ヴァザーリの回廊。
Tim Clayton - Corbis/Getty Images
- イタリアのフィレンツェにある460年の歴史を誇るヴァザーリの回廊が今週、落書きの被害に遭った。
- イタリア文化省は、修復には1万ユーロ(約160万円)かかると話していて、今後は武装警備員を24時間体制で配置するという。
- ウフィツィ美術館の館長は、落書きをした人間に対して厳罰を求めている。
ドイツ人観光客に落書きされた歴史的建造物の修復に1万ユーロかかることを受け、今後は武装警備員を24時間体制で配置すると、イタリア文化省とフィレンツェのウフィツィ美術館が発表した。
フィレンツェにあるヴァザーリの回廊 —— ウフィツィ美術館へと続く、460年の歴史を誇る川沿いの通路 —— は8月23日、ドイツ3部リーグのミュンヘンのサッカークラブにちなんだ落書きの被害に遭ったとフィレンツェの市長執務室はCNNに語った。
落書きをしたと見られるのは20歳と21歳のドイツ人観光客で、2人は11人の学生グループでイタリアを旅行していたと、フィレンツェのカラビニエリ(軍警察)はCNNにコメントしている。学生たちの宿泊先を警察が調べたところ、黒のスプレー式塗料と塗料で汚れた衣服が見つかったとCNNは報じている。
イタリアのジェンナーロ・サンジュリアーノ文化大臣は、修復には1万ユーロかかる見込みだと8月24日に発表したコメントの中で述べている。
ウフィツィ美術館は、9月から美術館の施設およびヴァザーリの回廊に武装警備員を24時間体制で配置するとInsiderに語った。
修復作業は8月24日から始まっていて、数日で終わる見込みだという。
修復作業。
Uffizi Gallery
「今回の件は酔った勢いではなく、計画的な行為であることは明らかだ」とウフィツィ美術館のアイケ・シュミット(Eike Schmidt)館長はAP通信にコメントしている。
「象徴的な罰や想像上の情状酌量はもうたくさんだ。わたしたちには法の厳しい拳が必要だ」
今夏、イタリアで観光客に傷つけられたり、汚されたりした歴史的建造物はヴァザーリの回廊が初めてではない。ローマの世界遺産「コロッセオ」でも同様の被害があり、国際的に非難された。
イタリアのダニエラ・サンタンケ(Daniela Santanchè)観光大臣は、こうした素行の悪い観光客を「破壊者」と呼び、「わたしたちの文化遺産に対する敬意がない」と話している。
ただ、考古学の専門家の中には、こうした行為は今に始まったことではなく、人間は常に歴史的建造物を傷つけたり、汚したりしてきたと指摘する人もいる。