マーク・ザッカーバーグ率いるメタは、従業員に対するオフィス出社義務をさらに厳格化する。
Charles Platiau/Reuters
メタは従業員に対し、オフィス出社義務化(RTO:Return to Office)の方針を徹底している。今後は従業員がRTOポリシーに従っているかどうかを経営陣が監視し、遵守しなければ失職の可能性があると同社は通達を出している。
メタは8月17日、6月に発表したRTOポリシーに関する最新情報を従業員に伝えた。メタの人事責任者ロリー・ゴーラー(Lori Goler)が社内フォーラム「ワークプレイス(Workplace)」に投稿した内容によれば、「オフィスに配属された」全従業員は出社するか、少なくとも週3日は出社して業務にあたることが義務づけられる。すでにフルリモートワークを承認されている従業員は、週3日出社の義務に従う必要はない。
「これを公平かつ実効性のあるものにするためには、説明責任が極めて重要です」(ゴーラー)
ザッカーバーグの手のひら返し
メタの管理職は、従業員がRTOポリシーを遵守していることを確認するために毎月従業員をフォローアップする責任を負う。複数回違反した従業員は、懲戒処分を受けたり、失職したりする可能性もある。
「管理職は、現地の法律と労使協議会の要件に従って、バッジとステータスツール(Status Tool)の情報を毎月確認し、要件を満たしていない者をフォローアップすること。当社の他のポリシーと同様、複数回にわたって違反すると、評価が下がるなどの懲戒処分が科せられ、対処されなければ最終的には解雇される可能性があります」(ゴーラー)
Insiderがメタの広報担当者に問い合わせたところ、次のような回答が得られた。
「特に当社の技術が向上するにつれて、リモートワークは将来的にも引き続き重要だと考えています。
直近では、当社の対面重視の方針は、オフィス勤務を選択した従業員のほうが強力で貴重な体験を得られるよう設計されています。また、当社はリモートワークのどの分野に投資するか、十分に考慮し、明確な意図を持って取り組んでいます」
メタは2023年6月に初めてオフィス復帰の取り組みについて従業員に通知し、オフィス勤務の従業員は、レイバーデー(毎年9月第一月曜日の祝日)明けから週に何日かは出社すべきだと通知した。
この社内発表に先立ち、CEOのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)は、オフィス勤務のメリットを社内外に向けて強調するようになった。3月には従業員1万人の追加レイオフを発表したが、ザッカーバーグはその通達の中で、同社が分析したところ「若手エンジニアは、チームメイトと少なくとも週3日対面で働くと平均の実績が向上する」ことが示されたと記している。ただし、この分析の詳細は共有されていない。
この新たなポリシーの下では、もともと完全リモートワークの前提で採用された少数の人員を除いて、新たに入社した従業員はオフィス勤務を求められる。18カ月が経過したのち、実績評価が良好だった従業員は完全リモートワークを申請できる。
ゴーラーの通達によれば、ここでいう「完全リモートワーク」とは自分用のデスクスペースが確保されないという意味で、「2カ月に4日以上」のオフィスへの出社は想定されていないとのことだ。
メタは依然としてリモートワークを一部の従業員に許可しているが、コロナ禍が始まった当初に同社がリモートワーク推進の姿勢を示していたことを考えると、全社的にオフィス復帰を進める今回のような姿勢は大幅な路線変更といえる。
ザッカーバーグは2022年3月にポッドキャスト『The Tim Ferris Show』に出演してメタの長期戦略について語り、2020年代末には「会社の50%以上」が「分散してリモートで勤務する」ことを望んでいると話していた。そして、同社のメタバース事業がバーチャルリモートワークという新時代の新たな選択肢になるはずだった。
通達全文は以下の通り。
投稿者:ロリ・ゴーラー
【リモートワークの最新情報】
概要
- 当社は6月に、人間関係の健全化とコラボレーションの強化を促進するために、9月5日以降、オフィス配属の従業員は少なくとも週3日は対面勤務を行う必要があることを通知しました。
- 管理職は、毎月チーム、対面勤務時間ポリシーに従わせること。仕事を休むとき(有給休暇、病気休暇、家族の緊急事態などの予期せぬ状況など)、ならびに海外旅行または国内旅行休暇を取得する際には対面勤務時間を補う必要はありません。
- 職務上の理由で必要な場合を除き、リモートワーカーのオフィス出社回数を2カ月ごとに4日以内に制限します。これは、チームが予測可能なスケジュールを立て、より一貫したコラボレーションを実践するためのものです。
ステータスツールが実際の勤務場所を反映するよう、すべての従業員は同ツールを常に最新の状態にアップデートしてください。
6月にお知らせしたとおり、9月5日以降、オフィスに配属された従業員は、人間関係の健全化とコラボレーションの強化を促進するために、少なくとも週3日は対面勤務を行う必要があります。
チームが最適な形で連携して働くには一貫性が鍵となるため、リモートワーカーによるオフィス出社に関して、より細かな規則と明確な指針の策定も実施します。
オフィス勤務従業員の対面勤務時間要件、リモートワーカーへの指針と変更、ロケーション戦略についての当社のアプローチ、オフィスエクスペリエンスに関するリマインダーについて概要を周知します。詳細とよくある質問については「人事ポータル(People Portal)」を参照してください。
対面勤務時間
9月5日から対面勤務時間ポリシーが施行されます。オフィスに配属された従業員は、少なくとも週3日はオフィスに出社するか、クライアントとの会議などの他の対面活動に従事する必要があります。組織によっては、オフィス勤務推奨日のスケジュール設定があるため、コラボレーションを容易にするために、当該の日に優先的に出勤してください。
これを公平かつ実効性のあるものにするためには、説明責任が極めて重要です。管理職はバッジとステータスツールの情報を毎月確認し、現地の法律と労使協議会の要件に従って、要件を満たしていない者をフォローアップすること。当社の他のポリシーと同様、複数回にわたって違反すると、評価が下がるなどの懲戒処分が科せられ、対処されなければ最終的には解雇される可能性があります。
有給休暇や病気休暇をとっている場合、陪審員の任務がある場合、または社休日がある場合など、週に3日出社勤務ができないこともあると思います。その場合は、対面勤務時間を補う必要はありません。家族の緊急事態や通勤に危険がある場合など、予期せぬ状況も考慮されます。海外および国内旅行休暇は引き続き利用できますが、年間の出社勤務時間としてカウントされるのは、海外および国内旅行休暇を合わせて20日に限ります。当社は全員が正しい判断を下し、ポリシーの精神に従って行動することに信頼を置き、必要に応じて例外的なケースに対処します。
リモートワーカーのオフィス出社
リモートワークは、在宅勤務に専従する人を対象としたものであり、オフィスで通常勤務を行いたい人を対象としたものではありません。チームが予測可能なコラボレーション慣行を構築できるように、明確なビジネス上の理由(チームのオンサイト、必要な対面会議)、または社員総会(Company All Hands)、メタメイトミートアップ(Metamate Meetup)、ハッカソン(Hackathon)などメタ主催のイベントに参加する場合を除き、リモートワーカーのオフィス出社回数を2カ月に4日以内に制限します。
管理職は、現地の法律および労使協議会の要件に従ってこれを毎月確認すること。何度も基準を超えるリモートワーカーはオフィスに異動となり、週3日以上の対面勤務要件を満たす必要があります。
リモートワークの申請
今後は、組織のリーダーがリモートワーク申請を月次で審査するサイクルに移行します。リーダーが組織固有の拠点戦略を実行する際に、これらのリクエストが組織やサイトに及ぼす影響を完全に評価して理解できるようにするためです。越境リモート要請は第4四半期まで引き続き保留とします。
本日から9月末までに提出された申請は10月末までに審査が行われ、以降毎月審査されます。8月17日以前に提出されたリモート申請は、管理職の承認を待って進められます。
ステータスツール
オフィス勤務者であれリモートワーカーであれ、全従業員が、理想的には2週間前には勤務場所についての最新情報をステータスツールに登録する必要があります。これによって、チームとの時間調整が容易になり、「カレンダー(Calendar)」でミーティングルームを管理できるようになり、施設の計画が効果的にサポートされ、メタが税金を正確に源泉徴収できるようになり、管理職への月次レポートに対面勤務時間が正しく反映されるようになります。
これを容易にするために、事前にステータスを設定できます。9月5日以降、ツールで自分のデータを定期的に確認して、出社勤務要件を満たしていることを確認できるようになります。
ロケーション戦略
メタでは出社勤務時間の価値を最大化するために、チームのコロケーションに重点を置きます。組織のリーダーは引き続きロケーション戦略の正式な策定作業を行っており、数週間以内に詳細をお知らせする予定です。リーダーは、その戦略の一部として、海外オフィス所在地とリモートワーク(社内のみ)を含めることができます。
組織のロケーション戦略は、将来の採用と異動の決定に利用されます。組織の新しいロケーション戦略に含まれていない場所(リモートを含む)で勤務する場合に、異動または転勤を求められることはありません。
すべての外部ポジションのロケーションは9月中旬までに更新されます。6月にお知らせしたように、外部のリモート採用は、例外的に承認された少数の候補者に限定します。当社では社内のみのリモートポジションを可視化するよう取り組んでいますが、リモートという選択肢があるかどうかは採用責任者に問い合わせてください。