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- スターバックスがアイスコーヒー市場を独占している。同社のドリンクの売り上げの75%を冷たいドリンクが占めている。
- カナダのコーヒーチェーン「ティムホートンズ(Tim Hortons)」も冷たいドリンクに力を入れている。
- 冷たいドリンクの方が価格は高い傾向にあるものの、店のスタッフにとってはしばしば頭痛の種になっている。
スターバックスやティムホートンズといったチェーン店では、熱々のカプチーノを避け、フルーティーな冷たいドリンクやアイスコーヒーを好む客がますます増えている。
スターバックスのドリンクの売り上げの75%は冷たいドリンクが占めている。
同社では第3四半期、コールドエスプレッソ飲料の売り上げが前の年に比べて13%増え、冷たいドリンクにのみトッピング可能なコールドフォームはスターバックスで最も人気が高まっているカスタマイズアイテムだと、CEOのラクスマン・ナラシムハン(Laxman Narasimhan)氏は先週、投資家に語った。ナラシムハン氏はまた、焙煎前のグリーンコーヒーから抽出したカフェインの入ったフルーティーなドリンク「リフレッシャーズ」シリーズの成功にも言及した。
冷たいドリンクの売り上げは、カナダ発のコーヒーチェーン「ティムホートンズ」でもいまやドリンクの売り上げの40%を占めている。4年前の約30%から増えている。
「成長著しいコールドドリンク分野でよりシェアを拡大しようとするチームの取り組みはうまくいっていて、その売り上げは前の年に比べて16.6%伸びた」とレストラン・ブランズ・インターナショナル(Restaurant Brands International)のCEOジョシュ・コブザ(Josh Kobza)氏は話している。2023年の第1四半期、水出しコーヒーの売り上げは前年同期比で2倍になったという。
コブザ氏は、ティムホートンズのカナダでの売り上げは冷たくてフルーティーな「クエンチャー」シリーズの拡大と、スペシャルティ・コールドコーヒーの革新によって増えたと話している。ドーナツ、コーヒー、紅茶に力を入れている同社は、世界全体で5600店舗以上を展開している。
ティムホートンズの冷たいドリンクのメニューは、スターバックスのメニューによく似ている(アメリカでは特に)。アメリカのティムホートンズでは、ナイトロ・コールドブリュー・コーヒーやアイスティー、アイス・キャラメルマキアート、そしてクエンチャーの代わりにフルーティーな「リフレッシャー」を楽しむことができる。同チェーンでは、スターバックスが数週間前に発売したドリンクをほぼ忠実に再現した、コールドフォーム入りのホワイトチョコレート・マカダミアクリーム・コールドブリューまで販売している。
ティムホートンズの幹部は、第2四半期の既存店売り上げは12.5%増えたと報告している。「冷たいドリンクが大きく貢献した」とコブザ氏は話している。
スターバックスは「フラペチーノ」で有名だ。アメリカのメリーランド州のシフト責任者は以前、スターバックスは「フラペチーノ工場」と化しているとInsiderに語っていて、ネブラスカ州のバリスタは、スターバックスが販売している多くの飲み物は「コーヒーというよりミルクセーキのようだ」と話していた。
「コールドドリンクが支配的だ」とスターバックスの当時のCEOハワード・シュルツ氏は11月の決算発表で語っていた。
「コールドドリンクはスターバックスの全員を驚かせている」
市場調査会社ミンテル(Mintel)の調査によると、2022年の上半期、温かいコーヒーよりも冷たいコーヒーを注文するZ世代の消費者が圧倒的に増えたという。「若ければ若いほど、冷たいドリンクを好む」とスターバックスのCMOブレディ・ブルワー(Brady Brewer)氏は11月、投資家に話している。
その理由の1つとして考えられるのが、SNS世代にとって冷たいドリンクの方が"インスタ映え"することだ。透明なプラスチックカップはドリンクの層が見やすく、さまざまなクリームやシロップなどをカスタマイズできる。2021年の夏、アメリカのスターバックスではバニラスイートクリームのコールドフォームとキャラメルドリズルを追加したアイス・ホワイトモカの注文が殺到した。TikTokでこのドリンクが話題になったからだ。
冷たいドリンクは価格が高くなりがちで、お金のかかるカスタマイズを選ぶ顧客もいるため、コーヒーチェーンにとっては高い利益を得られる可能性がある。例えば、話題になったスターバックスのアイス・ホワイトモカは通常7ドル(約1010円)以上する。ブルワー氏は11月、多くの顧客 —— 中でも若い顧客が冷たいドリンクをカスタマイズし、植物由来のミルクを追加すると投資家に語った。ティムホートンズでもスターバックス同様、客はさまざまなミルクやシロップ、追加のエスプレッソショットでドリンクをカスタマイズできる。
ただ、冷たいドリンクは店で働くスタッフにとっては頭痛の種となる。複数のバリスタがInsiderの取材に対し、冷たいドリンクの中には客が注文を素早く受け取らないと溶けてしまうものもあって、作り直しを強いられることもあるため、モバイル注文で問題になっていると話している。