信頼できない「金融機関職員」の5つの特徴と対応策。不適切営業のカモにならないために

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金融機関の職員であっても、不正営業に手を染めてしまう事案は後を絶たない。

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  • 金融機関の職員から自分に合わない金融商品の提案を受け、購入後に想定外の損失を被る事案が、昔から後を絶たない。
  • 金融機関の職員からの提案内容を見極めるのに必要な観点は5つある。
  • いずれにしても、他人からアドバイスを受けても、最終的には自己責任で判断するべきだ。

住宅ローン選定や資産相続のときなど、人生の大きな節目において、金融機関の担当者は心強い存在だ。しかしそれが一転、資産形成の妨げとなることもある。

証券取引等監視委員会は6月9日、「千葉銀行」と子会社の「ちばぎん証券」、それに「武蔵野銀行」の3社に対して行政処分を行うよう金融庁に勧告した。仕組み債のリスクを十分に説明せずに顧客へ販売し、トラブルが相次いだからだ

筆者は証券会社のコンプライアンス部門出身である。不正な金融商品販売を未然に防止するための制度立案や金融商品販売状況のモニタリングに長年従事してきた。

その経験からすると、たとえ身元の確かな金融機関であっても、販売に力を入れるあまり、不適切な金融商品販売が社会問題になることがある。金融機関にとって金融商品販売による手数料収入は、重要な収入源の1つだからだ。実際、かんぽ生命の不適切契約問題なども、まだ記憶に新しい。

不適切商品を見極める力が必要

一般消費者が、このような事態を回避するには、その金融商品の提案が本当に自分に合ったものかどうか見極める力を養う必要となる。

例えば住宅ローンを申し込む際に、金融機関の担当者と接する人は多いだろう。それをきっかけに、別の営業職員から金融商品の提案を受けるかもしれない。

また、両親に金融機関の担当者がついているケースも考えられる。その場合、両親が不適切な金融商品を購入しないように気を配っておくほうが良いだろう。さらに、両親の資産状況によって相続が発生した場合、急遽あなた自身が金融機関の担当者と密にやり取りする可能性もある。

これらの際に慌てないように、普段から金融機関の担当者と接するときのポイントを理解しておきたい。彼らの提案内容を見極める5つの着眼点について解説する。

1. 月末にしか連絡をよこさない

月末に金融機関の担当者から金融商品の勧誘を受けた場合は特に注意が必要だ。なぜならば、月末は金融商品販売のノルマ達成のプレッシャーが重くのしかかる時期であり、無理な営業行為が行われがちだからだ。

データで見ると、月末、特に四半期末に金融商品販売が急増する傾向があり、金融庁も金融機関に苦言を呈している。また筆者の実務経験からも、月末の金融商品販売は顧客のために販売した金融商品なのか確認を要する取引が比較的多い。 この時期に金融商品の勧誘を受けた際は、それが本当に自分のことを考えた上での提案かどうか慎重に見極める必要がある。

対応策:月末以外に連絡がない場合、「いまは忙しいから」と月をまたいで改めて連絡をよこすよう伝えると良いかもしれない。こうした対応が続けば、脈がないと感じるだろう。

また、連絡が来ても常にセールスの話しかされない場合、普段のニュースで話題になっている経済トピックについて質問攻めにするという手もある。ノルマ達成に向けて時間がないなか、余計な話題には付き合いたくないはずだ。これは、担当者の雰囲気や口調をから焦りを感じる場合にも有効と思われる。

2. 都合のいい情報しか言わない

金融商品のリスクとリターンは比例する。ローリスク・ハイリターンの金融商品は存在しない。だからこそ、勧誘の際はリスクについても説明があるかどうか、しっかり確認しておきたい。

特に注意が必要なのが、仕組みが複雑な金融商品である。なぜなら、仕組みが複雑な金融商品はリスクが見えにくいと同時に、ハイリスク・ハイリターンなタイプが多いからだ。金融商品の不適切販売に共通するのは、ハイリスクなのにそれがあたかも低リスク商品であるかのように顧客に説明する販売である。前述の仕組み債もこの点が問題視されている。

対応策:金融商品のリターンの説明に比べてリスクの説明が極端に少ない場合、そこをあえて掘り下げることは重要だ。誠実な担当者なら適切に説明してくれるはずなので、ここは根負けしてはいけない。

また、「リスクは低いがリターンが大きい」と説得してくる者もいるだろう。そのような金融商品は絶対にあり得ないので、これはよりたちの悪い担当者だ。心を鬼にして早々に会話を断ち切ることが肝要だろう。

質問する間を与えてくれなかったり、商品性を十分に理解しているかを確認してくれなかった場合も要注意だ。その場を一旦切り上げ、まずはより詳しい第三者の意見を求めるようにした方がいい。

3. 他の商品との比較をしない

金融商品には多種多様なものがある。金融商品の勧誘があれば、なぜ数ある金融商品の中で、今回の金融商品を提案しているのかに注目して、担当者の話を聞くようにしたい。こういった比較説明がない場合、顧客に比較されると販売する上で不都合なことがある可能性がある。

対応策:まずは、異種間の金融商品との比較をしてもらおう。例えば貯蓄型保険商品の勧誘の場合、「投資信託などの金融商品ではなく、なぜ保険なのか?」を説明してもらうのだ。

さらに、同種間の金融商品との比較も重要だ。同じく貯蓄型保険商品の勧誘の場合、「たくさんある貯蓄型保険の中で、なぜ当該保険を勧誘しているのか?」と、説明を求めると良い。

4. 不安を煽ったり検討する時間を作らせない

資産形成を目的は、「将来困らないように」というのが大半だろう。しかし、それに付け込み、将来の不安を煽るような担当者であれば、金融商品の販売のために顧客の心理をコントロールしようとしている可能性がある。

そのようなセールス話法があった際には、販売手法のテクニックの一種だと考え、気持ちの落ち着いた状態で内容を再確認した方が良い。また今すぐ購入を促す担当者であれば、それはノルマ達成のための勧誘である可能性が高いと思われる。

対応策:こういう担当者の場合、一刻も早く会話を断ち切ることが大切だ。そのためには、「損をして得を得る」精神を常日頃、意識しておくことが良いかもしれない。一時の感情に押し流されてしまう前に、ひと呼吸つくことが重要だからだ。落ち着いた場所で、その件についてネット検索するだけでも、実情を得られる場合も多い。

5. 知識不足もしくは自身の相場観を持っていない

金融機関が金融商品を販売するときには、販売用の資料やスクリプトが用意されている場合が多い。その内容を覚えるだけでもいくらかの商品説明になり得るからだ。そのため、よく確認すると知識が十分ではないまま、商品を勧誘しているケースがないとはいえない。

また、担当者の相場観も聞いてみたい。聞いてみることで担当者の知識レベルを確認でき、担当者自身が本当にいい商品だと思って当該商品を勧めているかどうかもチェックできる。

対応策:説明の際に資料の内容を棒読みしていないか、説明が十分に理解できる内容になっているかをチェックするだけでも全然違う。説明された以外の事項を質問するとしどろもどろになるようなら見送ったほうが良い。

例えば米国株投信の勧誘の場合、米国の今後の政治・経済動向や今後のダウ平均の予想レンジなどについて、担当者自身の見解を訊いてみよう。スムーズに回答が返ってこない なら、精通していないと認識できる。

担当者の相場観と提案商品に整合性がないのも要注意だ。米国株投信の勧誘なのに、担当者自身が米国の先行きが明るいと思っていないのなら、単にやらされ仕事だと受け取っていい。

まとめ

金融機関の担当者から金融商品の勧誘を受けたら、その担当者なぜその商品を勧誘するのか、また十分に説明できるか、そして顧客との接し方に問題がないかどうか、幅広い観点で見ていく必要がある。

お金の問題を解決する際に人からアドバイスを受けたとしても、それを鵜呑みにしていいものではない。投資は自己責任で行うものだ。自分の人生に責任を取れるのは自分だけである。この点を肝に命じて、金融商品の勧誘を受けた際は、ぜひ上記の観点でチェックしていただきたい。

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