ガネットが所有するコロンバス・ディスパッチは、AIが書いた記事を掲載しているニュース・サイトの1つだった。
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- ガネットは読者の反発を受け、AIを使ったスポーツ記事の執筆を中断している。
- AIが執筆した記事はすぐに、表現がおかしい、詳細が分からない、と話題になった。
- ガネットは、AI生成のジャーナリズムを実験している報道機関の1つだが、実験の結果はさまざまだ。
アメリカの大手新聞社が、AIを使った記事の執筆を中断している。ソーシャル・メディア上の揶揄を受けてのことだ。
ガネット(Gannett)は、アメリカ国内で数百の地方紙を発行しており、AI搭載のスポーツ記事執筆ツール、LedeAIを地方紙で実験的に使っていた。だが、すぐに読者らが、多くの記事は詳細に欠け、下手で、まるでそのスポーツを見たことがないかのようだと指摘した。
ガネットの広報担当者はInsiderに対し、同社がLedeAIツールを使用した記事の執筆を中断したことを認めた。この件はアクシオス(Axios)が最初に報じた。
「国内の記者職を数百増やすことに加え、我々は、ジャーナリストのためのツールと、読者のためのコンテンツを作るため、オートメーションとAIの実験を行ってきた」と同社は述べた。
「我々は、高校スポーツ記事のLedeAI執筆実験を中断し、引き続き、このベンダーを評価することとする。プロセスを改善しながら、我々の提供するすべてのニュースと情報が、報道の最高基準を満たすことができるように」と同社は付け加えた。
AIが作成した高校サッカーの記事を掲載しているガネットの新聞だ。うん、これはひどい。
AI生成記事の一部は、ソーシャル・メディア上で揶揄された。繰り返しや不快な表現があったせいだ。コロンバス・ディスパッチ(Columbus Dispatch)の報道の1つでは、アメフトのウェスタービル・ノース高校(Westerville North)対ウェスタービル・セントラル高校(Westerville Central)戦が「close encounter of the athletic kind(アスリートの接近遭遇)」と表現されていた(映画「未知との遭遇」の原題、Close Encounters of the Third Kindに似ている)。
AIが書いた別の記事では、チーム名がきちんと生成されず、「ワージントン・クリスチャン(Worthington Christian)[[WINNING_TEAM_MASCOT]]、ウェスタービル・ノース(Westerville North)[[LOSING_TEAM_MASCOT]]を破る」となっていた。
ソーシャル・メディア上でこうしたことが話題になると、記事は修正され、ディスパッチは「コーディング、プログラミング、スタイルの誤りを訂正し、更新した」という注釈を追加した。
Insiderはガネットの地方紙のさまざまなAI記事を確認した。デモイン・レジスター(Des Moines Register)、アリゾナ・リパブリック(The Arizona Republic)、フロリダ・トゥディ(Florida Today)、ミルウォーキー・ジャーナル・センティネル(Milwaukee Journal Sentinel)などに掲載された記事で、どれも特徴は反復的でロボットのような言葉遣いだ。
これは全国的に有名なガネットの新聞の記事だ。 AIが四半期ごとのスコアに基づいて生成したワードサラダで時間を浪費するためにお金を払う人はいないだろう。
ガネットはAI生成ジャーナリズムを実験している報道機関の1つだが、これらの実験の結果はさまざまだ。CNETは今年初め、自社のAI執筆ツールによる記事に誤りが多いということが表面化し、これを廃止した。
ニューヨーク・タイムズやブルームバーグといったメジャーな報道機関は、OpenAIのウェブクローラーをブロックしている。ChatGPTのトレーニングに、自社のコンテンツを使われる恐れがあるためだ。Insiderのグローバル編集長のニコラス・カールソン(Nicholas Carlson)は4月、AIを使って記事のアウトラインや、大見出しを作ることになるだろうと述べた。