ドイツ、メットマンのネアンデルタール博物館に展示されている、40万年前から4万年前までユーラシア大陸に住んでいたネアンデルタール人の復元模型。
Martin Meissner/AP
- 人類の祖先が約93万年前に絶滅寸前であったことを示唆する新しい研究が発表された。
- 中国の科学者たちは、現代のヒトゲノムを用いて、過去の人口がどのようなものであったかを推定した。
- この研究は、気候変動が人口激減の原因であった可能性を示唆している。
人類がどのようにして今のような姿になったのか、不思議に思うことはないだろうか。かつては暖をとるために火という斬新な概念に頼っていた種が、スマートフォンからサーモスタットを設定できる現代にどのように進化したのだろうか。
人類の祖先は、すべてを変えてしまうかもしれない事態に直面していたかもしれないことがわかった。実際、恐竜と同じように、我々もかつて絶滅という祝福された救済に直面していたことが、新しい研究で示唆されている。
中国の科学者たちは2023年8月31日、現在のヒトゲノムを用いて過去の個体群を予測する研究結果を発表した。その結果、おそらく古代の気候危機によって、人類の祖先の人口は激減していたことがわかった。
「我々は人類の歴史について何か大きなことを発見したと気づいた」
この論文の著者で、ニューヨークのマウントサイナイ医科大学の計算生物学者であるワンジー・フー(Wangjie Hu)は、ニューヨーク・タイムズ(NYT)にこう語っている。
この研究による予測の1つは、約93万年前に約9万8000人の生殖可能な個体が1280人にまで減少し、集団にボトルネックが生じたことを示唆している。その後、個体数が回復するまで11万7000年かかったという。
「このボトルネックは、アフリカとユーラシアの化石記録における年代的なギャップと一致している。我々の研究結果は、我々の祖先に関する新たな洞察を提供し、種の分化の同時発生を示唆している」
この人口激減をきっかけに、現生人類、ネアンデルタール人、デニソワ人といった異なる集団に分かれた可能性が高いということだ。
しかし、一部の科学者は懐疑的で、アフリカからヨーロッパとアジアに広がり、ネアンデルタール人とデニソワ人に進化した初期の人類を指していることを指摘したとNYTは報じている。
考古学者のニック・アシュトン(Nick Ashton)はNYTに、ボトルネックと同じ時期にアフリカ以外の地域から人類の遺骨が発見されたことを指摘し、世界的な災害が「現代人の祖先である可能性のある限られた集団にしか影響を与えなかった」と語った。