調査に回答した投資家の64%が、無期限休暇で企業はS&P500を上回るかもしれないと感じているが、このトレンドが優勢になるとしているのは、5人に1人に過ぎない。
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- 調査に回答した投資家の3人に2人が、無期限休暇のある企業の株価はS&P500を上回る可能性があると考えている。
- にもかかわらず、トレンドを席巻しそうなのは、週4日勤務の方だ。
- 無期限休暇を制度化しても、従業員が取得する休暇の日数はあまり変わらないかもしれない。
投資家の3人に2人は、 無期限休暇を導入している企業の株価がS&P500を上回る可能性があると考えているとブルームバーグは伝えている。
ブルームバーグが毎週行うマーケッツ・ライブ・パルス・サーベイ(Markets Live Pulse Survey)が8月7~11日で実施され、1061人が回答した。
調査対象者のうち、職業投資家の65%、個人投資家の57%が、無期限休暇を導入している企業の株価はS&P500指数を上回る可能性があると考えていることが分かった。
だが、無期限休暇がトレンドになりそうだと考える人は、わずか18%(5人中1人以下)だ。実際、無期限休暇はまだ普及していない。自分の会社で導入されていると回答したのは約12%だった。
むしろ、回答者の半数以上が働き方のトレンドとしては週4日勤務が優勢になると考えており、次いで、長期有給休暇がトレンドになると考える人が20%だった。
この調査は、無期限休暇のメリットとデメリットを巡って続いている議論と呼応している。
パンデミック以降、従業員は急に無期限休暇を望むようになった。2022年のグラスドア(Glassdoor)の報告によると、パンデミックが始まって以来、従業員らによるレビューで「無期限」の休暇についての記載が75%増加した。
だがその関心は、企業の方針とは合致していない。
ネットフリックス(Netflix)、マイクロソフト(Microsoft)、ハブスポット(Hubspot)は、無期限休暇を導入している数少ない企業だが、アメリカの4217企業を対象に人材マネジメント協会(Society for Human Resource Management)が実施した2023年の調査では、有給の無期限休暇を導入している企業は、わずか8%であることが分かった。
無期限休暇の効果が限定的であるからかもしれない。アメリカで働く人が、無期限休暇を利用して実際に取得した休日は、年間平均12.09日 、一方、年次有給休暇を利用した場合は11.36日の取得だったとの調査結果を人材ソフトウェア会社のNamelyが2022年7月に発表した。
企業によっては、申し訳なくて休暇を取ることができないという従業員も多く、その結果、上限を設けた場合よりも取得が少なくなっていることが分かったとInsiderは1月に報じた。
「無期限休暇」への移行は、寛容さによるものだけではないとウォートン(Wharton)スクール教授のピーター・カペッリ(Peter Cappelli)は8月10日、ファスト・カンパニー(Fast Company)のコラムに書いている。カペッリによると、無期限休暇へ移行することで、企業は未払い休暇負債を帳簿から削除し、経済的価値を高く見せることができるという。