GUが発表した、2023年秋冬の主力商品。新イメージキャストとして、モデル・俳優の茅島みずきさん、大平修蔵さんを起用した。
撮影:土屋咲花
ファーストリテイリング傘下のジーユー(GU)が、グローバルブランド化を進めている。
2023年秋冬シーズンの方針に「GO GLOBAL(ゴー グローバル)」を掲げ、「日本発の世界ブランド」を目指した発信を強化していくことを発表した。
ニューヨークに商品本部
GUの柚木治社長。
撮影:土屋咲花
「アフターコロナで世の中の動きも活発になりつつある中で、GUはグローバルファッションブランドを目指し、より多くのお客様の期待に応えていきたいと考えています」
柚木治社長は、9月4日に開いたジーユー2023年秋冬方針説明会でこう強調した。
エルメスなどグローバルブランドとの実績も持つ東京拠点のデザインスタジオ「YAR(ヤール)」を迎えてクリエイティブデザインを刷新したほか、9月に米ニューヨークに商品本部を新設した。世界のトレンドや一流のクリエイティブが集まるニューヨークで、グローバルトレンドを取り入れた商品開発を進める。
「部長ら約10名の体制でスタートし、世界最先端の都市で、 グローバルなトレンドや、GUはお客様から何を期待されているかを吸収し、商品開発を強化します。 日本ならではのデザインと品質を兼ね備えながら、国内のお客様はもとより、世界中のお客様に喜ばれるブランドに進化していきます」(柚木社長)
GUの業績は好調だ。2023年8月期第3四半期までの累計売上高は2279億円(前年同期比19.7%増)、営業利益は258億円(同44.6%増)。少量多品種ではなく、品番数を絞り込んでマストレンド向けの商品を大量生産することによってヒット商品を生み出している。
店舗数は464(2023年5月末)。このうち海外店舗は35店舗程度だ。中国、台湾、香港のアジア圏が中心だが、2022年10月に初の北米店舗としてニューヨークにポップアップストア「ジーユー ソーホー ニューヨーク店」をオープンした。
米国初の店舗「最初あまり売れなかった」
秋冬の主力商品の一つ「スーパーワイドカーゴパンツ」。米国でも人気という。
撮影:土屋咲花
ニューヨークの店舗は、実は「最初はあまり売れなかった」という。その原因について、柚木社長は
「我々が売れると思っていたもの(在庫)と、実際に売れるものが完全に乖離していました」
と明かした。
例えば、商品のテイストについては「良くも悪くも日本的な可愛らしさが入ってる服」(柚木社長)はあまり売れなかった。サイズは大きめのサイズの在庫を増やしていたが、通常サイズの服の方が売れた。色展開は、トレンドカラーを豊富に用意したものの、実際に人気だったのはベーシックカラーだった。
「そこから至急在庫の調整をしました。売れる要素が分かってきたので、どんどん好調に推移していきました」
人気商品の一例として、柚木社長は3通りの着こなしが楽しめるマルチウェイセーターや、2021年の発売以来アップデートを重ねているスーパーワイドカーゴパンツなどを挙げた。これらは国内でもヒットしている。
「グローバルマストレンドを捉え、かつ日本らしい気の利いたデザイン、品質にこだわり、そして低価格である商品が人気でした。最近ではリピーターのお客様も増え、非常に順調に営業を続けております」
今後の海外出店については、既に進出している中国、香港、台湾での出店を進める。
米国については、「現在ポップアップストアですので、今後、正式出店を検討している」という。