新たなビットコインが流通する速度はおよそ4年ごとに半減する。
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- ビットコインの半減期とは、ビットコインのマイニングに対する報酬が半減するイベントのことで、それによってコイン1枚あたりの価値は高まってきた。
- 現在の発行速度においては、ビットコインの半減期は4年に1度訪れており、次回は2024年になると予想されている。
- ビットコインの半減期は、コインの総量を2100万までに制限するためのシステムの一部だ。
ビットコインの性質はいくらか漠然としているようにも思えるが、その数は有限である。ビットコインの総数が2100万を超えることはない。現時点ですでに1900万枚がマイニング(採掘)されているので、つまり残りは200万枚だけだ。
ビットコインには4年ごとに「半減期」が訪れ、時とともにコインの価値が下がることを防いでいる。
ビットコインの半減期とは?
ビットコインの半減期とは、ビットコインが新たに流通する速度が半分になるタイミングを意味する。これはビットコインの供給量に一定の上限を設けるシステムの一部だ。
一方、米ドルなどの不換紙幣には、基本的に供給量への制限がなく、政府が印刷しすぎれば価値を失う。まさに、ビットコインとは対照的だ。
ビットコインの半減期の仕組み
ビットコイン半減期の仕組みを理解するためにはまず、ビットコインが生成される基本的なプロセスを知る必要がある。
ビットコインは分散型システムのもと発行される。マイナー(採掘者)と呼ばれる人々が高性能のコンピューターシステムを使用し、ブロックチェーンという台帳上の取引を検証するために暗号パズルを解く。その報酬として、新たに作成されたビットコインを受け取るのだ。
ビットコインのマイニングは一種の競争である。マイナーたちは互いに競い合ってブロックチェーンに新しいブロックを追加する。ブロックを追加するごとに、報酬として一定数の新しいビットコインがそのマイナーに与えられる。ビットコインの創始者は、一定期間ごとにブロック追加の報酬が半分になるようにプログラムを組んだ。
マイニングの報酬は21万ブロックが追加されるごとに半減する。現在、その量のブロックを追加するには4年ほどかかるため、これまでビットコインの半減期はおよそ4年間隔で発生してきた。もっとも最近である3度目の半減期は2020年5月に起こった。次回は2024年と予想されている。
理論上、ビットコインは2100万枚生成されるとそれ以上は発行されない。「地球上の金(きん)の量に限りがあるように、ビットコインの総量も2100万枚に限られている」と、アフリカの暗号通貨取引所クイダックス(Quidax)のブチ・オコロCEOは言う。「ビットコインはインターネット上の天然資源のようなものとして考えてもいいだろう。だからこそ『デジタルゴールド』と呼ばれているのだ」
ビットコインの半減期はなぜ起こるのか?
ビットコインの発明者はいまだ謎のままだが、デフレ的な性質を持つ通貨になるように作られたと考えられている。つまり、時とともに購買力が上がるのだ。
半減期によってマイニングの報酬が減ると、ビットコインの生成は相対的に金のかかる作業になる。そうして、やがてコイン1枚あたりの価値が高まっていく。時とともに購買力が落ちる米ドルのような通貨とは逆だ。
しかし、ビットコインが本当にデフレ的な資産であるかどうかについては、まだ議論の余地がある。
「ビットコインが財やサービスの支払い手段として受け入れられているなら、そのように解釈できるかもしれない」と、イリノイ工科大学で産業技術学と経営学を教える非常勤教授のダニエル・ウォータールー氏は言う。「しかし、ビットコインでの支払いを受け入れている企業はほとんどないので、デフレ性を測るのに適した基準ではないかもしれない」
ビットコインの価値が連動しているのはむしろ、マイニングにかかる電気代やマイニングの報酬として生まれるビットコインに対する人々の購買意欲など、コインが「現実世界」の経済とつながる部分である、とウォータールー氏は言う。「同じ額の電気代で得られるビットコインの数が時とともに減っていき、それゆえ各コインの価値が半減期前よりも上がらなければならないという意味では、ビットコインにはデフレ的性質があると言える」
ビットコインに半減期が設けられている理由をめぐる別の説には、発明者が早い時期に生成されるコインの割合を多くすることで人々をマイナーとして呼び込もうとしたというものもある。
ビットコインの半減期はコイン価格にどう影響する?
過去のデータを見ると、ビットコインの半減期とビットコイン価格の上昇には相関関係がある。もちろん、価格は半減期だけでなくさまざまな要因に左右されるが、これまでの3度の半減期前後に見られた価格変動を以下にまとめる。
- 1度目の半減期:2012年11月に最初の半減期が訪れたとき、ビットコインの価格は約11ドル(約1560円)だった。それが1年以内に100倍に膨れ上がった。
- 2度目の半減期:2016年7月、42万ブロック目がマイニングされたことで2度目の半減期が発生した。ビットコインの価格は数カ月間、500ドル(約7万900円)から1000ドル(約14万2000円)の間で推移したのち、2017年12月までには約2万ドル(約284万円)に上がった。
- 3度目の半減期:3度目の半減期は2020年5月に発生し、このときも価格の急上昇をもたらした。半減期の発生時、ビットコインはおよそ9000ドル(約128万円)で取引されていたが、年末までには約3万ドル(約425万円)まで上昇した。
「ビットコインの普及サイクルの初期、価格とマイニング速度の間には非常に強い相関関係があった」と、ビットコインマイニングを行なうファンドであるリディバイダー・ブロックチェーン(Redivider Blockchain)のトム・フレイジャーCEOは言う。「ビットコインが成熟期に入ろうとしている今、このコインを採用する国が増え、より安定した技術および規制のインフラが整うにつれて、半減期が価格に与える影響は回を追うごとに小さくなっていくだろう」
ビットコインのデフレ的性質については、ブロックチェーン商工会議所(Blockchain Chamber of Commerce)でデータ分析・意思決定科学部門を率いるトレイシー・レヴィーン氏によれば、これから作られる歴史が説明してくれるという。
「2140年までに予定されている計64回の半減期のうち、発生したのはまだ3回のみだ」とレヴィーン氏は言う。「半減期後に高値と安値がともに上がる傾向が今後も続くのなら、恣意的にインフレさせることのできる他の資産に対するインフレヘッジの手段として将来的にも機能しつづけるはずだ」
すべてのビットコインが発行された後はどうなる?
最後の半減期は2140年に起こると予測されており、その後のマイニング報酬はビットコインという形では与えられなくなる。それでも同ブロックチェーン上で取引を続けるインセンティブを維持するため、ビットコインを売買する際にユーザーが支払う取引手数料は引き続きマイナーに報酬として与えられる。
まとめ
2012年に初めて発生したビットコインの半減期は、およそ4年に1度起こるイベントとして大いに注目を集めている。これは、コインの供給量を一定に保つためプログラムされたものである。
これまで半減期はビットコインの価格に大きな影響を与えてきたので、投資家としてはいつ起こるのか認識しておくことが重要だ。次の半減期は2024年と予想されている。