最大の小惑星衝突クレーターを発見か…オーストラリアの地下に直径520kmの構造物

小惑星の衝突。

Mark Garlick/Science Photo Library/Getty Images

  • 科学者は、世界最大の小惑星衝突の痕跡を発見したかもしれない。
  • この構造はオーストラリアの地中に隠されており、直径は520キロメートルと見られている。
  • この衝突は4億5000万年前に起こり、地球上の種の85%が絶滅した可能性があるという。

オーストラリアの大地に、520キロメートルの最大の小惑星衝突の痕跡が隠されている可能性がある。

科学者たちは、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のデニリキンから約16kmの地点から円形に広がる「磁気」と「重力」のパターンを追跡してきた。

彼らによれば、この構造は数億年前に巨大な小惑星が地球に衝突した痕跡である可能性があるという。

もし確認されれば、記録上最大の小惑星衝突となる。

衝突は地面の下に記録されている

世界最大の小惑星衝突を見つけるのは簡単なことだと思うだろう。しかし、現実は大きく異なる。

小惑星の衝突が巨大な地質構造を作り出すのは事実である。

衝突の力は非常に強く、地殻を曲げ、石が池に落ちたときにできる波紋のようなものを作り出すとオーストラリア地質調査機関の古地球物理学者アンドリュー・グリクソン(Andrew Glickson)は8月10日付の『The Conversation』への投稿で述べている。

しかし、もし衝突が起こったとしても、何億年もの浸食作用によって、目に見える特徴はほとんど消えてしまうだろう。

それでも、科学者に少しばかりの忍耐があれば、残された痕跡を探すことができるとグリクソンは言う。

デニキリン周辺での5年にわたる地上調査の結果、中心構造から放射状に伸びる円形の割れ目「放射状断層」が発見されたと、グリクソンと同僚のトニー・イエーツ(Tony Yeates)は2022年発表した査読付き論文で述べている。

これらは中心点の周囲に「小さな磁気異常」を伴っている。これらは、衝突によって山や谷で岩石が融けたために起こったと思われる。

グリクソンは、このいわゆるデニリキン構造は「直径520キロメートル、つまり300マイル以上に及ぶ」と述べた。

これは地球上に痕跡が残っているどの衝突よりも大きい。直径が300キロメートルあったと考えられている南アフリカのフレデフォート・ドーム(Vredefort dome)や、恐竜を絶滅させた大量絶滅の引き金になったと科学者が考えた、直径約160キロメートルのチクシュルーブ・クレーター(Chicxulub crater)を凌ぐものだ。

この発見を確認するために、科学者たちは現場そのものから物的証拠を得ることを目指している。

「衝突を証明するには、物理的証拠を収集する必要があるが、それは構造物を深く掘削することによってのみ得られる」とグリクソンは投稿の中で述べた。

その小惑星は地球の大量絶滅の一つを引き起こした可能性がある

科学者たちがこの場所を掘削しない限り、この小惑星がいつ衝突したかを正確に知ることは難しいだろう。

グリクソンは、オーストラリアがまだゴンドワナ大陸の一部であったときに衝突が起こったと考えている。ゴンドワナ大陸は、パンゲア大陸から分裂し、後に南アメリカ、アフリカ、アラビア、マダガスカル、インド、オーストラリア、南極大陸になった超大陸だ。

ということは、少なくとも1億8000万年前、おそらくそれ以上前のものということになる。

「具体的には、4億4520万年から4億4380万年前まで続いた、いわゆるヒルナンティアン氷河期を引き起こしたのではないかと思う」とグリクソンは投稿の中で述べた。

その氷河期は、恐竜が絶滅する3億5000万年前に、地球上の種の85%が絶滅する大量絶滅を引き起こしたものだとグリクソンは言う。

しかし、衝突はさらに古い可能性がある。グリクソンは、5億1400万年前までさかのぼることができる可能性があると述べている。

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