金融業界で13億ドルを運用していた私が提供できる、5つの最高の投資アドバイス

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チェルシー・ブレナン氏は、13億ドルのポートフォリオを管理していたときに金融業界でのキャリアを捨てた。

Chelsea Brennan

  • 本記事の筆者、元ファンドマネージャーのチェルシー・ブレナン氏は、金融業界で7年間過ごし、最終的に13億ドル(約1880億円)のポートフォリオを運用していた。
  • そして、証券会社とヘッジファンドで働く間に、賢明な投資方法を学んだという。
  • 1.自分のゴールを理解する、2.最も簡単に勝てるのはインデックスファンド投資、3.長期投資を継続する、4.すべてを理解していると思い込まない、5.あらゆることに備える——これらが彼女からのアドバイスだ。

多くの人にとって、投資は少しばかり謎めいている。

投資は資産形成の優れた方法だとわかっていても、人はいつもささやかなリターンを目覚ましい利益に変えてくれる「秘訣」に耳を傾けてしまう。

私は、世界中の投資マネージャーとともに働き、ヘッジファンドで何十億ドル(何千億円)もの運用に携わってきた。その経験から、投資の秘訣は、パーティーで話題になる株式情報や、レオナルド・デカプリオが主演した映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』に出てくるバカ騒ぎとは何ら関係がないことを悟った。

むしろ、最高の投資マネージャーは、手痛いミスを回避する方法や、こうしたミスがしばしば感情から起こることを知っている。

景気サイクルを通じて投資をしたことがある人なら誰でも、底値を見たときのパニックや恐怖から運用を止めてしまうことにお気づきだろう。私自身も、値動きの激しい金属鉱山セクターに投資をしていた時に、そのようなケースをいくつか目にしてきた。

だが、誰もがこぞって投資をするときや、我先に市場から逃げ出すときこそ、長期的なリターンが決まる時なのだ。

強気相場ではどんな愚か者でも儲けられるが、相場がぱっとしないときには賢明な投資家が収益を維持できるのだ。

私からのアドバイスは次の5つだ。

1.自分のゴールを理解する

経済的自立という概念を理解する前から、私はすでに所得のかなりの部分を貯蓄に回していた。だが、自分のゴールが何なのかわかっていなかったので、これから25~30年は働かなければならないだろうと思っていた。リタイアは漠然とした終着点でしかなく、貯蓄や投資目標を決めるのに十分ではなかった。

今の資産状況や次のステップを把握し、最終的なゴールを詳細に決めることで、より慎重に機会を見極められる。不動産クラウドファンディングのリターンは魅力的に見えるかもしれないが、それに伴うリスクや低流動性にポートフォリオは耐えられるだろうか? 自分のゴールがわかっている場合にのみ、その問いに答えられる。

投資マネージャーならファンドの戦略、インデックスの運用成績、投資家の好みに沿って運用目標を定めるが、個人のゴールは自分固有の資産状況をよく見なければならない。

私がお勧めするのは、出発点として自分の純資産を追跡することだ。それからリタイア後のゴールに向けて、予算を見直し退職後の支出を見積もる。最後に、現在の資産、支出状況、理想の退職年齢を決めて、目標とする退職貯蓄率を計算するのだ。

こうした道しるべを見失った投資家には、リスク評価が難しいだろう。それは暗闇でダーツの矢を投げるようなものだ。

2.最も簡単に勝てるのはインデックスファンド投資

今では誰もが、バンガード(世界で初めてインデックスファンドを個人投資家に提供した運用会社)やインデックスファンド投資を耳にしたことがある。だが、インデックスファンド投資は素人向けに過ぎないと思っているなら大間違いだ。私も含め多くの同僚は個別の株式や債券の銘柄選別に日々を費やしているが、自分の資産の大部分はインデックスファンドで保有している。一体なぜか?

それは、インデックスファンドが最もシンプルで、手数料が安く、長期的に高いリターンを上げる可能性があるからだ。

インデックスファンドは瞬時に分散効果が得られ、市場に連動するため市場と同じリターンが保証される。上場投資信託(ETF)もインデックスファンドと同じようなメリットが得られ、投資額が少ない場合はコストもさらに低下するが、投資信託ほど正確に市場のリターンと連動しないだろう。

誰もが次のウォーレン・バフェットになりたいと思っている。しかし彼でさえも、自分の真似をしても成功するわけではないと言うだろう。あまりに多くの機会を目にして選択を誤る一方で、次のバフェットになるには膨大な時間と経験が必要だからだ。

投資に関しては、手数料が低く人的ミスを除外できるほど、成功する可能性は高まる。毎日ポートフォリオをチェックせずに、最も安く早く分散する方法は、低コストのインデックスファンドを2つか3つ保有することだ。

3.長期投資を継続する

どの景気サイクルでも市場に資金を据え置いておくなど、一貫した貯蓄と投資の重要性について大半の人は耳にしたことがあるだろう。一貫性は、「いくら」「いつ」投資するかだけでなく、戦略にもついても当てはまる。

どの運用会社にも土台となる投資戦略がある。特定の資産クラスに特化しているか、業種に注力しているかにかかわらず、投資家に売り込む基本計画を策定している。インデックスを上回るパフォーマンスを目標にしている運用会社もあれば、すべてが下落している時に安定性を提供し、市場と反対に動く運用を目指すところもある。どのような投資手法であっても、優れた運用会社は戦略を忠実に守る。

投資は長期的なゲームだ。たとえ投資を継続したとしても、頻繁に投資戦略を変えると手数料がかさむだけでなく、市場のタイミングを計ろうとして損失を被る可能性が高まる。

配当狙いの投資家を目指すなら、それを継続しよう。3つのファンドで運用しようと思ったなら、それを実行しよう。だが、自分が天才か失敗者かを判断する前に、必ず十分な期間は投資を継続しよう。平均的な景気サイクルは7年だ。6カ月、1年、あるいは7年であっても市場を上回るパフォーマンスを上げる投資家は多いが、何十年もそれを続けられる投資家はほとんどいない。

簡単に実践できて長期的に持続可能な投資戦略を見つけよう。微調整をして、知識を培おう。本を読み、投資コミュニティを探し、他の選択肢がないか常にアンテナを張ろう。

そして、戦略を大きく変更する前に、時間をかけてなぜ変更するのか吟味しよう。短期的な下落への感情的な反応なのか? リターンを追い求めてのことか? この新しい戦略の優位性が続くと考えているのか? こうした問いに答えるのだ。

4.すべてを理解していると思い込まない

私が知っている優秀なアセットマネージャーの中には、ファイナンシャルアドバイザーを雇って個人資産を管理している人もいる。それがコンプライアンス上の要請のこともあるが、多くの場合、彼らは自分の弱点を知っているからそうしているのだ。そして、機関投資家のための投資は、家族のための運用とは異なることもわきまえている。

誰にでも自分の投資を管理する知力はある。インデックスファンド投資は難しくない。だが、インデックスファンド投資をしたいと思うことと、それを正しく行うために感情をコントロールすることは別なのだ。

リターンを追求し、相場が崩れ始めると資金を引き揚げるのは自然な反応だ。人間は痛みを回避し、快楽を追求するようにできている。だが、毎日数十億ドルを投資しているプロでさえも、自分のお金となると感情に左右されてしまう。

必要なら助けを求めることを恐れてはならない。投資のプロは自分だけで仕事をしているわけではない。投資アイデアを出し、その投資理論を試してくれるチームがいる。それらに異議を唱えてくれる同僚がいる。投資を実践する前にチェック機能を果たしてくれる投資委員会だってある。こうしたネットワークが落とし穴を避け、投資を継続する手助けをしているのだ。

認定ファイナンシャルプランナー(CFP)を雇うのはコストがかかるのか——もちろんだ。手数料が投資リターンを押し下げることはないのか——無論そうだろう。だが、CFPを雇うことによって、もっと自信を持ってストレスを感じずに、投資の回数を増やすことができるならば、それはコストに見合う支出だ。

5.あらゆることに備える

投資目標を定め、リスクを評価し、計画を立てることはできる。何も悪いことが起きないよう祈ることも可能だ。だが、相場や人生がうまくいかない日は誰にでも必ず訪れる。

備えることは、毎日、毎月あるいは毎年がバラ色でないと理解していることに他ならない。投資家は次の相場急落時に自分はどう感じるか考え、パニックによる決断を防ぐよう体制を強化する必要がある。

だが、この備えは投資以外にも必要だ。というのも、相場とは関係ないところで躓くことがあるからだ。数年前、最初の上司であり、初めて婚約プレゼントをくれた人が、50代前半で珍しい症状の脳腫瘍と診断された。彼は3年間闘病し、幸運なことに長期身体障害保険に加入していたが、結局ほどなく亡くなった。

人は望んでいるほど長く働けないかもしれないし、辞めたいときに辞められないかもしれない。また、107歳でぽっくり死ねないかもしれない。だから、自分で資産を管理している投資家は特に、生活防衛資金が極めて重要になる。配偶者がお金に関与していない場合はなおさらだ。

どの運用会社も、保険や監査を通じて、また、投資家の戦略を理解している優秀な部下のチームを育成することで、キーマンリスクを回避しようとしている。仮にキーマンが突如働けなくなれば、会社が介入する可能性がある。個人投資家も同じ準備が必要なのだ。

遺言書を作成し、生命保険と身体障害保険に加入し、必要な場合には配偶者や子ども、家族が介入できるよう書類を一式整えておこう。それには、各種口座、戦略、保険金の使い道に関する詳細、関連資産情報を記載しておく。こうした作業は楽しいものではないが、愛する人たちの人生をずっと楽にしてくれるだろう。

なぜならば、残念ながら誰も将来のことはわからないからだ。もしそれができれば、投資はもっと簡単だろう。

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