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- 連載「For Love & Money」は、人間関係とお金に関する読者の相談に答えるコラムである。
- 今回は、1カ月前に解雇されたことが恥ずかしくて夫に伝えられず悩んでいる読者からの相談。
- それに対する回答は「不安な気持ちを我慢して、本当のことを伝える」だ。
私は我が家の稼ぎ頭ではありませんが、それでも常に家計には十分貢献してきました…先月までは。私はうっかりミスを犯し、解雇されてしまったのです。人生で初めてクビになり、恥ずかしくてこのことを夫に話せていません。
夫はオフィスに通勤していますが、私はリモートワークでした。家計の管理も私が担当しているため、彼は何も気付いていません。でもこの状況が長引けば長引くほど、彼に伝えずにいることがどんどん大きな問題になっていくことは自覚しています。そのため、彼に本当のことを話すのがますます難しくなってしまいました。
少しでもダメージを和らげようと、必死で新しい仕事を探してきましたが、今のところまだ見つかっていません。一番怖いのは、彼が私たちの口座をチェックして、私の給料が入っていないことに気付いてしまうことです。彼がスマホを操作しているのを見るたびに、銀行のアプリを開いているのではないかという恐怖に襲われます。話さなければいけないのは分かっているのですが、1カ月以上も前に起きたことを今になって夫に伝えるにはどうしたら良いでしょうか?
告白を避ける妻 より
親愛なる 告白を避ける妻 様、
あなたは厳しい状況にいます。でも、この状況を招いたのはあなた自身です。ですが、こうなった原因であるあなたの感情に共感できる人は多いでしょう。
同じような境遇になった時、パートナーに泣きつくのが最も自然な行動だと考える人もいます。その一方で、あなたや私のような人は、自分の失敗を告白することが、自分の真の価値を認めることになると考えるからです。
私たちが懸念を抱えているその価値は、私たちが持つすべての素晴らしいものと同等ではありません。これはインポスター(偽物)症候群というもので、私たちの人生全体に関わるものです。
この考え方は明らかに自尊心に影響するだけでなく、私たちの人間関係の健全性に大きな影響を与える可能性があります。あなたが、嘘をついて巧妙にコソコソ立ち回ることで、自分が大切にしているすべてを手に入れてきたと信じているとしたら、何かストレスがかかった瞬間(つまり、うっかりミスで解雇された時)、嘘をついて巧妙にコソコソ立ち回りたいという衝動に駆られるでしょう。
あなたは解雇された事実をご主人に話すことで、あなた自身が恐れているように、彼に欠陥人間だと思われてしまうリスクを冒したくなかったのです。そして彼を失うことを恐れたのです。
不安を我慢して、真実を伝えること
しかし、ご主人はあなたがどんな犠牲を払ってでも保持しなければいけない賞品ではありません。彼はあなたのパートナーであり、チームメートなのです。恐れることなく何でも話せる相手であれば、何があっても助けてくれるはずです。
残念ながら、それは結婚の理想形であって、必ずしもどの夫婦もそうであるわけではありません。残酷な真実を前にしては信頼に応えられないパートナーもいるでしょう。恐怖と怒りで気が動転したり、相手に罰を与えたりパニックになる人もいます。パートナーがそうなることを分かっている人は、経験上想定し得るネガティブなリアクションを避けるために、真実を隠してしまうのです。
パートナーのどちらかが重要な真実を隠すという選択をする時、たいてい両者に何らかの複雑な原因があるものです。あなたのご主人はあなたが抱えている真実を良く受け止められないかもしれないし、あなた自身の不健全な傾向が彼のリアクションを必要以上に悪い方に想像させてしまっているかもしれません。
これは私たち夫婦の間でもよく起きます。私の夫は不安症を抱えているので、何か悪いことが起きると私のせいにして嘆き、気持ちが落ち着くまでたいてい数日かかります。私は腹が立つし傷つきますが、これでこの世が終わるかと思うとそうではありません。
でも私の気持ちが沈んでいる時だったら、この世の終わりのように感じてしまいます。あなたと同じく、私もシンプルに本当のことを伝えるよりは、何とか事実をやわらげようと直感的に考えるタイプなのです。そこで、私がセラピストに言われたアドバイスをあなたに教えましょう:「不安を我慢して、真実を伝えること」です。
あなたには本質的な価値がある
ご主人に、言いにくい知らせがあると言って本当のことを伝えましょう。いつ解雇されたのか彼に聞かれる前に、あなたからいつの出来事かを切り出すことが重要です。例えば「1カ月くらい前に解雇されたんだけど、とても恥ずかしくてあなたに言えなかった」という風に。
あなたは今、ご主人が大丈夫だよと抱きしめてくれて、あなたをクビにした会社に対してあなたに代わって怒ってくれることを望んでいると思います。私もあなたを思って、その通りになることを願っています。
しかし、そうはいかないかもしれません。1カ月以上も隠していたことを彼が気にするかもしれないし、クビにされるほどのうっかりミスとは何をしたのかと追及してくるかもしれない。深いため息をついて、家計のマイナス分を補うために副業を探すと言い出すかもしれません。彼も人間ですから、彼なりのやり方で事実を受け止めるしかないのです。
あなたにとっては彼のリアクションを我慢することが苦痛になるでしょう。お手紙を拝見する限り、あなたはクビにされたことを恥じているように見受けられるからです。つまりあなたは、100%慰めや安心感を与えるリアクションでない限り、自分の犯した失敗の中に顔をうずめられるような苦痛を味わう可能性が高いということです。傷付かずにはいられないでしょう。でも真実を忘れないでください:あなたには本質的な価値がある。だから今の人生があるのです。何度解雇されたとしてもその事実は変わりません。
あなたなら必ず乗り越えられる
とはいえ、ご主人のリアクションは私の想像よりもっと悪い可能性もあります。もしそうだとして、何か悪い知らせがあるたびに彼が大暴れし、あなたが自分の身を守るために隠し事をするようになったとのだとしたら、そもそも彼と人生を共にすること自体が安全かどうかをじっくり考えることをお勧めします。
解雇されたことをご主人に秘密にしようと考えた理由が何であれ、そろそろ本当のことを伝えるべきです。怖いのはよく分かりますが、重大な告白とそれに続く議論の先を考えてみてください。避けては通れない道かもしれませんが、あなたなら必ず乗り越えられます。
応援しています。
For Love & Money