エヌビディアのジェンセン・フアンCEO。2018年1月7日、米ネバダ州ラスベガスで開催されたCESの基調講演で。
Rick Wilking/Reuters
- 権威ある調査会社のセミアナリシスがこのほど、テック界を2つのグループに分けた。
- その1つが「GPUプア」で、エヌビディアの最新AIチップの利用が限られているグループ。
- もう「1つが「GPUリッチ」で、大きくリードしているグループだ。各グループに属する企業を以下に挙げる。
エヌビディア(Nvidia)は、最もパワフルなAIモデルのトレーニングに必要なGPUを開発している。このチップを多く手に入れることができれば、他社を大きくリードすることができる。逆に供給が十分でなければ、初めから遅れを取ることになる。
もはや決算説明会で、できるだけ多く「AI」と言っている場合ではない。この超高額な装置を導入するための技術要素、その他インフラ、優れた計画が、実際になければならない。エヌビディアのGPUの最前線にいること、エヌビディアに気に入られることは、今や必須だ。
調査会社セミアナリシス(SemiAnalysis)のディラン・パテル(Dylan Patel)とダニエル・ニッシュボール(Daniel Nishball)がこのほど、この状況について説得力のある投稿をした。この記事は大半が有料コンテンツとなっているため、AIについて真剣に考えている読者には、同社の素晴らしいニュースレターを購読することを勧める。ここでは、無料で読むことができる範囲について、筆者の個人的な意見をシェアする。
GPUプア
パテルとニッシュボールは、テック界を2つの大きなグループに分けた。それが「GPUプア」と「GPUリッチ」だ。GPUプアはそのほとんどが、スタートアップとオープンソースの研究者らであり、GPUの供給不足にあえいでいる。
その筆頭がヨーロッパのスタートアップや、政府が支援するスーパーコンピューター、例えばジュール・ベルヌ(Jules Verne)などで、セミアナリシスの記者らは「まったく競争力がない」としている。
有名なAI企業では、ハギング・フェイス(Hugging Face)、データブリックス(Databricks)、トゥギャザー(Together)もGPUプアだ。
エヌビディアからGPUを大量に購入しているものの元は取れていない、中間層の小規模グループもある。コーヒア(Cohere)、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)が、これにあたるという。
GPUリッチ
パテルとニッシュボールは次に、エヌビディアのGPU、A100とH100の両方またはいずれかを、2万以上保有する企業をリストアップした。
トップはOpenAI、グーグル(Google)、アンスロピック(Anthropic)、インフレクション(Inflection)、イーロン・マスク(Elon Musk)のX(旧Twitter)やメタ(Meta)で、研究者のコンピュート・リソース比率が最も高いと著者は記している。
このうち数社は、中国の複数の企業と同様、2024年までに10万以上のGPUを確保することになる。メタは、H100 GPUの保有数で世界第2位になるだろうと著者は指摘した。
では、GPUリッチのトップ企業はどこだろうか。
それはグーグルだという。グーグルは「世界で最もコンピュート・リッチな企業」であり、「無敵に効率的なアーキテクチャ」があるとパテルとニッシュボールは記した。
数年前、自社をAIファースト企業と発表したグーグルは、まもなく次世代大規模AIモデル、その名もGemini(ジェミナイ)を展開することになる。すでに、その次のバージョンをトレーニング中だ。OpenAIは警戒していることだろう。
「グーグルは覚醒し、年末までにGPT-4のすべての事前トレーニングのFLOPSの5倍のペースで開発している」とアナリストは書いている。
「現在のインフラ整備を考えれば、来年末までに20倍も可能だ。グーグルが創造性や既存のビジネスモデルを損なうことなく、これらのモデルを公にする度量があるかどうかは、別の議論だ」