グーグルの拡張現実の夢はいかにしてカオスと化したか

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Arantza Pena/Insider

2023年6月、アップル(Apple)は待望の「Vision Pro」ヘッドセットを発表した。ティム・クック(Tim Cook)CEOが「革命的」と呼ぶこの新製品を披露するのを、人々は興奮気味に見守った。だがグーグル(Google)社内では、一部の従業員たちが別の感情に襲われていた。フラストレーションだ。

何年もの間、グーグルはユーザーを魅了する新製品で「複合現実(MR/Mixed Reality)」分野に再参入しようとしていた。拡張現実(AR)デバイスの最初の試みであった「グーグルグラス(Google Glass)」は世間的には大失敗に終わり、その後のバーチャルリアリティ(VR)製品もすぐに勢いを失った。

それでもグーグルのリーダーたちは、「顔」が次のコンピューティングのフロンティアになるという考えを捨てきれず、2020年にARに再挑戦するために新しいチームを結成した。グーグルは最終的に、社内で「プロジェクト・アイリス(Project Iris)」と呼ばれるデバイスに注力。アップルはじめ競合企業が取り組んでいた、よりかさばる複合現実ヘッドセットを一気に追い抜く可能性を秘めたARメガネを開発した。

グーグルはこれらの取り組みを強化するためにノース(North)とラクシウム(Raxium)というスタートアップを買収したが、ビジョンを実行可能なプロダクトに落とし込む過程で、技術的なハードルに直面した。グーグルは2023年初めにアイリスを終了させ、サムスン(Samsung)と共同開発しているコードネーム「プロジェクト・ムーハン(Project Moohan)」と呼ばれるヘッドセットに関心を移した。

グーグルはまた、アイリスのソフトウェアを、ARグラスを開発するパートナーに売り込むためのプラットフォームに作り替えるという新たな取り組みにも着手した。経営陣は、早ければ2025年にもローンチ予定としている。

アップルやメタ(Meta)との競争が激化するなか、グーグルのARの失敗に従業員がいら立ちを募らせている。ライバル企業たちもまた挫折に直面しているが、アイリスはころころ変わる戦略と焦点の定まらない経営幹部に悩まされてきた。

グーグルのARへの取り組みをよく知る現・元従業員7人の話からは、グーグルがハードウェア分野で優位に立とうと懸命にもがいている様が見えてくる。匿名を条件にInsiderの取材に応じた彼らによれば、2023年1月に実施されたレイオフと幹部人材の流出もAR部門の衰退を招いたという。

グーグルのARへの取り組みについて、ある関係者は「生かじりのまま手を出しているだけです。そんな状態でこの業界をリードすることはできないと思う」と語る。

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