「のんびり有料席で花火鑑賞スタイル」が定着か。高額化する花火大会

日本では7月から9月にかけて全国で花火大会が開かれる。

日本では7月から9月にかけて全国で花火大会が開かれる。

撮影:横山耕太郎

夏の夜空を彩る風物詩・花火大会が、全国各地で開催されている。一方で今年の花火大会は、「有料席化」と「高価格化」が進んでいることがわかった。

帝国データバンクが、10万人以上を動員する全国の106の花火大会を調査したところ、花火大会の7割が「有料席」を設置しており、有料席を設けている花火大会の8割がコロナ前と比べ値上げしていることが明らかになった。

急激に進む「有料席の高額化」

2023年の最安値は500円、最高値は30万円だ。

2023年の最安値は500円、最高値は30万円だ。

出典:帝国データバンク

帝国データバンクによると、コロナ前に比べ、各花火大会で最前席や区画当たりの面積を広く確保したテーブル席、グランピングシート席など、プレミアム化・高価格化が進んでいるという。

有料席のうち最も高額な有料席は「小田原酒匂川花火大会」(神奈川県)で販売された30万円(大人2名)の席だったという。

調査によると、価格改定後の有料席の平均価格は最安値の席が4768円(コロナ前の2019年比で1092円上昇)。最高値の席が3万2791円(同1万1182円上昇)となっている。

高額化の理由はコスト増加

2022年はウクライナ侵攻の影響で花火の価格が高騰している。

2022年はウクライナ侵攻の影響で花火の価格が高騰している。

出典:帝国データバンク

こうした値上げの背景について、帝国データバンクは輸入花火や運営コストの増加を指摘している。

帝国データバンクによると、2023年6月までの打ち上げ花火の輸入価格は、過去15年の平均価格より5割高い1キログラムあたり1700円。

それがロシアのウクライナ侵攻の影響を受け、原料となる火薬類が大幅に値上がりし2022年には同2200円に高騰した。その後、価格は低下したものの、依然として高止まりが続いているという。

また、警備費や大会後の清掃、仮設トイレといった設備費なども人手不足や物価高で増加しているという。

7月の隅田川花火大会「高額化でも応募数は変わらず」

値上げによって、有料席の販売に影響はあったのだろうか?

隅田川花火大会(2023年7月29日開催)の実行委員会によると、隅田川花火大会では、2020年に個人席を1万円から2万円に、団体席を5万円から8万円に値上げを決定。しかしコロナ禍で2020年から2022年が中止となったため、今年が値上げ後初めての開催となった。

隅田川花火大会実行委員会の担当者は、Business Insider Japanの取材に対し「応募の数は例年とあまり変化はなかった」とした。

12日開催の神宮外苑「有料席が定着」

また、8月12日に実施される神宮外苑花火大会は、2019年と比べ2023年は以下のように神宮球場の有料席を値上げした。

アリーナSS席は9000 円→12000円、アリーナS席・スタンドS席は7500円→9000円、アリーナA席・スタンドA席は6500円→8000円となる。

花火大会を主催する「ぴあ」の小林覚取締役は、チケットの売り上げと消費スタイルの変化について次のように話した。

「(値上げをしても)花火大会のチケットは売れています。コロナ禍を経て、金額が高くても付加価値の高いチケットが売れるようになりました。

花火大会やお祭りにお金を払って1番前の席でのんびり座って見るということが急速に定着しました」

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み