カップ麺、海外で好調の日清食品HD。ピルクルとポテチも売り上げ牽引で1Q決算「過去最高」

日清食品のカップヌードル。

日清食品のカップヌードル。誰もが一度は食べたことがあるのでは。

撮影:三ツ村崇志

食品大手の日清食品HDは、8月3日に2023年第1四半期(4月〜6月)決算を発表した。

2022年から進めてきた価格改定を主因に、売上高にあたる売上収益は前年同期比約11%増の1664億7000万円。営業利益は同57%(76億円)増の208億7900万円と増収増益となった。純利益は86%増の140億3100万円と、通期予想(425億円〜445億円)の3割を超えた。

日清食品HDの矢野崇CFOは、

「売上収益は第1四半期としては過去最高。また、利益については、過去の実績と比較可能な営業利益で見ても、第1四半期としては過去最高」

と業績について語った。なお、日清食品は直近の通期決算でも過去最高益となっており、その勢いが第1四半期も継続しているということになる。

画像:日清食品HD 2023年度 第1四半期決算報告

海外と「非」即席めん事業が主力をカバー

カップめんや袋めんなどの即席麺の販売で知られる日清食品HDだが、事業の柱は三つある。

日清食品や明星食品が販売するカップめんなどを含む主力事業である国内の「即席めん事業」と、飲料やお菓子などからなる国内の「非即席めん事業」、そして「海外事業」だ。

今回の第1四半期決算では、3事業領域すべてで売り上げは増加したものの、国内即席めん事業では減益となった。

セグメント別

画像:日清食品HD 2023年度 第1四半期決算報告

「全体のコア営業利益としては、 国内即席めん事業の減益を、海外事業及び国内非即席めん事業がカバーしている形です。特に海外事業が好調で、前年同期比183%という非常に高い水準での成長が続いています」(矢野CFO)

国内の即席めん事業では、この6月に昨年に続く2度目の価格改定を実施。販売数は堅調に推移しており増収となったものの、原材料価格の高騰などの影響で減益となったとしている。

なお、矢野CFOは原料価格の高騰などについて

「資材価格については、ロシアのウクライナ侵攻以降高騰していた状況はピークアウトし低水準で安定しています。この状況が続けば、利益のアップサイドが今後期待できると考えています」

と語った。

カップヌードルはこの6月出荷分からさらに値上げとなった。

カップヌードルはこの6月出荷分からさらに値上げとなった。

撮影:三ツ村崇志

「ピルクル」と「ポテチ」が増収増益を牽引

好調の国内非即席めん事業では「ピルクル」シリーズなどを販売する日清ヨークと、ポテトチップスを販売する湖池屋が貢献した

日清ヨークは特定保健用食品の「ピルクル400」と、2022年9月に発売したばかりの機能性表示食品「ピルクル ミラクルケア」が好調で、売り上げが前年同期比で55%増に。

広告宣伝費などをそこまでかけなくても販売が伸びている状況が続いている上、利益率の高いピルクルミラクルケアの販売比率が高まったことから、低温・飲料事業だけでも営業利益は前年同期比で168%増の約27億円と大きく伸長した。ただ今後は乳価の値上げが予定されていることもあり、現状の利益率がそのまま続くかどうかは慎重に見極めていかなければならないとした。

一方、菓子事業では湖池屋が、「湖池屋ポテトチップス」シリーズやリニューアルした「スコーン」シリーズを中心に販売を拡大。売り上げが約3割増加した。

この2社の好調が主要因となり、低温・飲料事業と菓子事業を合算した国内非即席めん事業の営業利益は、前年の約18億円から25億円増(約2.8倍)の約43億円となった。

日清ヨークのピルクル

日清ヨークのピルクルシリーズが売れているという。

撮影:三ツ村崇志

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