撮影:三ツ村崇志
オンライン診療や医療従事者向けの人材サービスを提供するメドレーが、8月14日2023年12月期の半期決算(1月〜6月)を発表した。
売上高は52.3%増の107億700万円、営業利益は90.3%増の24億2000万円。純利益は94.4%増の18億8400万円だった。
メドレーの通期業績予想。
画像:メドレー 2023年12月期第2四半期決算説明資料
なお、2023年12月期通期業績予想も人材プラットフォーム事業(後述)の好調と、販管費の下振れ見込みによって修正した。売上高の見通しは191億5000万円から198億円。同営業利益は16億3000万円から22億5000万円。純利益は、受取和解金などの営業外収益があり、11億8000万円から20億円へと上方修正している。
人手不足を背景に成長続ける人材事業
画像:メドレー 2023年12月期第2四半期決算説明資料
売り上げを牽引したのは、同社の主力事業である医療従事者の人材採用システム(以下、人材プラットフォーム事業)。
人材プラットフォーム事業の売り上げは、医療機関に求職者が入職した際にカウントされるため、メドレーでは4月(第2四半期)に売上高が偏重する傾向にある。メドレーの決算短信によると、セグメント別に見た売上高は人材プラットフォームだけで76億5500万円(前年同四半期比43.7%)と、半期の売り上げ全体の4分の3を占めている。セグメントの営業利益も、37億7900万円(前年同期比45.6%増)と同社成長の背骨となっている。
画像:メドレー 2023年12月期第2四半期決算説明資料
人材プラットフォーム事業全体の顧客事業所数は、前年同期比で16%増の31.7万件。登録会員数も前年同期比28%増加の173万人と堅調な成長を見せる。
また、メドレーによると顧客事業所数の割合は、事業所全体の3割弱だ。同じ事業領域ではエムスリーをはじめとした医療従事者向けのキャリアサービスを展開している競合他社も多いが、「依然として開拓の余地はある」としている。加えて、医療・介護領域の人材不足などが継続している事業環境が、売り上げにはポジティブに働いたとしている。
また、介護業界向けや訪問歯科業界向けに提供しているオンライン研修システム「ジョブメドレーアカデミー」も、顧客数の増加により増収の要因となった。
オンライン診療、薬局事業は「売上高成長率を鈍化」
撮影:三ツ村崇志
メドレーといえば、オンライン診療・服薬指導アプリ「CLINICS」や、調剤薬局向けシステム「Pharms」といった医療プラットフォームも展開している(以下、医療プラットフォーム事業)。
医療プラットフォーム事業では、利用医療機関数が前年同期比で16%増の1.5万件と成長している。これは、Pharmsの新規導入が進んだ結果だ。
画像:メドレー 2023年12月期第2四半期決算説明資料
セグメント別に見ると、医療プラットフォーム事業の売上高は28億7400万円と前年同期比86.2%増と成長。一方、売上総利益率改善に向けた投資や人員増強などを進めている関係で、営業損失は3800万円(前年同期は営業損失2億2400万円)となった。
第2四半期単独で見ると、医療プラットフォーム事業の売上高は14億2500万円と前四半期から微減している。この点について、メドレーは決算説明会資料で
「病院向け大型案件が前四半期に集中した影響を受けました。当該影響に加え、売上総利益率の改善につながる取り組みを優先するため、FY23下半期は前年同期比売上高成長率を鈍化させる計画ですが、2024年第1四半期より成長率の改善を予定しています」
と、説明している。
なお、2021年12月からメドレーはNTTドコモとオンライン診療サービス「CLINICS」の共同運営をスタートしている。具体的な数字は開示されていないものの、患者数については一層拡大しているとした。
編集部より:初出時、メドレーの人材プラットフォーム事業に関する説明を「人材紹介サービス」としていましたが、「人材採用システム」に改めています。2023年8月15日18:20