2023年7月、アクロポリスのパルテノン神殿を訪れる大勢の観光客。
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- ギリシャは観光地アクロポリスを訪れる観光客の数を制限する。
- この動きは、ここ数カ月ヨーロッパを襲うオーバーツーリズムを抑制するための取り組みだ。
- 世界中の他の文化遺産や博物館も同様の方針を実施している。
ギリシャでは2023年9月から、最も人気のある観光名所を訪れる観光客の数を1日ごとに制限する。
ギリシャ、アテネにあるアクロポリス遺跡の1日の入場者数が2万人に制限されることになった。この歴史的な遺跡の見学を希望する人は事前に予約サイトで自分が訪れる時間枠を確保する必要がある。
2023年8月、ギリシャはこの夏、パンデミック後にヨーロッパで旅行者が急増したことを受け、過密状態を抑制する取り組みの一環としてこの措置を発表した。人気の観光地はここ数カ月、オーバーツーリズムの重圧に直面しており、文化遺産も博物館も、その場所の尊厳を守ろうとする努力を強めている。
ギリシャのリナ・メンドーニ(Lina Mendoni)文化相は2023年8月、現地ラジオ局のインタビューで、遺跡の損壊を防ぐためにアクロポリスの観光客の数を制限することを始めると語った。CNNの報道によると、メンドーニ大臣は、アクロポリスには毎日2万3000人もの観光客が訪れ、そのほとんどが午前中に来ていることで他の訪問者やスタッフにとってボトルネックとなっており、「不快な状況」を生み出していると述べた。
アクロポリスはギリシャの首都にあり、いくつかの歴史的な遺跡や芸術品で構成されているが、中でも最も有名なのは、女神アテナのために建てられたパルテノン神殿だ。
CNNによると、2023年9月4日から試験的に開始されたこの新制度は、2024年4月にアクロポリスを始めとするギリシャの文化遺産で本格的に導入される予定だという。
観光客でごった返したヨーロッパの夏が終わりを告げようとしている今、何世紀も前に建てられたモニュメントが修復不可能なダメージを受けるかもしれないという懸念は、まったく根拠のないものではない。イタリアでは、何千年も前に造られた古代遺跡コロッセオの壁に落書きする観光客が何人も目撃されている。
ある女性がローマの観光名所であるトレビの泉に侵入し、水筒で流れ落ちる水を汲むという騒動のあった後、イタリアのダニエラ・サンタンチェ(Daniela Santanch)観光相は、このような迷惑行為をする観光客を「破壊者」と述べている。
フランスのルーブル美術館、カンボジアのアンコールワット、オランダのアムステルダムの歓楽街である飾り窓地区など、人気の観光地では同様の予防措置が取られているとニューヨーク・タイムズは報じている。