも知られる。2023年7月時点で、日本の取得企業は30社なのに対し、台湾は44社にものぼる。

そんなサステナ先進国の台湾で生まれたブランドを3つ厳選した。用の美を兼ね備えたアイテムの数々は、どれも日本の上陸が待ち遠しいものばかりだ。

台湾で最初のBコープスキンケアブランド

GREENVINESロゴ

撮影:荒幡温子

GREENVINES(緑藤生機)は、台湾においては3番目、スキンケアブランドとしては初めてB Corp認証を取得したブランドだ。

台湾国内でも展開している百貨店の三越や、日本にも上陸中のセレクトショップ「誠品生活」に直営店を持ち、クリーンビューティーブランドとしての地位を確立している。

成分は100%天然由来、有害と問題視されている2400種類以上の物質を排除した製品づくりにこだわり、リサイクル可能なボトルやパッケージは回収サービスを実施している。

提案するスキンケアのプロセスもシンプルで、展開するのはセラム(美容液)と、オイルの2ステップのみだ。

「KNOW MORE ルミノシティセラム」は、2010年の創業当時から研究開発を進める、抗酸化植物「ブロッコリースプラウト」から抽出した美容液。自然な保湿と潤いを与え、乾燥やくすみを防いでくれるという。

「KNOW MORE アブソリュートモリンガオイル」は、モリンガオイルを100%を使用しており、高オレイン酸による保湿と鎮静で乾燥を防いでくれるという美容液だ。

さらに、雇用面でのサステナビリティにも注目したい。

原材料のモリンガは、創業者がMIT留学時に出会った友人の会社「MoringaConnect」を通じて、ガーナの契約農家からフェアトレードで買い取られ、ガーナ国内でコールドプレス技術によって加工されている。

このエコシステムを通じて、ガーナの小規模農家 5000 世帯以上の貧困脱却を支援し、彼らの収入を平均 10 倍に増加させたという。

グローバルブランドディレクターのGraceさんは、

「サステナビリティという言葉が流行るずっと前から、私たちは積極的にメッセージを発信してきました。日本の皆さんにも、早く手に取っていただけるように、現在はパートナーを探している段階です」

と語る。

漁網からできた100%リサイクルアイウェア

Hibangペレット

撮影:荒幡温子

廃棄された漁網をはじめとする海洋廃棄物が海をただよい続け、魚やウミガメ、海鳥などに絡まり命を奪う「ゴーストギア」。WWFでは、年間推定50万トン〜100万トンの漁具が海に流れ出ていると警告する。

近年ではゴーストギアの注目度も高まり、漁網はあらゆる人や企業が注目するアップサイクルアイテムの一つだ。台湾発の「Hibāng」では、アイウェアというアプローチで挑む。

Hibangのスタートは、アイウェアブランドではなく、デザイン会社。もともとデザイナーだったという代表のOceanさんは、友人と共同で2年間の開発期間を経て、循環型のコンセプトを考案し、2021年にローンチした。

2023年には世界3大デザイン賞の一つである、iFデザイン賞を受賞している。

ブランドのアイウェアは、ケースから本体まで、素材の100%が漁網をペレットにしてできたリサイクルプラスチックを使用している。そのためか、着用してみると通常のアイウェアと比べて、つけ心地の軽さが印象的だった。

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撮影:荒幡温子

代表のOceanさんのイチオシは、2023年から発売となる「取り外し可能」なタイプだ。

「メガネあるある」と言えば、ツル部分がポキッと折れてしまうこと。そんな苦い経験も、分解可能であれば、破損した部分だけを交換することができて、無駄がない。

「一部分しか壊れていないのに、捨ててしまうのはもったいないと思って。だったら分解可能にすればいいのだと思いついたんです(Oceanさん)」

撮影:荒幡温子

現在販売中のアイテムは、分解できないモデルだ。しかし、同ブランドでは割引交換プログラムを実施しており、使われなくなったアイウェアもまた新たなアイウェアへと生まれ変わる。

1枚布のバッグやウォレット。特許技術を取得する革ブランド

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撮影:荒幡温子

台湾の革ブランド「Studio Smoll」は、「自分で組み立てる」ことをコンセプトにスタートしたブランドだ。 2020年にiFデザイン賞を受賞、他にも東京やニューヨークで数々のデザイン賞を受賞している。

スタッフのMomoさんは、「台湾以外にも、海外の購入者も多い」と話す。

革製品と聞くと、それを取り巻く劣悪な労働環境や環境破壊の側面を想起する人もいるだろう。しかし、このブランドの製品は、通常皮をなめす工程で使われる、短時間で浸透できる「クローム」という化合物ではなく、環境と人体にも優しい「植物タンニン」を使用している。

「創業当時から、自然にも体にもいいものを届けたいという思いがあって。なので、植物タンニンでなめす工程は特にこだわっている部分です(Momoさん)」

紐部分などのアクセサリーを除き、基本的には1枚の布で構成されている。そのため、誰でも簡単に製作できるだけでなく、接着剤を使用していないため、分解も可能だ。破損したパーツだけを買い換えるだけなので、修理も容易で、長く愛用することができる。

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撮影:荒幡温子

縫製や接着剤の使用なしに、1枚布でバッグができあがる理由。それは、このノッチ構造にある。日本やアメリカやヨーロッパなどでも特許を取得している技術だという。

台湾のブースでは、他にも見た目以上の機能を持ち合わせたアイテムがたくさん並んでいた。まだ手軽に買えるというわけではないものの、現在は3ブランド全て、アジアの雑貨やアパレルブランドを中心に取り扱う「Pinkoi」で購入できる。

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