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- クレジットカードとは、現金を使わないキャッシュレス決済方法のひとつ。
- スマートで効率的に支払える点がメリットだが、借金や散財の予備軍になるリスクもある。
- クレジットカードの仕組みから利点・欠点までを解説する。
日本国内におけるクレジットカードの保有率は、約85%と言われている(※参考:JCB)。つまり、ざっくりと2人に1人はクレジットカードを利用している計算だ。
キャッシュレス化が促進されるなかで、スマートにタッチ決済できたり、充実した付帯サービスを受けられたりするクレジットカードは、今やメインの支払方法になりつつある。
ただ、支払い切れないほどにクレジットカードを使い込むと、借金を背負う危険性もないわけではない。クレジットカードの良し悪しを公正に解説しながら、種類や注意点についてサマライズした。
クレジットカードとは? 引き落としの仕組みを解説
クレジットカードとは、現金が不足している状況下でも実質的に後払いで商品・サービスを購入できるキャッシュレス決済方法だ。
クレジットカード決済してから利用代金が引き落とされるまでの仕組みは、以下の通り。
- 利用者がクレジットカードで商品・サービスを購入する
- 店舗やネットショップが決済代行会社に決済情報などを共有する
- 決済代行会社がクレジットカード会社に決済情報などを共有する
- クレジットカード会社が決済代行会社にカード利用代金の決済手続きを行う
- 決済代行会社を介して、店舗やネットショップにカード利用代金が入金される
- クレジットカード会社が利用者にカード利用代金を請求する
- 利用者の指定口座からクレジットカード会社宛てにカード利用代金が引き落とされる
4.の時点では、カード利用代金から所定の手数料が引かれた金額が支払われる。この手数料が、クレジットカード会社にとっての利益として計上されるのだ。
なお、7.の段階でカード利用代金が引き落とされるスケジュール感は、クレジットカード会社によって異なる。
クレジットカードのメリット
クレジットカードのおもなメリットは、以下の通り。
お金がなくても後払いで決済できる
- クレジットカードを持っていれば、お金を持ち合わせていなくてもその場で買い物を諦める必要がない。
- 後払いの仕組みにより支払いを先延ばしにできるため「今月は厳しいが来月ならボーナス支給がある」と、家電やブランド品などの高額商品を負担なく購入できるだろう。
- また、現代の日本では遅れながらもキャッシュレス化が進んでいる。現金を持ち歩かずとも、たった1枚のカードで不便なくショッピングを楽しめるのは大きな利点だ。
分割払いなら家計の状況に応じて支払える
- 一度では支払いきれない大型出費にも、クレジットカードの分割払いを利用すれば柔軟に対応できる。
- 2021年に実施された 株式会社ビズヒッツのアンケート調査によると、分割払いを利用している年齢層は20代〜30代が多く、理由は「一括で払えない」が最も多数であった。分割払いを利用する目的のほとんどが、男女ともに服・バッグ・アクセサリーだ。
- お目当ての商品に手が届きそうになくても、分割払いを賢く利用することで家計の圧迫を加速させず入手できる点は、クレジットカードの魅力の一つだろう。
ネットショッピングや店舗でスマートに決済できる
- クレジットカードなら、カード情報を入力するだけでネットショッピングを自在に楽しめる。サイトのシステムにもよるが、カード情報を一度登録すれば、その後の買い物で支払方法を選択する際に都度入力する必要がない。
- また、タッチ決済に対応しているクレジットカードなら、店舗のレジに設置されている決済端末にカードをかざすだけでOK。
- 一切の無駄を省いて決済できるクレジットカードは、煩わしさも感じさせない、ストレスフリーなキャッシュレス決済と言える。
クレジットカードのデメリット
クレジットカードのおもなデメリットは、以下の通り。
使いすぎてしまう可能性がある
- 後日引き落としとなるクレジットカードは、現在進行形でお金が減っている感覚がないため、使いすぎてしまうリスクがある。
- カード利用代金をこまめに確認しておかないと現状いくら使ったのかがわからず、使い込めば引落日に口座残高が足りなくなることも。最悪の場合はカードの利用停止に繋がりかねないので、注意したい点だ。
分割払いにおいては所定の金利がかかる
- 家計の状況にあわせた柔軟な支払いを叶えてくれる分割払いだが、これは3回払いから手数料(金利)が発生する。分割回数に比例して金利も膨らんでいくため、かえって負担が大きくならないかを考えながら計画的に利用したいところだ。
スキミングやフィッシング詐欺などの懸念も
- クレジットカードには、スキミングやフィッシング詐欺などによって不正利用される危険が潜んでいる。
- 決済端末からカード情報を盗み取られ、偽造カードを作られてしまうスキミングは、ATMや店舗でクレジット決済した際に発生するリスクが高い。
- フィッシング詐欺は、正規のサービスに酷似した偽メールから利用者をサイトに誘導し、カード情報や個人情報を盗み取る行為だ。フィッシング詐欺の見分け方として、以下の項目を注意深く確認しよう。
- ・個人情報やクレジットカード番号などの入力を求められていないか
- ・メール差出人のアドレスや本文中のURLが偽装されていないか
- 基本的に、クレジットカード会社がユーザーID・パスワード・カード番号・暗証番号などをメールで問い合わせたり変更を促したりすることは、まずあり得ない。
- このほかにも、スパイウェア・サーバーハッキング・紛失盗難などによる不正利用がある。とはいえ、指定の日数を遡って被害額を負担する「不正利用補償」が設けられているクレジットカード会社が大半なので、大きな心配は要らないだろう。どのカード会社も、クレジットカードのセキュリティー自体を強化している傾向にあり、比較的安心して利用できる。
- また、SNSにクレジットカードの番号をむやみに晒したり、店員に気安く手渡したりすることを避けるのも、不正利用を防止するためにできる個人的な対策だ。
クレジットカードの種類は「ランク」「国際ブランド」「発行会社」に分けられる
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クレジットカードの種類は「ランク」「国際ブランド」「発行会社」の3つに大きく分けられる。そこからさらに細分化されるため、本項で詳しく解説していく。
ステータスランクの種類は4つ
クレジットカードのランクは「一般」「ゴールド」「プラチナ」「ブラック」の4種類。一般カードは初心者が最も手を出しやすい種類であり、比較的審査にも通りやすい。また、年会費無料のカードが多い傾向にある。
ゴールドからプラチナ、プラチナからブラックにかけてステータスが上がっていき、それに伴い付帯保険や付帯サービスの充実度も色濃くなっていくのだ。もちろん、ランクが上がるにつれて年会費も高くなる。
一般的にステータスの高さを証明できるのはブラックカードだが、さらに上位の「インビテーションカード(招待制カード)」も知っておきたい。
インビテーションカードは、一定の条件を満たして招待を受ける必要がある、まさに限られた人しか入手できないハイステータスカードだ。
日本で利用できる国際ブランドの種類は5つ
日本国内で利用できる国際ブランドの種類は、以下の通り。
- Visa(ビザ)
- Mastercard(マスターカード)
- JCB(ジェーシービー)
- American Express(アメリカン・エキスプレス)
- Diners Club(ダイナースクラブ)
上記5種類の国際ブランドなら、日本のさまざまな店舗でクレジットカード決済が可能だ。
2020年に実施されたイプソス株式会社による調査では、日本国内における国際ブランドシェア率はVisaが半数を占めている結果となった。JCBのシェア率は縮小しつつあり、一方でMastercardは拡大を進めている模様だ。
また、シェア率が少ない傾向にあるAmerican Expressだが、国際ブランドとしては高いステータスをアピールできる強みがある。クレジットカードを持つだけで自分自身に箔をつけたいなら、検討すべき国際ブランドだ。
ちなみに、上記5つに「銀聯(ぎんれん)」「DISCOVER(ディスカバー)」を加えた国際ブランドが「世界7大ブランド」と呼ばれている。
一般的に分けられる発行会社の種類は5つ
クレジットカードは、発行会社別にも種類を分けられる。おもに、以下の5種類だ。
種類 | 特徴 | 例 |
---|---|---|
銀行系 | 信頼性が高い 充実したセキュリティ ATM手数料の優遇あり |
三菱UFJカード 三井住友カード(NL) みずほマイレージクラブカード |
信販系 | 安定のサービス・サポート ランクや特典が幅広い カードの種類が豊富 |
JCBカード W アメックスグリーン 三菱UFJカード VIASOカード |
流通系 | 生活密着型 割引やポイント還元が多い スーパーやデパートで使いやすい |
イオンカードセレクト エポスカード セブンカード・プラス |
ネット系 | ネット利用に特化 ネットショッピングがお得に セキュリティ対策強化 |
楽天カード PayPayカード Amazon Mastercard |
交通系 | オートチャージ機能が便利 航空会社発行ならマイルに強い 一部旅行傷害保険の付帯あり |
ビュー・スイカカード 東京メトロ To Me CARD Prime PASMO JALカード |
それぞれ、〇〇系と分類されるだけあって、特化型カードならではの強みを持っている。ほかにも、携帯系(通信系)や投資系と呼ばれるカードも展開されており、クレジットカードは日々多様化しているのだ。
クレジットカード利用時の注意点
クレジットカードを利用する際は、以下の注意点を押さえておきたい。
- 第三者に貸さない
- 第三者に暗証番号を教えない
たとえ家族でも、クレジットカードを第三者に貸すのは危険だ。クレジットカードの貸し借りは、カード会員規約に基づき禁止されている。違反が発覚すればクレジットカードを解約される可能性があるため、本人以外は絶対に利用せず、家族なら家族カードの発行を検討しよう。
また、第三者に暗証番号を教えるのもタブーだ。不正利用の被害額は負担されるといえど、原則として故意による場合は補償されない。暗証番号が使用された不正利用は支払責任が発生する理由から、誰にも教えてはいけない秘匿性の高い情報なのである。
このほかにも、基本的な使い方として、引落日に残高不足とならないよう利用状況を確認しておくことや、利用できる金額には一定期間で上限が設けられていることも注意しよう。支払いの延滞・滞納はクレジットカードの利用制限や利用停止に繋がる可能性があり、最悪の場合は解約になりかねない。
便利なクレジットカードは支払方法の選択肢が増える
クレジットカードとは、手元に現金がなくても簡単に支払えるキャッシュレス決済方法だ。遅れながらもキャッシュレス化が進む日本において、便利なクレジットカードは持っているだけで支払方法の選択肢が増える。国際ブランドによるが、当然ながら海外での利用も可能だ。
タッチ決済のようにスマートな支払いを叶えるメリットがある一方で、デメリットとしては借金や散財のリスクが潜む。とはいえ、計画的に利用すれば何ら心配はなく、不正利用補償や不正検知システムの導入など、対策も申し分ない。
現金主義者は、これを機にクレジットカードを手に入れて、フレキシブルな支払いを体験して欲しい。