NASA の探査機、ボイジャーのイラスト。
NASA/JPL-Caltech
- ボイジャー1号と2号は、銀河の恒星と恒星の間に広がる「星間空間」を探索し続けている。
- NASAは1977年、太陽系を横断する5年間のミッションを実施するため、双子の探査機を打ち上げた。
- 打ち上げから46年近く経った現在も、ボイジャー1号と2号は地球から最も遠い人工物として活動を続けている。
地球から約148 億マイル(約238億km)離れ、探査機ボイジャー1号(Voyager 1)は、「星間物質」、つまり星と星の間の空間である未踏の闇の中を飛行している。ボイジャー1号は、地球から最も遠いところにある人工物体だ。
NASAによると、ボイジャー1号とボイジャー2号の設計寿命は5年だったという。木星、土星、天王星、海王星、およびそれらの衛星を間近で調査するために1977年に16日違いで打ち上げられた。
ミッション開始から約46年、ボイジャー1号と2号はともにヘリオポーズ(Heliopause)として知られる太陽圏の境界を果敢に越え、歴史にその名を刻んでいる。
ボイジャーたちは、今も太陽系の彼方からデータを送り続けている。一時的な通信の中断は何度かあったものの、2機の宇宙の旅はまだ終わっていない。
2018年11月の星間空間におけるNASAのボイジャー1号と2号を示す図。
NASA/JPL-Caltech
ボイジャー1号は300年後にオールトの雲、ボイジャー2号は29万6000年後にシリウスに到達する
ボイジャーが2030年まで稼働し続けることを目標にした継続的な電力管理の取り組みの一環として、NASAのエンジニアは、飛行の維持に不可欠ではないヒーターなどの一部システムの電源を落としている。
それでも、ボイジャーはいずれ、地球との通信能力を失ってしまう可能性が高い。しかし、NASAが観測機器を停止してボイジャーのミッションを終了させた後も、双子の探査機は星間空間を漂い続けるだろう。
NASAによると、今から約300年後にボイジャー1号は、冥王星の軌道のはるか彼方にある何十億もの凍結した彗星が集まっている帯「オールトの雲(Oort Cloud)」に入るはずだという。その終わりに達するにはさらに3万年かかる。
カイパーベルト(Kuiper Belt)、オールトの雲、太陽系の相関図。
NASA
ボイジャーはそれぞれ異なる経路をたどって深宇宙へと向かっている。ボイジャー2号は現在、地球から約123億マイル(約197億km)離れている。
NASAによると、ボイジャー1号がキリン座の「グリーゼ445(AC+79 3888)」に到達するには約4万年かかるという。また、ボイジャー2号は、29万6000年後に夜空で最も明るい恒星、シリウスに接近するはずだとしている。
「2機のボイジャーは、おそらく永遠に天の川銀河をさまよう運命にある」とNASAは述べている。
ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた夜空で最も明るい恒星シリウス。
NASA, ESA, H. Bond (STScI), and M. Barstow (University of Leicester)
「ボイジャー1号と2号がまだ稼働しているのは本当に驚くべきこと」
NASAは太陽系の外を調査するために双子の探査機ボイジャーを設計した。主な任務を完了した後もボイジャーたちは銀河系を大旅行し、息を呑むような宇宙の景色を捉えながら勢いよく進み続けた。
1990年2月14日、ボイジャー1号は、約40億マイル(約64億km)の彼方から「ペイル・ブルー・ドット(Pale Blue Dot)」と呼ばれる地球の写真を撮影した。これは、散乱する太陽光線の中に見える地球の象徴的な画像で、これまで宇宙船が撮影してきた中で最も遠くから見た地球の姿である。
1990年2月14日、ボイジャー1号が撮影した象徴的な画像「ペイル・ブルー・ドット」。
NASA/JPL-Caltech
この10年、ボイジャー1号はガス、塵、荷電エネルギー粒子に満ちた「星間空間」を探索してきた。一方、ボイジャー2号は1号が到達してから6年後の2018年に、「星間空間」に到達している。
これらの探査機が稼働中に観測した「星間ガス」は、我々の宇宙の裏庭を超えた未開の宇宙空間に対する天文学者の理解に革命をもたらしている。
「どちらの探査機も今も順調に稼働していることは本当に驚くべきことだ。小さな不具合はあるものの、極めて順調に稼働しており、貴重なデータを送り続けてくれている」とNASAのジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)でボイジャーミッションのプロジェクトマネージャーを務めるスザンヌ・ドッド(Suzanne Dodd)は、以前Insiderに語っている。
「彼らはまだ我々と対話している」