今度は「ジム」? オフィスに戻りたくないリモートワーカーは「第3の場」を求めている

ワークアウト

Cavan Images/Getty Images

  • アメリカではジムで仕事をする人が増えていると、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。
  • ジムの方もコワーキングを受け入れ、リモートワークをする人たちのためのスペースを作っている。
  • これはリモートワークやハイブリッドワークをしている人たちが、いかに職場でも自宅でもない「第3の場」を求めているかを示している。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以来、仕事は「場所」というより「概念」になった。そして今、ノートパソコンを抱えた労働者はジムにたどり着いた。

ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたように、コワーキングスペースの提供に最近乗り出したのがジムだ。スケジュールが柔軟なハイブリッドワークをしている人たちにとって、ジムは家で1人座っていることなく、ワークアウトもできる1つの解決策となっている。これはリモートワークによって新たに手に入れた時間を人々がどのように使っているのか、そして伝統的な"オフィス"の崩壊によって人々がいかに"家"と"会社"以外での結び付きを求めているかを示している。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アメリカではコワーキングスペースを作るジムが増えている。ニューヨークのブルックリンにできた高級ジム「チェルシー・ピアーズ(Chelsea Piers)」には広さ4000平方フィート(約370平方メートル)のコワーキング施設があって、ジムの利用者数はパンデミック前の水準を上回っているという。会員専用ラウンジには「仕事用の共用テーブルや会員なら営業時間中いつでも使える談話室」があって、「仕事の遅れを取り戻したり」「ワークアウトの後でリラックス」できるとジムの公式サイトはうたっている。

「ここに来て電話に出たり、レッスンに参加したり、オンラインで仕事に戻る会員の姿を1日中わたしたちは目にしています」とチェルシー・ピアーズのシニア・バイスプレジデント、キース・スマート(Keeth Smart)氏はウォール・ストリート・ジャーナルに語っている。

リモートワーカーの時間利用に関する調査結果が示すように、休憩時間をワークアウトやその他のレジャーに充てる人は増えている。在宅勤務の専門家でスタンフォード大学の経済学者ニック・ブルーム(Nick Bloom)氏は、休憩時間を有意義な活動に充てられるのは在宅勤務の大きなメリットの1つだとInsiderに話している。

オフィスだったら「どのくらいのことができるでしょう? 大抵、同僚と噂話をしたり、パソコンでゲームをしたり、ネットサーフィンをするくらいです」とブルーム氏は言う。

「オフィスだと読書やパソコンでのゲームが増え、自宅だと運動や家事、家族との時間が増えます。だからこそ、人々は在宅勤務が好きなんだと思います」

ジムのコワーキングスペースが人気な理由もここにあるのだろう。人と交流したり、ワークアウトをしながら、仕事もできる。それが自宅でも職場でもない「第3の場」なのだ。ノートパソコンで仕事をする人たちでにぎわうコーヒーショップもその1つだ。

もちろん、ジムが誰にとっても理想的というわけではない。人間よりもねこの集団を求めて、猫カフェねこのいる宿泊施設を選ぶ人もいるだろう。ワークアウトよりも家事を片付けたいと、コワーキング設備のあるコインランドリーで仕事をしたい人もいるだろう。どんな場所であれ、自宅でもオフィスでもない限り、仕事をどのくらい生活の中心に据えるべきかに悩む新たな労働者たちにとってはぴったりなのかもしれない。

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