ジェフリーズのリチャード・ハンドラーCEO。
Jefferies
投資銀行ジェフリーズ(Jefferies)のCEOリチャード・ハンドラー(Richard Handler)は、より強いライバルが自分の銀行を憎み始めたときに、自分が正しいことをしていると分かると言う。
ハンドラーはInstagram(インスタグラム)上の投稿で、1990年にジェフリーズのCEOになる前に知っておきたかった100のことを紹介している。その中には、自分を嫌う人、特に大手の競合他社が悪口を言ってくるときは、その相手を受け入れるべきだという若きハンドラー自身への助言も含まれている。
憎しみを受け入れる
「大手の競合他社は機会さえあればあなたを誹謗中傷し、軽んじるだろう。これはつまり、あなたが本当に正しいことをしているということだ」(ハンドラーの投稿、ヒントNo.68)
それに続いて、彼は自らのバルジブラケット(巨大投資銀行の意)のライバルたちをこう皮肉っている。
「特に、大手の競合他社があなたの会社を侮辱しているときに、その会社の優秀な人材をどんどん採用するのは愉快なことだ」
もちろん、ハンドラーは助言の中で、憎しみを受け入れることは往々にして「言うは易く行うは難し」であることも認めている。
「誰が何を言ってこようとも、それは個人的なことだ。それで問題ないし、そうあるべきだ」(ヒントNo.51)
ハンドラーはInsiderの取材に対してEメールで回答を寄せ、物事を個人的に捉えることについて次のように詳しく説明している。
「私や私の社員と同じくらい物事を気にかけていると、腹を立てずにいるのは難しいものです。
そういうとき私は、自分たちが信じる何かを達成するために本当に苦労して働いていること、とやかく言ってくる人はたいてい不幸な人で、自分が誇れる使命も持っていないんだと考えるようにしています。そう考えるうちに、最終的には落ち込むことなく、多少モチベーションが湧いてくるんです。
こうじゃなければよかったとは思っても、世の中は複雑です。それでも、文句は言いません。私は私でいたいし、私たちの会社は私たちの会社のままがいいですから」
間違いを気に病むより成長に目を向ける
ハンドラーは、ウォール街の経営者の中でも特に熱心なSNSユーザーだ。例えば彼のInstagramでは、ジェフリーズのイベントや証券サミットに関する投稿以上に、家族とビーチにいる写真や、セレーナ・ゴメスとともにプーマの広告に合成されたおふざけ写真、カイリー・ジェンナーやトラヴィス・スコットとコートサイドに座っている写真を投稿している。
ハンドラーは自分のSNSコンテンツはすべて自分で投稿しているそうだ。メールでの回答にこう書いている。
「自分でSNSを管理しているのかとよく尋ねられますが、良くも悪くも答えはイエス。ほとんど時間がかからないのはおそらくずさんな性格のせいでしょうが、私にとっては形式より中身のほうが重要ですから。
私生活の一端を共有することで、私たちが何をいいと思い、私たちが何者であるのかを知ってもらうことができます」(ハンドラー)
ハンドラーは世界的な投資銀行ジェフリーズに33年以上にわたって在籍し、うち23年間はCEOを務めてきた。彼がCEOに就任したのは39歳のときだったが、当時ジェフリーズはほとんどリスクのない現物株取引専門の会社で、年間の純利益は約700万ドル(約9億8000万円、1ドル=140円換算)だったとハンドラーは振り返る。今では世界に40以上のオフィスを構え、従業員は約5300人で貸借対照表の資産は600億ドル(8兆4000億円)近くになっている。
その間には多くの間違いを犯してきたと、ハンドラーはInstagramの投稿に書いている。Insiderが詳細を尋ねたところ、ハンドラーの回答はこうだった。
「少数ながら間違った人材を採用したこと、やらなければよかったと思うディールに手を出したこと、文化的・戦略的に優先順位を誤ったこと、偽物の長続きしない攻撃に対処したことなどなど、その手の本に書かれていそうな、ありとあらゆる間違いをきれいにそのまま犯してきましたよ」
だが間違いを気に病むのではなく、全体的な成長を考えるべきだとハンドラーは言う。
「完璧なものなどないし、いつでも改善の余地があるものです。自分の周囲に正しいパートナーがいて、一緒に正しい文化をつくり上げ、正しい優先事項(社員と顧客)に集中し、財務基盤を保護していれば、ゆくゆくはとてもスペシャルな会社作りに、あなたも一役買うことができるものです」