パイロットは疲れ切っている… ヨーロッパでは約75%がフライト中に「マイクロスリープ」を経験

パイロット

Taylor Rains/Insider

  • パイロットが疲れ切っていて、フライト中も起きているのが大変だという。
  • ヨーロッパのパイロットを対象にした調査では、回答者の約75%がここ4週間以内に「マイクロスリープ」に陥ったことがあると答えている。
  • 航空会社はパイロットの疲労リスクに十分な対応をしておらず、パイロットが疲労レポートを提出するのも難しいという。

ヨーロッパのパイロットの中には、あまりに疲れ切っていて、フライト中に「マイクロスリープ」に陥っているパイロットもいることが最新調査で分かった。

航空安全コンサルタントのBaines Simmonsが欧州コックピット協会(European Cockpit Association)のために実施した7月の調査によると、回答者の約75%がここ4週間以内に航空機の操縦中、「マイクロスリープ」に陥ったことがあると答えた。回答者の25%は「5回以上」あったと回答している。「マイクロスリープ」とは覚醒時に陥る「短時間のこらえ切れない眠り」のことだ。

調査報告書はパイロットの疲労度に懸念を示し、航空会社はその対策を強化すべきだと指摘している —— 具体的には、疲労の報告を容易にすることや、乗務間の休息時間を増やすためにスケジュールを調整すること、乗務員がよく眠れない場合は宿泊先を見直すことなどを挙げている。

「このような疲労の原因は、オペレーションの中にあることもあれば(例:勤務スケジュールの影響)、オペレーションの外にあることもある(例:自宅での睡眠不足の影響)が、リスクはオペレーションの中に存在するため、対処しなければならない」とBaines Simmonsは指摘している。調査は旅客機、貨物専用機、チャーター機のパイロットを対象に実施された。

自身が勤める航空会社で疲労リスクが「非常に」または「大抵は」適切に管理されていると答えたのは、約7000人の回答者のうち4分の1以下だった。3分の1近くが疲労リスクはきちんと管理されていないと答えていて、中でもイギリスとアイルランドを拠点とする航空会社のパイロットが最も多くこのように回答している。

欧州コックピット協会のOtjan de Bruijn会長は「これらは憂慮すべき兆候であり、ヨーロッパの多くの航空会社で疲労リスクが十分に管理されていないことを明確に示している」とコメントしている。

「6月と7月にすでにこのような結果が出ているのなら、8月の疲労度は上がる一方だろう」

欧州航空安全機関(EASA)は6月の時点で、人員不足が乗務員の疲労につながり、安全上の問題を引き起こす可能性があるとして、警鐘を鳴らしていた

Baines Simmonsが実施した今回の調査では、回答者の82%が自身が勤務する航空会社への疲労レポートの提出の仕方を知っていると答えたものの、「(疲労レポートの)システムにアクセスしやすい」と答えたのは44.1%で、「手早く報告できる」と答えたのは25%強だった。疲労レポートが「安全向上のためのオペレーション変更につながった」と答えたのは、回答者のわずか10%だった。調査では、パイロットの疲労レポートに対する姿勢が、航空会社がどこに拠点を置いているかによって大幅に異なることも分かった。

「実質的な報告のシステムがなければ、航空会社はオペレーションにおける疲労を正確に把握することができず、効果的な軽減策を実施して疲労リスクを管理する能力が制限される」とBaines Simmonsは指摘している。

今回の調査に回答したパイロットの4分の3近くが、夏の旅行シーズンのピークを前にした直近の4週間で、乗務の合間に疲労を回復させるための休息が「常に」「大抵」「時々」不足していたと答えていた。

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