アマゾンのジャシーCEO、従業員から「出社義務化というならデータを示せ」と詰め寄られる

アマゾンのアンディ・ジャシーCEO。

アマゾンのアンディ・ジャシーCEO。

Jerod Harris/Getty Images for Vox Media

アマゾンで先日行われた社内集会で、アンディ・ジャシー(Andy Jassy)CEOはある従業員から、出社義務化の裏付けとなるデータを提供するよう迫られた。

アマゾンでは大多数の従業員に対し、決められたオフィスへ週3日は出社することを求めており、これに従わない場合は失職する可能性がある。

しかし、Insiderが入手した集会の録音によれば、ジャシーCEOはデータを提示することはせず、物議を醸している出社義務化は「判断」を呼びかけたものだと表現した。そのうえで、AWSクラウド部門の立ち上げなど、データによる裏付けがあまりなかった過去の重要決定事項を引き合いに出した。

このほかにもジャシーは、「完璧なデータ」はなかったがうまくいった例として、アマゾンのサードパーティー・マーケットプレイス事業への進出や、社内会議でのPowerPointの使用禁止といった意思決定を挙げた。例えば2006年にAWSを立ち上げた際は、アマゾンの中核事業である小売業とは直接つながりがなく、まだ実証されていないビジネスモデルだったため、世間を驚かせた。

ジャシーはこの集会(社内では「フィッシュボウル(金魚鉢)」と呼ばれている)で、次のように話している。

「AWSを進めていくと決めた当時、事業内容はほかの事業とはかけ離れていたし、成功するというデータもありませんでした。実際、社内外のほぼ全員にばかげていると思われていました」

だがアマゾンの経営陣はやると決断した、とジャシーは言い、次のように続けた。

「今回ここで起こっているのも同じことです。経営陣が、オフィスに復帰することが顧客にとっても事業にとっても良いことだと判断したんです」

アマゾンの積極的な出社義務化の方針をめぐってはここ数カ月、従業員と経営陣の関係性は緊張が続いており、今回のジャシーの発言はその最新の動きだ。

アマゾンは2022年、従業員に対し、オフィスに戻す計画はないが、リモートワークについては「適用を進めていく」と述べていた。しかし2023年2月になると、従業員のほぼ全員が週3回以上出社しなければならないとアナウンス。すぐに従業員約3万人が出社義務化に反対する嘆願書を提出したが、正式に却下された。

Insiderの既報のとおり、アマゾンは7月、従業員に中心部の「ハブ」オフィス近くに移転すること、それができないなら「自主退職」するようにと強制し始め、一部の従業員をさらに激怒させた。出社義務に従うため、車上生活や毎週の飛行機通勤など、思い切った生活の変更を検討している従業員もいる。

Insiderはアマゾンにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

CEO 80人と意見交換

出社義務化の意思決定に関し、ジャシーは先日の講演で別の考えも述べている。パンデミックが始まって最初にリモートワークに移行した際も、説得力のあるデータはなかったことを「覚えておくと役に立つ」だろうと述べ、「オフィス勤務は企業文化を教え、浸透させ、会議の質を高めるのに役立つ」と付け加えた。

ジャシーいわく、アマゾンの経営陣は過去2年に及ぶリモートワークに関する「膨大なデータ」に目を通した。具体的なデータは示さなかったものの、過去2年の「かなりの時期」における「当社事業の成果」に経営陣は不満を持ったのだという。

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