撮影:今村拓馬
日本の女性管理職の割合が「過去最高」、しかし割合はいまだ1割にも届かない……そんな調査を8月17日、帝国データバンクが公表した。
調査対象は、1万1265社(有効回答)、調査期間は約1カ月前にあたる7月18日〜31日。同調査は2013年以降、毎年7月に実施しており、今回で11回目にあたる。
出典:帝国データバンク
2023年の最新調査では、有効回答企業全体の平均で、女性管理職の割合は9.8%だった。この数字は過去最高ではあるものの、いまだ1割に満たないという、日本の現状をむしろ浮き上がらせる結果とも言える。
同調査の過去の推移や構成をみると、いくつか興味深い点が見えてくる。ここでは特に2点を指摘しておきたい。
1.「管理職全員が男性」という企業の比率は過去3年でほぼ変化していない
女性管理職割合30%以上の企業は、確かにこの3年で増え続けている。2021年比では1.2ポイント増加した。
ただ、圧倒的多数は「管理職が全員男性(女性0%)」と回答した企業で、最新調査でもおよそ半数にのぼる。さらに注意したいのは、この「女性管理職0%企業」の比率は、過去3年でほぼ横ばいを続けていることだ。
圧倒的多数が「管理職が全員男性」の企業なのだから、この企業群をどうやって変えていくかが、今後の女性管理職の割合を高めていくうえで、大きな課題と言える。
2. 大企業の「女性管理職の割合」の低さが足を引っ張っている
調査結果は全体の平均のため、企業規模による「女性管理職の割合」の違いが、全体の数字にどんな形で影響を及ぼしたのかもポイントだ。
※調査における大企業、中小企業の区分については、記事末尾に「企業規模の区分」の図を掲載
回答した1万1265社の企業規模の内訳は以下のようになっている。
出典:帝国データバンク
中小企業が8割超、小規模企業を省いても半数が中小企業という調査になっているのは1つのポイントだ。この比率を踏まえた上で、企業規模別の女性管理職の割合を見ると、「全体平均が9.8%」という数字の見え方が変わってくる。
赤罫線は編集部による加工
出典:帝国データバンク
この図を見ると、8割超の中小企業が10%超の女性管理職割合であるのに対して、全体の15.2%に過ぎない大企業の女性管理職割合が低く(7.5%)、全体平均で9.8%という結果になったという構図だ。
この図と似ているが、すでに「女性管理職30%を超えている企業」の割合も、同調査では公表している。次の図がそれだ。
出典:帝国データバンク
ここでも、大企業の割合の低さは目立つ。
政府は6月、東証プライム上場企業に対して2030年までに女性役員比率を30%以上にする「女性版骨太の方針」を決定している。
しかし、管理職の段階で女性の割合が10%にもほど遠い大企業が多いなかで、「2030年までにプライム上場企業の女性役員比率30%」は相当な急ピッチで組織改革に取り組まない限り、実現は非常に厳しいのではないかと考えざるを得ない。
今回の調査の企業規模区分。業界によって、従業員数や資本金額が異なる。
出典:帝国データバンク