餓死した鳥たちの骨。
Ilyas Akengin/Getty Images
- 気温上昇と干ばつの影響で、トルコのヴァン湖が干上がりつつある。
- 水位の低下によって、湖は悪臭を放つ汚染された泥を露出させ、鳥が大量死している。
- これは湖の苦難の始まりに過ぎないと、現地の大学教授はAFP通信に語っている。
トルコ最大の湖で、中東でも2番目に大きいヴァン湖が干上がりつつある —— そして、水位の低下によって、湖は悪臭を放つ汚染された泥を露出させ、「鳥の大量死」を招いていると地元住民はAFP通信に語った。
周辺地域の深刻な干ばつと気温上昇がその主な理由だと、AFP通信は報じた。
ヴァン湖は近年その表面積の1.5%を失っていて、湖の近くにあるヴァンユズンキュユル(Van Yuzuncu Yil)大学のFaruk Alaeddinoğlu教授は「とんでもなく大量の水」が失われているとAFP通信に語っている。湖の水は雨によって補われるスピードの3倍近い速さで蒸発しているとAlaeddinoğlu教授は話している。
そして、新たに露出した荒れ果てた土地は、長年に及ぶ汚染を思い起こさせる。
水位が低下したヴァン湖。
Ilyas Akengin/Getty Images
「ヘドロの大きな塊が悪臭を放ち、人間による環境汚染をより目立たせています」とヴァンユズンキュユル大学のOrhan Deniz教授はAFP通信に語った。
「1990年代には、昼休みに湖で泳いでから大学に戻ったものです。今は泳ぐどころか、足を水に入れることもできません」とDeniz教授は付け加えた。
この地域の干ばつは「インジ・ケファリ」と呼ばれる魚が例年より早くこの地域から移動する原因にもなっている —— その結果、この魚を餌とするカモメが大量死し、湖の岸にその骨や死骸が散乱しているとAFP通信は報じている。
カモメの死骸を確認する地元の環境保護活動家Ali Kalcik氏。
Ilyas Akengin/Getty Images
「昔はわたしたちが泳いでいるとカモメがついてきました。今は鳥が大量死しています」と地元の住民Necmettin NebiogluさんはAFP通信に語っている。
同じ湖でも、他のところよりも早く干上がっている場所もある —— 例えば、北部のチェレビバギ周辺ではすでに湖岸線が2.5マイル(約4キロメートル)近く失われているとAFP通信は伝えている。
「今や生き物のいない不毛の地です」と地元の環境保護活動家Ali Kalcik氏はAFP通信に語った。
干ばつはまた、湖が干上がるにつれマイクロバイアライト —— 泥でできた堆積物、微生物岩とも —— を地表に浮かび上がらせていると、『Hurriyet Daily News』は1月に報じた。
2.5マイル近く失われた湖岸線を指すAli Kalcik氏。
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地元では「水中の妖精の煙突」と呼ばれることもあるこの岩層は、壊れやすいサンゴ礁に似ていると『Hurriyet Daily News』は伝えている。
『Daily Sabah』によると、この岩層は約80万年前のもので、近年ではこの地域のダイビング観光の資源となっていた。
しかし、水がなければマイクロバイアライトは簡単にボロボロと崩れてしまう岩のようなものになってしまう。
そして、気候変動の影響で干上がっているのはヴァン湖だけではない。
アメリカのネバダ州にあるミード湖では2022年の夏、気温上昇と干ばつのせいで水位が大幅に低下し、長らく消息不明だった少なくとも3人の遺体が見つかった。
水位が下がれば下がるほど、白骨化した遺体がさらに出てくる可能性があると法人類学者は話している。