生活している中の自然な流れで体重が測れるissinの「スマートバスマット」。
撮影:小林優多郎
東大発のハードウェアスタートアップが9月5日、2つの新サービスを発表した。
issin(イッシン)は、スマートプロジェクター「popIn Aladdin」を開発した程涛(ていとう、Cheng Tao)氏によって2021年に設立。2022年10月には製品の出荷開始と、東大IPCインキュベーションプログラム「1stRound」の第7回支援先採択決定を発表している。
発表した2つの新サービスはいずれもスマートバスマットを直接用いたものではないが、「体重計を作りたいのではなく、生命力があふれる世界を作りたい」(程氏)という提案に沿ったサービスだ。
心拍数をシェアして励まし合う「Smart 5min」
Smart 5minは5分間、知人と一緒にトレーニングする機能。
撮影:小林優多郎
1つ目はオンラインエクササイズ「Smart 5min(スマートファイブミニッツ)」だ。
これは朝起きてからの5分間の運動を習慣づけることを狙うサービス。専用のデバイスが用意されており、心拍情報を計測しながら、トレーナーの映像を見つつ一緒に運動ができる。
Smart 5minのデバイス。腕に巻き付けるリストバンドの形状をしている。
撮影:小林優多郎
心拍計測用のデバイスの構成はシンプルで、バッテリーと心拍センサーを持つコアの部分が、いわゆる“ワンタッチ式”のリストバンドにくっついているような形だ。
計測した心拍数は運動強度を測るデータとして記録される。また、アプリはカメラを使わず心理的な「ハードルを下げる」ことができ、リアルタイムで友人・知人と心拍数を共有することで「一体感とモチベーションが生まれる」(いずれも程氏)狙いがある。
リストバンドがスマホスタンドがセットになっていると話すissin代表の程涛氏。
撮影:小林優多郎
現在鋭意開発中ということで詳細なスペックは明かされていないが、バッテリー駆動時間は3〜4時間ほど。10月下旬にマクアケで販売予定で、本体価格は7000〜8000円程度を予定。開始当初はサービス利用のための月額料金は発生しない見通しだ。
体重計測と日々の行動で長期間での減量を目指す新サービス
スタイルアッププログラムの流れ。
撮影:小林優多郎
2つ目のサービスはAIと専門家のコーチングが受けられる「スタイルアッププログラム」だ。
スタイルアッププログラムは、いわゆるダイエットのためのソリューションで、初回のWebアンケートや、月2〜4回程度のオンライン面接、日々のスマートバスマットによる体重計測によって目標体重を目指す。
issin取締役CFOの寺田博視氏。
撮影:小林優多郎
「(ダイエットを)続けられることを追求し、強制は一切しない」(イッシン取締役CFO・寺田博視氏)ことが特徴で、LINEを用いて具体的なアクションプランを送信するが、過度な運動や食事制限をする内容ではないという。
また、アクションプランを実行した際の「入力作業」もLINE上でワンタップで可能。コーチへの健康相談もLINE上でできるため、あくまで毎日の体重を意識しつつ、体重を減らしていくプログラムとなっているようだ。
issinのアドバイザーを務める千本倖生氏。
撮影:小林優多郎
現在は実証実験の段階で、すでに沖縄県の読谷村と那覇市で希望者を募り実施している。
5日の説明会にはissinのアドバイザーでDDI(現KDDI)共同創業者でもある千本倖生氏も登壇した。
2023年9月9日で81歳になる千本氏だが「私自身がサンプルになろうと、週6回は(体重をスマートバスマットで)測っている」と話し、40歳から続けているトレーニングと体重計測によって、減量やBMI値の改善につながっていると述べた。
スタイルアッププログラムは、まずは法人・自治体向けに展開。一般ユーザー向けの展開や業種ごとへの展開も視野に入れている。
撮影:小林優多郎
issinは5日からスタイルアッププログラムを自治体や法人向けの提供を開始する。
費用の目安として3カ月以上の期間を設定し、目標体重を達成できれば1ユーザーあたり2万円〜。なお、体重変化が見られない場合は報酬を受け取らない成果報酬型を取るとしている。
程氏は、スタイルアッププログラムの一般ユーザー向けの提供も「(2023)年内にはしたい」と語っている。
ただし、そのためには相談相手であるコーチの用意が不可欠で、CFOの寺田氏によると「現時点では30人周辺の人員だが、(年内に)3倍くらいに広げていきたい」と計画を語った。