ラスベガスではロボット・バーテンダーなどが登場し、すでにAIの影響が現れている。
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- ラスベガスではAIが一部の人間の仕事に取って替わる初期段階にあるとNPRが報じた。
- バーテンダーや警備員など、一部の仕事はすでにロボットに取って代わられている。
- ネバダ州最大の労働組合は、契約交渉での反撃を計画している。
AIが人間の仕事を奪うことを懸念する労働者のリストに、ラスベガスのバーテンダーや警備員が加わる。
ラスベガス市内のレストラン、バー、カジノなどでは、一部の仕事に人間の代わりにAIが使われているとアメリカの公共ラジオ局NPRは2023年9月4日に報じている。ラスベガスが最大の都市であるネバダ州南部では、2035年までに38%から65%の仕事が自動化される可能性があるとする地元紙ネバダ・インディペンデント(The Nevada Independent)の2019年の記事を引用してNPRは報じている。
NPRによると、ネバダ州のサービス・接客業に約6万人の組合員を抱える調理労働組合は、仕事をAIが奪うことを防ぐため、保護に関する交渉を計画しており、2023年内の妥結を目指しているという。組合のテッド・パパジョージ(Ted Pappageorge)書記長がNPRに語ったところによると、組合はこうした保護を得るためにストライキの可能性さえ検討していると語った。
「我々は合意を得られると考えたい」 とパパジョージは話す。
「だが、必要な場合には、我々は大規模な戦いを挑み、テクノロジーへのストライキも含め、必要なことは何でもするつもりだ」
AIは一部の仕事を奪い、他の仕事は変える可能性があるとInsiderは以前に報じている。
人間の労働者の代替として自動化されている例は、ラスベガスでは簡単に見つけることができる。2023年4月、TikTokユーザーのemgaudy3はパイナップル風味のカクテルを混ぜるロボットアームの動画を投稿した。「ロボットが私にドリンクを作ろうとしているところだ」と彼女は話している。
アームはシェーカーを持ちながら天井に向かって手を伸ばし、そこにさまざまな種類の酒が吊るされている。いくつかの材料を混ぜて氷を入れた後、アームはカップに注ぐ前に飲み物を振る。
TikTokのビデオで紹介されたロボット・バーの名前「Tipsy Robot」は、すでにラスベガスに2店舗あるとNPRは報じている。そのうちの1店舗で働くサブリナ・バーグマン(Sabrina Bergman)はNPRの取材に対し、ロボットアームがコップをひっくり返したり、グラスに注ぐ量が少なかったりするミスを修正する必要があると話している。
別の例では、ラスベガスの南、ネバダ州のヘンダーソンにあるMリゾート(M Resort)が、2023年初めに駐車場で警備ロボットの使用を開始している。TikTokユーザーのlasvegaslinaは、同年6月にこのロボットが働いている動画を投稿した。
2023年2月、「50台のカメラとセンサーを搭載し、トラブルの可能性のあるところを走り回っている」と地元テレビ局KVVUは報じている。
だが一部の労働者たちは、ロボットは彼らが行う接客業を完全に取って替わることができないと話している。
ラスベガスのカジノホテル、MGMグランド(MGM Grand)のカクテル・ウェイトレス、ホリー・ラング(Holly Lang)は、「調理労働組合が次の契約で、私のような仕事の保護を交渉することを期待している」とNPRに語った。だが彼女は、ラスベガスの多くの労働者が行う個人的なサービスをロボットは提供できないとも話している。
「我々には常連客が多くいて、彼らは個人的な交流を求めてここに来る。彼らはテクノロジー目当てでここに来るのではない。ロボットには取って替わることができないものもある」