中央が南雲二郎社長、中央左が南雲真仁副社長、中央右がブルックリンクラのブライアン・ポーレン代表。
撮影:杉本健太郎
8月8日、日本酒「八海山」で知られる新潟の酒造メーカー・八海醸造が創業100周年イベントを開き、業務資本提携を結ぶ米ニューヨーク市ブルックリンの酒蔵「Brooklyn Kura(ブラックリンクラ)」の新しい蔵(新蔵)と、日本酒の文化を実践的に学べる「Sake Study Center(サケスタディセンター)」を2023年秋にオープンすると発表した。
スライドに写っているのがブランドン・ドゥーアン氏。
撮影:杉本健太郎
ブルックリンクラは2016年にブライアン・ポーレン氏、ブランドン・ドゥーアン氏の2人によって設立されたアメリカの酒蔵。
八海醸造とブルックリンクラは2021年に「日本酒を世界飲料にする」ことを目的に資本業務提携を結んでいた。
もともと八海醸造側に「日本酒という文化をさらに発展させていきたいという強い思い」(南雲二郎社長)があり、ブルックリンクラ側にも世界市場に目を向ける意識が見られたことから、「価値観が合う部分がかなり大きくあった」(南雲真仁副社長)という。
ブルックリンクラで作られた日本酒。
撮影:杉本健太郎
当初は八海醸造がアメリカで日本酒を作ることも検討したというが、アルコール市場でワインやウイスキーのように日本酒をスタンダードな存在にするためには、「その国の国民が現地の米、現地の水を使って日本酒を作り出し、現地に暮らす人々が楽しく飲む。そんな市場ができ上がることが必要」(南雲二郎社長)という考えから、現地の酒蔵を支援することにしたという。
秋から稼働する新蔵には八海醸造から新潟の蔵人を派遣し、現地に居住しながら技術協力を進める。
「サケスタディセンターをアメリカでの日本酒の中心地に」
ブルックリンクラにはタップルーム(試飲スペース)が併設され、そこで日本酒を楽しんだり、日本酒について学ぶこともできるようになる。
秋からオープン予定の「サケスタディセンター」では、八海醸造グローバルブランドアンバサダーのティモシー・サリバン氏が開発した3つのプログラムが実施される。
右側が八海醸造グローバルブランドアンバサダーのティモシー・サリバン氏。
撮影:杉本健太郎
1つ目は一般消費者向けのプログラムだ。日本酒文化を広めるための啓発の場とし、「一般消費者向けのエントランスにしたい」(サリバン氏)と語る。
2つ目はプロフェッショナル向けのプログラムだ。レストランやバーの従業員向けに日本酒を店舗で提供するトレーニングの場とする。
3つ目は蔵人になりたい人向けのプログラム。日本酒づくりや発酵に興味のある人向けに教育を行い、修了者には「Sake Server Certification(サケ・サーバー・サーティフィケーション)」と呼ばれる認証を発行する。
ブルックリンクラのブライアン代表は「今後、サケスタディセンターをアメリカ国内での日本酒の中心地にしたい。ここを通って日本酒を学んでいく場所にしたい」と語った。