持ち家か賃貸か? 「気候変動」が私たちの将来の住処も予測不能にする

shutterstock_709918504

気候変動のため、家を持つべきか決められない。

2M media/Shutterstock

  • 本記事の筆者ジャッキー・ラム氏は友人たちと、気候変動が老後に及ぼす影響を予測できないと話をすることが多いという。
  • 自然災害が発生する場所に住むと、住宅所有者の保険は何の保証にもならない。
  • 老後に向けて具体的な計画を立てるのではなく、何が起きても対応できる準備をしておくことが重要だ。

数カ月前のある日曜日、私は友人たちとブランチに出かけた。その時、友人の1人が気候変動を話題にあげ、それが経済や私たちの暮らし、将来に向けた考え方など、あらゆるものに与える影響について話した。するともう1人が「気候変動に関して良いと言えるのは、引っ越す理由を与えてくれることだ」と言った。

私はその発言はどうかと思ったが、実は長いこと気になっていたことではあった。40年後、私はどこに住んでいるのだろう? そしてそれが最終的に私たちの退職後の計画にどのような影響を与えるのだろうか? 私たちは西海岸、太平洋岸北西部、ユタ、フロリダ、テネシー州ナッシュビルなど、それぞれ違う州に住んでいるフリーランスのライター仲間で、気候変動が私たちの将来に与える影響について話し合うことが多い。

気候変動のため、家を持つべきか決められない

氷帽が溶け、海面が上昇している今、天候が劇的に変わり、極端または予測不能になる可能性がある中で、住宅を購入するというのは危険な考えだ。たとえば、沿岸部の洪水や激しい嵐、猛暑や頻繁に発生する深刻な干ばつ、そして山火事が発生しやすい地域で家を購入したら、引っ越さないといけなくなるのか? あるいはそこに残るとしたら、そのような天候の変化に適応する家にするためにリフォームするには、どれくらいの費用がかかるだろうか?

気候変動は住宅所有者の保険にも影響する。1つは保険料が値上がりする可能性があること。そしてもう1つは加入できる保険があるかどうかだ。カリフォルニア州では、私たちが今まさに経験している異常気象や自然災害で再建にコストがかかるため、保険会社はすでに住宅所有者保険の販売から撤退しているか、新たな保険の提供を行っていない。

南カリフォルニア在住の私は、2020年の山火事「ボブキャット(Bobcat)」が発生した時、私の山小屋のある峡谷地区に火が迫ってきたため、避難を余儀なくされた。この前の冬は記録的な大雨に見舞われた。山火事「ボブキャット」の後、私は賃貸者の住宅保険の加入を拒否された。最近新しい保険に申し込み、加入することができたが、リスクの高いエリアに住んでいるため審査が厳しく、申請してからしばらく時間がかかった。

6488c2ffd4e551001974e33e

本記事の筆者、ジャッキー・ラム氏

Courtesy of Jackie Lam

いつか私がマイホームを購入すると決めた場合、気候変動に関連するリスクのために家の価値が急落したらどうなるだろうか? 私が家を購入する場所で住宅所有者の保険に入るのはどれくらい難しいだろうか? そしてそれが市場価値にどんな影響を与えるだろうか? 家を売りたい時に簡単に売れるだろうか?

老後、どこに住むべきか分からない

老後はどこに住もうかと考える時、再び気候変動の問題が懸念になる。私の友人たちは退職したら違う街に住みたいと話しており、生活費を抑えるためとか、家族の近くに住みたいから、より快適なライフスタイルを送りたい、自分のライフスタイルにもっと合った地域に住むためなど、さまざまな理由で引っ越しを希望している。

しかし、アリゾナに家を買ったり、フロリダでビーチに面したコンドミニアムを購入するために貯蓄するのは、私にとって賢い選択なのだろうか? 海面の上昇に伴い、アメリカの一部の地域は非常に脆弱になっている。

ここカリフォルニア州では、住宅にかかるコストが上昇すると予測されている。つまり、財布に優しい住宅はますます少なくなるということだ。常に専門家の予測に注目し、機敏かつ柔軟に対応できるようにしておくことが最善の策と言えるだろう。終の棲家を手に入れるために貯蓄するのは、動く的を狙うようなものだ。

私の老後プランは暗礁に乗り上げている

自分が老後どこに住むのか予測できない上、地域によっては家を購入することが賢明なのかも分からないため、退職後に向けた私の貯蓄計画に影響が出ている。とりあえずは賃貸を続けることになると思う。

住宅にかかる費用は退職後のための貯蓄や計画において大きな部分を占めるので、退職時までにいくら必要なのか分からないのは少々もどかしい。分かっているのは、私は確定拠出年金(401k)や貯金、課税対象の投資口座、労働組合で働いていた頃の分のわずかな年金に頼って生活することになるということだ。

家を買えるかどうかまだ結論に至っていないため、それが分かるまで私は老後のための貯蓄口座の資産を増やすことに集中しようと思っている。引っ越しもしないかもしれない。

気候変動の影響についてまだ分からないことだらけだが、私は老後のための貯蓄プランは継続すると決めた。何が起ころうと常に情報を入手し、変化や不確実性を受け入れ、計画を立てるためにできる限りのことをすることが重要だ。この世界の小さな片隅で——。

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み