民間軍事会社ワグネルの創設者、エフゲニー・プリゴジン。2023年6月24日。
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- ロシアのメディアは、18日日に墜落した飛行機の乗客名簿にエフゲニー・プリゴジンの名前が記載されていると報じた。
- ビジネスジェットに乗っていた10人全員が死亡したが、ワグネルのリーダーが実際に乗っていたかどうかは不明だ。
- アメリカ当局者らは、同氏の死亡が確認されたとしても「驚くべきことではない」と述べた。
ワグネル・グループのリーダー、エフゲニー・プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)が8月23日の飛行機墜落事故で死亡していたとしても、「誰も驚くべきではない」とアメリカ当局者は述べた。彼の消息はまだ不明だが、ロシアの国営メディアは、墜落して乗客全員が死亡したジェット機の乗客リストに彼の名前があったと報じた。
8月23日の夕方、モスクワとサンクトペテルブルグを往復していたプライベートジェットがモスクワ郊外のトヴェリ付近に墜落したと国営タス通信が報じた。パイロット3名と乗客7名を含む10名全員が死亡したと報じられている。乗客リストにプリゴジンの名前があったが、傭兵会社のボスが実際に搭乗していたかどうかはわかっていない。
「報道は見た。もし確認されても、誰も驚くべきではない」とホワイトハウスのエイドリアン・ワトソン(Adrienne Watson)国家安保会議(NSC)報道官はInsiderに寄せた声明の中で述べた。
アメリカ国務省の報道官もその点を繰り返し、「ウクライナでの悲惨な戦争は、私兵がモスクワに進軍することにつながり、そして今、このような事態になっている」と付け加えた。
この飛行機事故は、プリゴジンがロシア軍指導部に対する反乱を扇動し、一連の高官粛清と内部権力のシフトを引き起こしたちょうど2カ月後に起きた。ワグネルのボスは当初、大きな処罰を受けることなく逃げ切ったように見えたが、西側当局者はロシアのプーチン大統領が報復を続けるかもしれないと予測していた。
「プーチンは一般的に、復讐とは冷めてから食べるのが一番おいしい料理だと考えている人物だ」とビル・バーンズ(Bill Burns)CIA長官は7月の安全保障フォーラムで語った。
「私の経験では、プーチンは究極の報復の使徒なので、プリゴジンが報復を免れることができたら驚くだろう」
ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は、もし自分がプリゴジンだったら、警戒を怠らないだろうとジョークを飛ばしたこともある。「もし私が彼だったら、食べるものに注意するだろう」とバイデンは7月、プーチンに逆らった人物が過去に毒殺されたことを記者団にほのめかした。プーチンが政権を握っている間に殺害したと考えられている人物は枚挙にいとまがない。
武力反乱後のプリゴジンの行方は謎に包まれている。ベラルーシはロシアとワグネルの間の混乱を終わらせるための交渉を仲介し、その結果、プリゴジンは隣国に亡命し、傭兵たちは再びプリゴジンの勢力に加わるチャンスを与えられた。
ワグネル・グループの戦闘員たちは結局、7月にプリゴジンが目撃された軍事キャンプでベラルーシの兵士たちの訓練を始めた。プリゴジンは同月、彼の傭兵たちはベラルーシにしばらく滞在した後、最終的にはアフリカに向かうだろうと語った。
プリゴジンは今週初め、アフリカの非公開の場所から撮影されたとされるビデオに登場した。プリゴジンがその後ロシアに渡り、運命のフライトに搭乗していたかどうかは、まだわからない。
いくつかのワグネル系ソーシャルメディア・チャンネルは8月23日に、飛行機はロシアの防空システムによって撃墜されたと主張したが、飛行機が墜落した原因は不明である。モスクワの国防省はまだコメントしていない。墜落事故に関する調査は継続中のようだ。