バハマにあるパラダイスアイランドのビーチ。科学者は、急速なエコシステムの変化によって、特に熱帯地域で海の色が緑色に変わってきている。
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- 地球の海の色が変わってきていることを科学者が衛星写真によって発見した。
- 過去20年以上にわたり、地球上の56%以上の海で色が変わってきている。
- 明確な原因は不明だが、気候変動と関連しているようだ。
海の深い青色が薄れ、色が変わってきている。その明確な理由は不明だが、科学者は人間のせいだと考えている。
20年に及ぶ衛星写真の比較によって、世界の海の56%以上で色が変わっていることがわかった。
科学誌ネイチャーに7月に発表された研究内容によると、最も変化が大きいのは熱帯地域で、20年間で緑色が濃くなったという。
科学者たちは、この色の変化が、地球温暖化による海の食物連鎖の世界的危機の前触れかもしれないと警告している。
「これは、人間の活動がいかに広大な範囲で地球上の生命へ影響を及ぼしているかを示す証だ」と、イギリスのサウサンプトンにある国立海洋センターの研究員で、この研究の著者であるB.B.カエル(B.B. Cael)研究員は語った。
緑色の海は生物が多いことを意味するが、必ずしも良いことではない
海の色は、海の健康状態を教えてくれる。
ガーディアンによると、カエル研究員は「我々が色を気にするのは、海の色そのものに注目しているわけではなく、色がエコシステムの状態を反映しているからだ」と話している。
海の色は、水の上層に含まれるものに依存する。深い青色の海には、上層にあまり生物がいない。
海が緑色に変わると、一般的にそれは植物と同様に太陽光を利用して炭素を糖に変える微小生物である植物プランクトンであふれていることを意味する。
最新の研究では、科学者らは20年以上にわたって海の色の変化を監視してきたNASAの衛星「Aqua」による画像を使用した。
その結果、わずかに赤みや青みがかっている海もあるが、大半は緑が濃くなってきており、植物プランクトンが増えている可能性がある。
これは、必ずしも良いことではない。
植物プランクトンは海鳥からクジラまでのすべてのエサとなり、複雑な食物連鎖を形成する海洋生態系にとって重要な存在だが、そのエコシステムは非常に細かく調整されており、あらゆる変化は食物連鎖全体に波及する。
「すべての変化は、生態系の自然な組織のアンバランスをもたらす。そのようなアンバランスは、海の温暖化が続いた場合、時間とともに悪化する一方だ」とマサチューセッツ工科大学の地球および惑星大気科学部の研究員で、この研究に携わったグローバル・チェンジ・サイエンスセンターのステファニー・ドゥトキエヴィチ(Stephanie Dutkiewicz)はCNNに語った。
科学者はなぜ海洋が弱体化しているのかを理解しようとしている
現在、これらの変化はわずかで、食物連鎖の大きな変化を引き起こすほどのものではないようだとカエルはガーディアンに語った。だが、この結果は「厳粛なものだ」とドゥトキエヴィチはCNNに話している。
「何年も海の色の変化が起こるだろうという前提でシミュレーションを行ってきた」と彼女はプレスリリースで述べた。「実際に起きているのを目にすると、それは驚きではなく、恐ろしくなる」と彼女は述べている。
科学者は、地球の温暖化によって我々の海がどう進化するのかを予測するため、色の変化の正確な理由を理解しようとしている。
もっともありそうなのは「複数の要因が平行して変化している」ことだと、この研究には関わっていないオレゴン州立大学の海洋生産性の研究員であるマイケル・J・バーレンフェルト(Michael J Behrenfeld)はガーディアンに語った。
例えば、海中のマイクロプラスチックが色の変化をもたらしている可能性がある。
こうした色の変化が目で見てわかるほどになるかと聞かれたドゥトキエヴィチは、はっきりとしたことはわからないとCNNに答えた。
「大きな転換点に達した場合は、もしかしたら、そうなるかもしれない」と彼女は述べた。