薬剤師のライアン・チャウ氏。
Ryan Chaw
- 薬剤師のライアン・チャウ氏は、6つの賃貸用不動産を所有し、年間約1000万円の不労所得を得ている。
- 今の仕事は好きだし、次に何をするかまだ決めていないため、本業を継続している。
- また、サラリーマンの方が住宅ローンを借りやすいのも、本業を続けるもう1つの理由だ。
ライアン・チャウ氏は、週に1時間も働かずに、保有する不動産から年間7万ドル(約1000万円)の所得を得ている。経済的自立を達成する戦略として2016年に不動産を購入し始め、それ以来6つの物件を取得した。
Insiderが調べた文書によると、これら不動産投資から毎月約6000ドル(約84万円)の所得を得ている。だが、チャウ氏は不動産事業を本業としているわけではなく、週に30時間以上はまったく違う仕事をしているのだ。
潤沢な不動産所得はあるけれども薬剤師という仕事を当面続ける予定だと言う。多くの労働者が伝統的な職から離れる中で、チャウ氏はサラリーマンを続ける理由をInsiderに明かしてくれた。
1. 今の仕事が好き
この仕事が好きだ、とチャウ氏は言う。「私は薬剤師という仕事を愛している。感染症分野からキャリアをスタートしたが、自分の好きな分野の1つだったこともあり、仕事はとても刺激的だった。感染症の薬を選ぶというのは、パズルみたいなものだ。どのバクテリアやウイルスがその疾病を引き起こしているかを判断して、そのバクテリアに最も効く薬を処方するのだから」
だが、知的な刺激を与えてくれるからという理由だけ薬剤師という仕事を続けているわけではない。人を助けたいという強い欲求も薬剤師を続ける動機になっている。人のためになるからこの仕事を選んだ、とチャウ氏は言う。また、小児科の薬局でも働いたことも大きく影響している。小児科は、薬剤師が患者に与える影響を目に見えて実感できる専門分野だからだ。
2. 仕事を辞める前に経済的自立を達成したい
たとえ薬剤師という仕事に情熱を持っていなかったとしても、早まって仕事を辞めて、安定した経済状況を手放すようなことはしたくないと言う。「仕事を辞めて、死に物狂いで不動産で一発当てなければならないなんてまっぴらごめんだ」
むしろ、完全に経済的自立を達成してから、次にどんな職に就くかを考えたいと言う。チャウ氏の戦略は、安全かつ確実に経済的自立を達成するというものだ。それはつまり、毎月1万ドル(140万円)の所得を不動産から得ることにほかならない。
2016年に不動産投資を始めたとき、不動産所得を活用して、7~8年で経済的自立を達成しようと計画した。そして彼は1年に1つ賃貸物件を買い、経済的自立に向けて不動産所得を手にすることに決めた。この水準の金銭的な安全性確保がいつでも最終目標であり、それを慌てて達成したいとは思っていなかった。
チャウ氏の算段では、あと2つ物件を購入するとこの目標を達成できる。その後、最初に買った住宅を売り、そのお金を残り3つの住宅ローンの返済に充てる計画だ。
チャウ氏は言う。
にっちもさっちもいかなくなって、不動産業にどっぷりと足を踏み入れ、「(不動産で)うまくやらなければ破産する」なんて、まっぴらごめんだ。
3. サラリーマンの方が住宅ローンを借りやすい
チャウ氏が本業を続けている主な理由は、薬剤師という仕事への情熱と、資金的に安定した状態になりたいという願望からだが、もう1つ投資計画上の要因も関係している。自営業になると住宅ローンを借りるのが難しくなるのだ。大半の不動産投資家にとって住宅ローンの借入は絶対に欠かせない。サラリーマンであるが故に、チャウ氏は自営業よりも簡単に住宅ローンを組めるのだ。
「自営業の場合、一般的に貸手は、最低2年間は収支が黒字であることを求める。だからもし私が自営業になれば、2年分の確定申告書を提出して十分な収入があることを証明しなければならない。なので、次の物件を買うのに2年間待たなければならない」とチャウ氏は言う。むろん、他にも調達手段はあるが、彼の経験上、伝統的な住宅ローン金利が最も良い。サラリーマンを続けることで、不動産投資の実行可能性が格段に高まる。
4. 次のステップを検討中
今の目的を達成した後、最終的にどんな人生を送りたいかまだ考え中だ。チャウ氏の現在の目標は経済的自立の達成だ。「それを達成したら自分の思う通りに人生を送れるので、本当は薬剤師として何時間働きたいのかおのずとわかるだろう」と言う。
チャウ氏は、自分が支援する慈善基金、特にアレルギー研究を行っている機関に年間10万ドル(約1400万円)を寄付できるようにしたいと考えている。彼は、命にかかわるアナフィラキシー反応を起こしたことがあり、もう少しで死ぬところだった。だから自分が生きている間に、アレルギーの治療法が見つかってほしいと常に願っている。「私は薬剤師として働き、人を助けることに生きがいを感じている。だが、さらに一歩先を進んで、自分が世界に影響を与えるような存在になりたいと常に思っている」