新NISA口座は、基本的に一生涯をともにするパートナーとなる。
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- 新NISAでは非課税保有期間が「無期限」となった分、それだけ金融機関選びが重要になる。
- 金融機関選定で特に注目したいのは、つみたてNISA取扱商品数、株式の売買手数料、ポイントなどの特典プログラムの3つだ。
- この3つの観点から、ネット証券・対面証券・メガバンク主要10社のNISA口座の特徴をそれぞれ1分で読める形でまとめた。
新NISAでは、非課税保有期間が「無期限」とされた。つまり、それだけ金融機関選びが重要になる。いずれ移管することも可能だが、基本的に一生涯をともにするパートナーとなるからだ。
現行NISAを利用していれば、新制度のスタートと同時に新NISA口座が同じ金融機関で自動的に開設される。だが、現行NISAと新NISAは別制度のためロールオーバーができない。そのため、これを気にNISA口座の乗り換えを検討している人も少なくないだろう。もちろん、これからNISAというものに、初めて触れる人も多いはず。
NISA口座として利用する金融機関を選定するうえで、特に注目したいのは、以下の3点だ。
- つみたてNISA取扱商品数
- 株式の売買手数料
- ポイントなどの特典プログラム
本記事では、この3つの観点から、ネット証券・対面証券・メガバンク主要10社のNISA口座の特徴をそれぞれ1分で読める形でまとめた。
なお、この情報は2023年8月25日時点のものだ。現在開設できるのは、どこも現行のNISA口座のみとなる。まだNISA口座を開設していない方は、いまから手続きしておけば、新NISAの稼働開始とともに別途専用の口座が自動で開設されるはずだ。
また、新NISAの稼働開始が近づくにつれて、各社サービスの拡充を図る可能性もある。それにあわせて、いずれ本記事もアップデートする予定だ。
1. 楽天証券
No.1のNISA口座開設数(2022年9月時点)を誇り、SNSでの口コミ数もトップクラス。楽天ポイント派は迷わずココだ。
ポイント&特典など:楽天クレジットカードまたは楽天キャッシュで決済したときや、残高が一定基準額を超えるたびに楽天ポイントがたまり、楽天カードユーザーならSPU(スーパーポイントアッププログラム)の対象にもなる。株式、投資信託、海外ETFの各種手数料も無料・キャッシュバックされるので、NISA初心者にも安心の選択肢。買い物でたまる楽天ポイントでNISA商品が購入ができる点も魅力だ。
2. SBI証券
NISA口座数やつみたてNISA取扱商品数で、楽天証券と肩を並べる人気。その理由は、投信マイレージサービスの高いポイント率だ。
ポイント&特典など:月間の投信保有額に応じてTポイント/Vポイント/Pontaポイント/dポイント/JALマイルがたまり、積立を続けるほどに毎月たまるポイントも増加。SBI新生銀行の円普通預金口座とSBI証券の証券総合口座を連携させる「SBI新生コネクト」を登録すると、SBI新生銀行のステップアッププログラムが最上位のダイヤモンドステージに。登録のみで他行振込が月50回無料等の特典が受けられるので、他行振込手数料節約目的だけでも利用価値あり。
3. マネックス証券
クレジットカード積立の還元率で選ぶならココ。高還元率&年会費実質無料のマネックスカードへの乗り換えも選択肢になる。
ポイント&特典など:マネックスカードは初年度年会費無料で、年に1度でも利用すれば翌年の年会費が無料になる。投信の購入でも無料要件対象となるため、クレジットカード積立でポイントを着実にためたい人にオススメ。マネックスカードは投信以外の購入でも1%還元されるので、還元率の下がったクレジットカードからの乗り換え先としてもアリだろう。
4. auカブコム証券
au経済圏ユーザーにはイチ押し。スマホトレード派にうれしい、NISA以外株取引の手数料優遇サービスもアリ。
ポイント&特典など:投資信託の月間平均保有残高に応じて1%のPontaポイントがたまるのが最大のメリット。NISA口座を開設すると現物株式のワンショット手数料、さらに現物株式・信用取引共通の1日定額手数料から最大5%割引になる特典がある。なので、NISA以外もアグレッシブに取引する人は要検討。
5. 松井証券
ロボアドバイザー&専門オペレーターの資産運用アドバイスサポートが充実。相談しながら銘柄や投資頻度を選ぶことにこだわりたい人向け。
ポイント&特典など:最適な投資プランをアドバイスするロボアドバイザー「投信工房」は"ほったらかし運用"にピッタリ。株式投資のサポートダイヤル「株の取引相談窓口」では専門オペレーターに銘柄選びから購入タイミングまできめ細かく相談できる。100円からの毎日積立設定も可能で、相談しながら銘柄や投資頻度を選びたいこだわり派に向いている。
6. 大和コネクト証券
NISAでの株式購入・売却でも利用できる手数料無料クーポンが月に10枚提供される。手数料を気にせず節税ができるのがうれしい。
ポイント&特典など:特筆点は月に10枚もらえる現物取引・信用取引の売買手数料が無料になるクーポン。クーポンはNISA取引でも利用可能で、手数料を気にせず株式投資ができる。
7. 野村證券
証券会社で売上高国内トップ。それだけに、対面証券のなかではNISA口座数も多く、SNSでの口コミも豊富で情報が得やすい。
ポイント&特典など:資産形成セミナーなど投資情報の充実度の高さとIPO取扱実績の高さも強み。
8. 三井住友銀行
選び抜かれた投信ラインアップがうれしい。NISA口座残高保有で、コンビニATM手数料が月3回無料に。
ポイント&特典など:三井住友銀行のNISAの最大のメリットは、NISA口座に1円でも残高があれば、コンビニATM利用手数料が月3回無料になる点だ。「投信と外貨預金の合計残高100万円以上」「預かり資産残高500万円以上」と同じ特典が手軽に手に入る。
9. 三菱UFJ銀行
メガバンク唯一のポイントプログラムあり。積立金額&運用商品残高に応じてPontaポイントがたまる。
ポイント&特典など:メガバンク3行のうち、NISAでポイントがためられるのが三菱UFJ銀行のメリットだ。月間の投信積立金額1万円ごとに30ポイント/月(月間300ポイントが上限)、運用商品残高が50万円以上で50ポイント/月のPontaポイントがためられる。
10. みずほ銀行
他メガバンクはNISA口座に付随する特典が少ないなか、みずほ銀行は優遇サービスのメリットが多い。
ポイント&特典など:毎月合計1万円以上のつみたて投信購入で、みずほマイレージクラブがAステージとなりコンビニATM手数料が月2回無料に。つみたてNISAの運用商品残高が100万円以上だと、最高ランクのSステージとなり、コンビニATM手数料は月3回無料に加えて、他行振込手数料も月3回無料になる。他行振込手数料が最大で月960円お得になる計算だ。
要点だけをまとめた形だが、だからこそ俯瞰で見えてくるものがあるまとめとなった。だが、最後にいまいちど、先述の3つの注目ポイントから横串で見直してみよう。
「つみたてNISA取扱商品数」は一長一短
金融庁が公表する「つみたてNISA対象商品届出一覧」では2023年7月31日現在で合計246本の投信がつみたてNISAの対象となっている。ネット証券は取扱商品数の多さをセールスポイントにしているが、裏返せば個人で投信を選ぶ必要があることにもなる点に注意したい。
一方、対面証券や銀行はつみたてNISAの取扱商品をリスクの小さい商品に限定。自由度が低い代わりに初心者でも選びやすくなっている。投資商品の選択の自由を取るか、低リスクな選択肢のなかから選ぶか、自分の投資スタンスや目的に応じてNISA口座開設先を見極めよう。
「株式の売買手数料」はネット証券が有利
現行の一般NISAでの株式売買を行いたい場合は、銀行では購入できないため、証券会社でNISA口座開設する必要がある。その際に気になるのが売買手数料だ。多くのネット証券ではNISA口座での取引では手数料無料で国内上場株式等を取引できる。
対面証券はオンラインでの注文でも売買額に応じて手数料が発生するため、頻繁に売買を繰り返すのであれば注意が必要だ。NISAによる節税メリットを高めるには、手数料のかからない証券会社を選ぶのがいいだろう。
「ポイントなどの特典プログラム」にも注目
初心者が見逃しがちなのが、金融機関独自のポイント付与プログラムや特典プログラムだ。投資での利益、節税による利益に加えて、特典による確実に得られる利益も無視できない。
ポイント経済圏ユーザー向け選択肢なら楽天証券とauカブコム証券。クレジットポイントの還元率の高さならマネックス証券。マルチポイントサービスならSBI証券と大和コネクト証券と、各社の特徴が分かれている。そのため、ふだん使いのポイントサービスをNISA口座開設先選びの基準にするのも賢い選択だ。
また、銀行では、三井住友銀行にはコンビニATM無料特典、みずほ銀行にはコンビニATM無料特典および他行振込手数料無料特典がある。
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