ソフトバンクは同社のサブプランサブプラン「ワイモバイル」の新料金プランを発表した。
撮影:小林優多郎
ソフトバンクは8月23日、同社のサブブランド「Y!mobile」(ワイモバイル)の新料金プラン「シンプル2」を発表した。
シンプル2は10月初旬から展開予定。既存の「シンプル」プランはシンプル2開始に合わせて提供を終了するが、契約中のユーザーが自動的に新プランに移行されることはない。
2になって変わった点としては、月間で使えるデータ容量が増加したほか、割引判定にPayPayカードでの支払いの有無が追加されている。
ソフトバンクとしては、他社の中容量プランと比べた際の競争力を上げつつ、PayPayを筆頭にしたグループシナジーを加速させたい狙いがある。
容量別3プラン構造は変わらず、容量・料金ともに増
新料金プラン「シンプル2」の詳細。
撮影:小林優多郎
シンプルからシンプル2になるとはいえ、プラン内の構成は変わらない。容量別にS/M/Lプランが用意されており、以下のような基本料金となっている。(以降、明記がない限りいずれも税込)
10月初旬から始まる料金プラン
- シンプル2 S……月間4GB、月額2365円(1GBあたり約591円)
- シンプル2 M……月間20GB、月額4015円(1GBあたり約201円)
- シンプル2 L……月間30GB、月額5115円(1GBあたり約171円)
参考:現在の料金プラン
- シンプル S……月間3GB、月額2178円(1GBあたり726円)
- シンプル M……月間15GB、月額3278円(1GBあたり約219円)
- シンプル L……月間25GB、月額4158円(1GBあたり166円)
キャンペーンなどで利用できるデータ量が増える場合もあるが、プランの基本値を見ると全体的にデータ量と金額がそれぞれ上がっているのがわかる。ただし、SとMに関しては1GBあたりの単価は下がっている。
新プランでは使えるデータ容量が増えているが、超過後の速度制限は従来とは異なる。
撮影:小林優多郎
シンプル2ではここからさらに以下のような割引が発生する。
- PayPayカード割……PayPayカードもしくはPayPayカードゴールドで月々の料金を支払うと月額187円の割引き。
- おうち割 光セット(A)……SoftBank 光かSoftBank Airに加入しているとSなら月額1100円、M/Lなら月額1650円の割引き。
- 家族割引サービス……家族もしくは同住所に住む人がワイモバイルを契約している場合、月額1100円の割引き。
おうち割 光セット(A)と家族割引サービスは併用できないため、いずれかとPayPayカード割引を適用すると、以下のような最低金額になる。
10月初旬から始まる料金プラン(各種割引適用後)
- シンプル2 S……月間4GB、月額1078円
- シンプル2 M……月間20GB、月額2178円
- シンプル2 L……月間30GB、月額3278円
従来プランの場合はPayPayカード割が存在しなかったが、おうち割 光セット(A)もしくは家族割引サービスを適用でき、適用後の最低料金はSは88円、Mは188円、Lプランは308円の値上げになる計算だ。
なお、MとLに関しては、実際の利用データ容量が月間1GB以内の場合は、月額2915円(割引適用後は月額1078円)に自動割引される。
通話定額オプションも料金が上がっているが、その分関連通話関連の追加機能の料金が免除される。
撮影:小林優多郎
そのほか、2つの通話定額オプションも10月初旬以降から名前と価格が改定される。
1回10分以内の通話かけ放題の「だれとでも定額+」は月額770円から月額880円に値上げ。国内通話が24時間かけ放題の「スーパーだれとでも定額+」は月額1870円から月額1980円に値上げとなる。
ただし、2種のかけ放題オプションのいずれも、留守番電話プラス(月額330円)、割込電話(月額220円)、グループ通話(月額220円)、一定額ストップサービス(月額110円)といった通話系オプションの追加料金が不要になるため、これらのいずれかのオプションかつ音声通話をヘビーに使うユーザーであればお得になると言える。
PayPayカードを加速。10月に統合するLINEヤフーともシナジー狙う
ソフトバンク専務執行役員の寺尾洋幸氏。
撮影:小林優多郎
データ容量のGB単価で見れば値下げしているものの、データ容量に関わらず最低料金は上値上がりした。つまりあまりデータを使わない人にとっては実質値上げ、というのが今回のプランの全容だ。
今回の新料金プラン発表に合わせてソフトバンクが開催した記者向け説明会で、同社専務執行役員の寺尾洋幸氏は「(契約者が使う)データ量はコロナ初期の2020年に比べて倍以上伸びてきている」「2022年度の終わりぐらいから料金改定が必要と考えてきた」と容量増加の狙いを説明した。
一方で、ベース料金の値上げやPayPayカード支払いを進めることによる決済手数料の抑制、シンプル2プランで適用される2段階の速度制限によって、「収益もあり、(契約者が)利便性を得られるチャンスでもある」(寺尾氏)と、バランスをとったとした。
ワイモバイルが提供する特徴は大きく変わらない。
撮影:小林優多郎
寺尾氏は、他社と比較して比較的単純と言える料金だけでなく、全国約2500カ所の実店舗などのサポート体制、ヤフーとのシナジーが、ワイモバイルの提供したい価値だと語る。
ヤフーとのシナジーに関しては、すでに提供しているYahoo!プレミアム(月額508円)が無料付与される契約者向け特典を継続する。
PayPayカード割はグループシナジーの代表例だ。ただし、発表から提供開始まで1カ月程度必要になる理由についても「PayPayカードの連携などの開発工数の関係で時間をいただく」(寺尾氏)と、そのシナジー強化が理由であることをあることが明らかになっている。
撮影:小林優多郎
PayPayカード割に関しても、NTTドコモやKDDIは年会費が発生するゴールドカード特典を充実させる一方で、ソフトバンクは年会費無料の「PayPayカード」を割引判定の対象にしている。まずは「PayPayカードを伸ばしていく」(寺尾氏)という、グループシナジー強化の意図を強く感じる点だ。
また、ヤフーと言えば現在親会社のZホールディングスが、10月には傘下のヤフーとLINEを改めて合併させ、LINEヤフー社となる大変革を控えるが、その点について寺尾氏は、23日時点では言及を避けた。
ただし、「(統合の)中では当然、もう一段のシナジーを活かしていこうと計画している」(寺尾氏)と、今後の更なる関係強化を予告している。