鉄鉱石価格は、2023年の大半はトン当たり100ドル以上で推移している。
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- 鉄鉱石は、しばしば中国の成長と経済活動に関連している。
- 持続的な需要は、中国経済が完全に落ち込んでいないことを示している可能性がある。
- ここ数週間の経済データは、中国が債務、デフレ、そして人口動態の問題に直面していることを示している。
中国企業の需要で動くことの多い主要な建築・製造材料の価格から判断すると、中国経済が完全に落ち込んでいるわけではなさそうだ。
鉄鉱石の価格は、中国の不動産市場で繰り広げられている混乱にもかかわらず、2023年の大半は高値を維持している。ブルームバーグのデータによると、中国最大の不動産デベロッパーのいくつかは、このセクターに対する消費者の信頼が揺らいでいるため、崩壊寸前だ。しかし、建設と製造に不可欠な材料である鉄は、最近4週間ぶりの高値まで上昇し、価格は2023年のほとんどの期間、1トン当たり100ドル以上で推移している。
JPモルガンのストラテジストによると、中国が世界有数の鉄鉱石生産国であることから、この金属は伝統的に中国経済の成長と関連している。また、価格の上昇は、中国経済のすべてのセクターで需要が崩れていないことの表れかもしれない。
世界最大の鉱業会社の一つであるBHPグループの最近の声明によると、これは電力機械、自動車、輸送材料などの需要が続いており、不動産建設における鉄の需要の減少を補ったことが原因の一つだという。
また、今年前半までに鉄道への支出が25%増加したことや、夏以降の建設ブームに備えて鉄鉱石を積み増す企業など、他の市場要因も価格上昇を後押ししている。
それでも経済学者たちは、中国経済の停滞は、高水準の債務、デフレ、高齢化によって重荷を背負わされ続け、長引く可能性があると警告している。その結果、失われた10年、つまり90年代に日本経済を襲ったような成長停滞期が訪れる可能性があると言う専門家もいる。