撮影:荒幡温子
「緑の都市の延長に、麻布台ヒルズはあります」
2023年11月、森ビルの手がける新たなヒルズ「麻布台ヒルズ」が誕生する。
最大の特徴は、大阪のあべのハルカスを超え、日本一の高さとなる森JPタワー(約330メートル)の存在だ。さらには六本木ヒルズ以上の緑化面積を誇る緑豊かな空間も擁する。
オープンに先駆け、8月8日に記者発表会でお披露目となった。森ビルの代表取締役社長・辻慎吾氏が「ヒルズの未来形」と称する、その全貌を見ていこう。
ヘザウィック氏デザインの特徴的な低層部
CDBOX for Mori Building Co., Ltd. - Azabudai Hills
提供:森ビル
完成すれば日本一高いビルとなる、高さ約330メートルの森JPタワーの他に、複数の建物で構成される街一帯が「麻布台ヒルズ」だ。
約8.1ヘクタールの区域面積に、オフィス、住宅、店舗、ホテル、文化施設などが入居し、さらにインターナショナルスクール「ブリティッシュスクール・イン・東京」と「慶應義塾大学予防医療センター」が移転する。
トーマス・ヘザウィック氏デザインの低層部。3月17日~6月4日まで六本木ヒルズ内の東京シティビュー(屋内展望台)では、彼の功績をまとめた「ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築」が開催されていた。
撮影:荒幡温子
麻布台周辺を歩いていると、すでに不思議な流線を描く建物が目に留まる。
特徴的なこのデザインは、ロンドンオリンピックの聖火台などを手がけてきた世界的な名デザイナー、トーマス・ヘザウィック氏によるものだ。
CDBOX for Mori Building Co., Ltd. - Azabudai Hills
提供:森ビル
CDBOX for Mori Building Co., Ltd. - Azabudai Hills
提供:森ビル
ヘザウィック氏の手がけた低層部には、約150店舗が軒を連ね、フードマーケットも展開予定だ。
日本人オーナーがベトナムを中心に展開するピザレストラン「Pizza 4P's」、ニューヨークやマイアミでミシュラン一つ星を獲得した「鮨 麻布」などが初上陸するほか、京都の人気コーヒーロースターが「アラビカ東京」として進出、同じく京都でカルチャーを発信する書店「大垣書店」も東京初出店となる。
提供:森ビル
ホテルやアート施設も充実レジデンスAには、アマンの姉妹ブランド・ジャヌが世界初展開。
「ジャヌ 東京」として開業し、スパ・トリートメントルーム・ジム・グループ用のトレーニングスタジオなど都内ホテル最大級のウェルネス施設を設ける。
なお、アマンとは協業で、長期滞在向けのレジデンス「アマンレジデンス 東京」も展開する。
《Untitled》©チームラボ
提供:森ビル
六本木ヒルズに森美術館があるように、麻布台ヒルズでもアートに触れ合う空間が多数設けられる予定だ。その一つが、お台場から移転となる「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」だ。
インバウンド回復以降ふたたび盛り上がりを見せている当施設だが、移転後は新たな作品や日本未公開作品も多数加わるという。
オラファー・エリアソン《蛍の生物圏(マグマの流星)》2023 年 撮影: Jens Ziehe © 2023 Olafur Eliasson
提供:森ビル
「麻布台ヒルズギャラリー」は、「美術館仕様の施設・設備」を備えた、麻布台ヒルズの文化発信の中核を担う。
開館を記念して、環境問題への関心も高い世界的なアーティスト、オラファー・エリアソン氏の個展も予定されているという。
緑豊かな「ヒルズの未来形」
撮影:荒幡温子
麻布台ヒルズは、「緑に包まれ、人と人をつなぐ『広場』のような街 - Modern Urban Village -」をコンセプトに「Green&Wellness」の実現を目指している。
確かに、実際に工事の進む麻布台ヒルズ周辺を歩いてみると、いかにこの地域に緑が多いかがよく分かる。
ヘザウィック氏デザインの低層階は、その特徴的なデザインもさることながら、屋上部分まで緑に覆われているのが印象的だ。
©️CDBOX for Mori Building Co., Ltd. - Azabudai Hills
提供:森ビル
敷地の約3分の1を緑地が占めており、六本木ヒルズの緑化面積・約1万9000平方メートルと比べると、麻布台ヒルズの約2万4000平方メートルがかなり広大なことがわかるだろう。敷地内には、温州ミカンやブルーベリー、レモン、リンゴ、モモ、ダイダイ、スモモなどを育てる果樹園もあるという。
撮影:荒幡温子
辻社長は、
「東京の中でも、ここ麻布台は緑あふれる憩いの場となっており、散歩で遊びに来られる街というのは、なかなかないと思っています」
と、施設利用者だけでなく、散歩だけでも麻布台ヒルズに足を運んでほしいと語る。
あわせて「グローバルプレイヤーに選ばれる場所にしたい」と会見を締めくくった。来街者は、年間3000万人を見込んでいるという。