ファミリーマートが本社で開催した「ファミリーマート 障がいの理解と社員交流会」
撮影:高橋真紀
2024年4月より「障害者差別解消法」が改正される。
障害者差別解消法とは、障害による差別を解消し、誰もが分け隔てなく共生する社会を実現することを目的として2016年4月に施行された法律。
(内閣府「障害者差別解消法リーフレット」より作成)
来春の改正によって、これまで民間の事業者には努力義務とされていた「合理的配慮」が義務化される。
合理的配慮が義務化されることで、一体何がどう変わるのか? この法改正に先駆け、ファミリーマートが開催した「ファミリーマート 障がいの理解と社員交流会」に行ってきた。
障がい者雇用で有機農園をサポート
撮影:高橋真紀
ファミリーマートでは、障がいのある社員の職域開拓の一つとして、千葉県流山にある「えかオーガニック農場」とタッグを組み、現在50名ほどの社員がこの農園で働いている。なお、ファミマ全体では約160名、障がいを持つ社員が働いているとのこと。
撮影:高橋真紀
えかオーガニック農場では、農薬や化学肥料を一切使っていない。代わりに天然由来の原料を発酵させ、米ぬかなどを混ぜた有機性肥料を使用している。
モロヘイヤや水ナスなど、旬の夏野菜がたくさん揃っていた。
撮影:高橋真紀
スーパーなどではあまり見かけない「島オクラ」も。
撮影:高橋真紀
実際にえかオーガニック農場で働くファミリーマート社員の方々。
撮影:高橋真紀
実際にこの農場で働くファミマの社員の菊地さんは「種を植えるのも土を耕すのも全て、農業は楽しい」と話していた。
同じく社員の江尻さんは「実家は米や野菜を作っている農家で、農業が好き」と言っていた。
価格は100〜200円ほど
撮影:高橋真紀
えかオーガニック農場の野菜は、直売所や流山市内のファミリーマートなどでも購入できる。購入できる場所は、このページから確認可能だ。
有機農法で作られた新鮮な野菜が100〜200円ほどで手に入るのはありがたい。
撮影:高橋真紀
この交流会でも野菜の販売があり、ファミリーマートの社員の方も嬉しそうにたくさん購入していた。
誰もがより働きやすい・生活しやすい環境のために
一部店舗ですでに導入されているコミュニケーションボード。
撮影:高橋真紀
ファミリーマートでは、えか自然農場との業務提供だけでなく、来春の法改正に向けた研修など、さまざまな施策が用意されているようだ。
一部の店舗ですでに導入されている「指さしコミュニケーションボード」は、コンビニでよく交わす会話が記されていて、指をさすだけでコミュニケーションできるというもの。英語や中国語など外国語のものは、PDFデータのみで用意されているとのことだ。
自分の名刺に点字を打つ体験コーナーも設けられていた。
撮影:高橋真紀
細見社長も交流会に登場。点字作成や点字ブロックの歩行を体験した際は、会場から拍手が起こっていた。
撮影:高橋真紀
そもそも合理的配慮とは、障がいのある人が社会の中で出会う、困り事や障壁を取り除くために、その都度調整したり変更しようというもの。
内閣府リーフレットよりスクリーンショット。
例えば、車椅子で働く従業員から「通路が狭くて移動しづらい」と申し出があった時、通路の幅を広くするために什器の配置を変更することなどがこの場合の合理的配慮と言えるだろう。
その実施に伴う負担が大きくないにも関わらず、「前例がない」「特別扱いできない」などという理由で断るのはNGだ。
相手の言葉にきちんと耳を傾け、できる限り正確に知り合おうとすることは、障がいの有無や、年齢、性別、人種に関係なく、コミュニケーションの基本だろう。
今やコンビニでできることは買い物だけでなく、生活になくてはならないインフラの一つになりつつある。
なおファミリーマートでは、障がいのある人だけでなく高齢者に向けたサービスの充実も進めていくとのことだ。