出社率たった“4割”のリクルート、東京駅直結の本社を増床・リニューアルした「勝算」

新しくなった社食で昼食を食べるリクルートの社員ら。

新しくなった社食で昼食を食べるリクルートの社員ら。

撮影:横山耕太郎

リクルートが東京駅直結の本社オフィスを増床し改修し8月3日、報道陣に公開した。

執務フロアはよりチームで話がしやすい配置にレイアウトを変更したほか、各フロアに自由に利用できるスペースを設置するなどし、社員同士のコミュニケーションの促進を狙うという。

リモートワークから出社に切り替える企業も多い中、実はリクルートは「理由・回数を問わないリモートワーク制度」を全社で導入している。

それでも今回、大規模なオフィス改修に踏み切った。なぜなのか?

リクルート本社

リクルートが本社を置く、グラントウキョウサウスタワー。

撮影:横山耕太郎

「ジェラートが売り」のカフェも開設

リクルート・ワークプレイス統括室長の佐野敦司氏

新オフィスについて説明するリクルート・ワークプレイス統括室長の佐野敦司氏。

撮影:横山耕太郎

リクルートとしてはオフィスに回帰させたいという意図は、今の段階ではありません。自律的にワークプレイス(働く場所)を選択するという形を今後も継続していく」

2023年8月3日、報道陣への新オフィスのお披露目イベントで登壇したリクルート・ワークプレイス統括室長の佐野敦司氏はそう言い切った。

リクルート本社は、東京駅直結のグラントウキョウサウスタワーの21階〜41階の計21フロアに入居している。

今回の改装で契約フロアは2フロア増やし、社食を一新。従来より開放感のある社食(運営はエームサービス)にリニューアルしたほか、日中はジェラートが売りで、夜にはアルコールも提供するカフェも新設した。

41階には、普段は個人で自由に使えるほか、フロア全体を貸し切りにできるイベントスペースも設けた。本社オフィスの改修にかかった費用などは公表しないという。

出社かリモートか……自主的に選択

社食

社食の一角には壁で仕切られていないスペースも。気分を変えてのブレストなどの利用を想定している。

撮影:横山耕太郎

定食

ヒレカツの定食(税込900円)。社員も同じ値段だが、周辺で外食するよりも安い料金設定にしているという。

撮影:横山耕太郎

リクルートでは2021年に8つの事業会社をリクルートに統合し、年間休日145日となる「週休約3日制度」の導入など日系大企業としては、先進的な人事制度を導入してきた。

勤務場所に関しても、自社オフィス・自宅・サードプレイス(会社で契約しているサテライトオフィスなど)から自由に働く場所を選択できるという。

「これらは並列な選択肢であり優先順位はありません。どこを使うのかについては、 個人やチームが、その時の状況や仕事の状況を踏まえて、最適と思うものを自律的・主体的に選択しています」(佐野氏)

オフィスへの出社回帰を促進するものでないとするなら、なぜ、大規模にオフィスを改築する必要があったのか?

佐野氏が強調するのが「生産性を高められる環境を実現するため」という点だ。

「ワークプレイス(社員らが働く場所)を自律的に選べる以上、仕事の生産性やアウトプットのクオリティの面も含め、責任を持って選択するということが求められます。

従業員また職場のチームが自社オフィスを選択する際は、生産性高く働けるオフィス環境やファシリティを提供していくことが会社の役割であり、また責務だと考えている」(佐野氏)

出社率「今年になっても変わらず」

東京駅

新設されたカフェからは東京駅が見下ろせる。

撮影:横山耕太郎

外出自粛ムードが落ち着いたことで、リモートワークからオフィス出社に切り替える企業も少なくない。

リクルートは全国に84拠点があるが、社員のオフィス出社率は38%。本社オフィスに限ると、出社率はさらに低いという(本社オフィスの出社率は公表していない)。

またリクルートの社員でみると、出社回帰の動きは起きておらず「コロナ最盛期に加えるともちろん出社は増えているが、今年に入ってからの出社率は変わっていない」という。

新オフィスに籍を置く社員は約1万2000人だが、用意されている席数は約5000席に絞っている。

今回、本社オフィスを充実させた一方で、これまで都内に点在していた23のオフィスを、本社を含めて3拠点に集約した。

佐野氏は「オフィス縮小によるコストダウンは変革の目的ではない」とした上で、オフィスの集約については「出社が減っているが、オフィスの床面積の活用効率や経営的な合理性は担保している」とした。

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