ロボットベンチャーMujinが123億円調達。市況悪化も「競合苦戦の今こそチャンス」

MUJIN CEOの滝野一征氏

MUJIN CEOの滝野一征氏。2019年撮影。

撮影:西山里緒

ユニクロの倉庫自動化などで知られるロボットベンチャーのMujinは2023年9月5日、シリーズCラウンドで123億円の資金調達を実施したと発表した。

2019年には75億円を三井住友銀行から借り入れ(デット・ファイナンス)で調達したが、今回はSBIインベストメントをリード投資家とする第三者割当増資で、エクイティ(株主資本)による調達は9年ぶりとなる。累計の調達額は205億円。

Mujinの滝野一征CEOは「数年前のバブル状態であればもっとバリュエーション(企業価値評価)は上がったかもしれない。ただ、競合企業が苦戦している今こそが事業拡大のチャンスだ」と話す。

今回のシリーズCでの主な引受先は、SBIインベストメント、Pegasus Tech Ventures、アクセンチュア、Dr. James Kuffner 、7-Industries Holdings B.V. 。

アメリカの大手小売も顧客に

アパレル製品のピッキング&箱詰めロボット

ファーストリテイリングのアパレル製品のピッキング&箱詰めロボット。

Mujinのウェブサイトを編集部キャプチャ

Mujin はロボットコントローラーメーカーとして2011年に創業。

通常のロボットの場合、あらかじめプログラムを教え込むことで、プログラムに基づいた動作をする。一方、Mujinが開発したコントローラーは人工知能を使ってロボットに動きを“考えさせる”ことで、工場や物流センターでの複雑な作業も自動化することができる。

国内ではユニクロを展開するファーストリテイリングや、アスクルの物流センターなどで活用されたことで知られる。

2019年に中国オフィスを設立し、2021年9月にはアメリカ・アトランタに子会社の設立を公表。2023年末以降にはヨーロッパ拠点の設置を計画している。

「アメリカでは大手小売業や飲料メーカーも顧客になっている。2020年以降に欧米などでは競合となるスタートアップが生まれているが、いまではダウンラウンド(増資時の株価が前回の増資時の株価を下回ること)している企業が多い。私達は2011年創業で実績を重ね評価されている」

持ち株比率は3分の2以上確保

9年ぶりにエクイティ調達を決めたMujinだが、Mujin経営陣の持ち株比率は3分の2以上を確保しているという。

「ロボットに関する産業は高い技術が必要で、目先の利益を追って失敗したベンチャーはいくつもある。確固たるスタイルを貫くためにも、持ち株比率を高めておくことが大事だ」

今回の調達で得た資金の使い道は、主に製品の高度化と多機能化への技術投資と、欧米での販売体制の拡大という。

「世界ではインフレが進行し、人件費削減のために自動化のニーズが高まっている。これからはより技術レベルの高い企業が勝ち残っていく。日本で培った技術を使い、世界で勝てる成功事例になりたい」

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