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- フランス政府は、国のワイン業界を支援するために余剰ワインを買い取る計画だ。
- 買い取られた余剰ワインは、手の消毒液や掃除用品に使用される工業用アルコールに生まれ変わるという。
- 若者を中心に赤ワインを飲む人が減っていて、フランスのワイン業界は消費習慣の変化に直面している。
若者を中心にアルコールの消費習慣が変化する中、フランス政府は苦しむワイン業界を支援するために2億ユーロ(約317億円)をかけて余ったワインを"破壊"する計画だ。
AFP通信によると、フランスのマルク・フェノー農業・食料主権大臣は8月25日、政府は余剰ワインの購入のために欧州連合(EU)から提供された1億6000万ユーロの基金に最大4000万ユーロを上乗せする計画を発表した。
"破壊"されたワインは工業用アルコールに生まれ変わり、手の消毒液や掃除用品、香水などを作るために販売されるという。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響や生活費の高騰で、フランスのワイン業界は苦戦している。ワインの消費量もヨーロッパ各地で減少している。その一因はインフレによる食品・飲料価格の上昇で、生産が好調な一方で消費者の購入量が減っているとブルームバーグは報じた。
2023年、欧州委員会はワインの消費量がイタリアで7%、スペインで10%、ドイツで22%、ポルトガルで34%、フランスで22%減ったと報告していると、AFP通信は伝えた。
Statistaによると、2005年から2021年の間にフランスのワインの消費量は3350万ヘクトリットルから2520万ヘクトリットルと、約25%減少したという。なお、1ヘクトリットルは標準のワインボトル133本分に相当する。
一方で、若者を中心にノンアルコールビールやノンアルコールワイン、ノンアルコールスピリッツといったノンアルコール飲料がブームとなっている。
IWSR Drinks Market Analysisのスージー・ゴールドスピンク(Susie Goldspink)氏は2022年、フランスは世界で最も急速にノンアルコール飲料市場が成長している国の1つだとガーディアンに語っている。
「昨年は消費者の14%がアルコールを飲まないと答えていましたが、今年はその割合が20%に増えました。フランスは他の市場より、最も若い年齢層のZ世代でアルコールを飲まない人が多くなっています」とゴールドスピンク氏は指摘していた。