映画・ドラマに資金をつぎ込むブランド各社、ストリーミング企業に「視聴者データの共有を」

ストリーミング企業

Sadie Mantell / Shutterstock.com

ハリウッドの大手エンターテインメント企業に対しては、コンテンツプロデューサーやクリエイターたちの間から視聴者データを共有するよう声が上がっているが、最近ではそこにブランド企業も加わっている。

ペプシ(Pepsi)やサンローラン(Saint Laurent)などの一流ブランド企業は、広告を避けるようになった消費者に近づく戦略として、広く配信されることを目的としたエンターテインメント映画に資金をつぎ込んでいる。しかし、投資に見合う成果が挙がっているかどうかの見極めには苦労している。

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P&Gスタジオが支援する『The Cost of Winning』。

HBO

プロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble、同社のスタジオ事業部門はHBOのスポーツドキュメンタリー『The Cost of Winning』(原題)などのプロジェクトを支援している)のような企業では、詳細なデータをもとに広告やマーケティングの支出を評価するのが通常だ。だが大手ストリーミングプラットフォームでは、コンテンツの視聴者数や視聴者属性に関する情報をほとんど提供していない。

ハリウッドのプロデューサーやクリエイターにとっては、データ不足で何がヒットしているのかが分かりづらい点が不満だが、ブランド企業の幹部にとっては、自社が支援する映画作品にかけた費用が妥当なものだったかをCFO(最高財務責任者)に説明するのが最大の悩みの種になっている。Insiderが取材した企業幹部やハリウッドの取引先がそう明かした。

「ブランド企業の担当者は上層部から、新規顧客を獲得しながら、直接商品購入に結びつくことを示せと圧力をかけられています。それが最終目標ですから。そのうえで、たくさんの人たちが視聴したことを証明できるか、ということになるでしょうね。でもネットフリックス(Netflix)は数字を報告しません。フールー(Hulu)は広告料を払っている企業にすらデータは非公開。データを提供しているプラットフォームはほとんどありません」

そう語るのは、ユニリーバ(Unilever)やREIなどをクライアントに持つコンテンツ戦略コンサルティング企業、サブジャンル(Sub-Genre)の創業者であるブライアン・ニューマンだ。

計測をめぐりブランド各社はあの手この手

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