新NISA、初心者が「陥りがち」な5つの間違い。アレンジしても、投資三原則は忘れずに

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新NISAの特徴は「自由度の高さ」だが、それゆえに気をつけたいことも増えた。

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  • 新NISAの特徴をひと言で表すと「自由度の高さ」だ。現行NISAよりも利用者個々の状況にうまくフィットするよう大きく改善されている。
  • しかし、それゆえに「長期・積立・分散」という投資三原則に反した運用も出来てしまうリスクもある。
  • 商品を短期間で変更し過ぎる、無計画にいろんな商品を買うなど、新NISAで初心者が「陥りがち」な5つの間違いをまとめた。

新NISAの特徴をひと言で表すと「自由度の高さ」だ。

これまで、一般NISA、ジュニアNISA、つみたてNISAへと順に進化してきた過程で培われたノウハウが、新NISAには存分に注ぎ込まれている。そのため、利用者個々の状況にうまくフィットするよう大きく改善されているのだ。

新旧問わずNISA制度の基本は、なんといっても「長期・積立・分散」の投資三原則である。新NISAでも、それは確固たるベースとなっているが自由度の高さゆえに、その理想に反した運用も出来てしまうリスクもあるのだ。

投資三原則に根ざした投資は、手堅く資産形成できること。そして、いつ・何に・いくら投資するか考える手間を省けることなどがメリットだ。だが、それを台無しにしてしまう恐れも、新NISAには内包されている。

そこで本記事では、新NISAで初心者が「陥りがち」な5つの間違いを解説していく。

間違い#1:商品を短期間で変更し過ぎる

新NISAでは、短期間で商品を入れ替えることが可能になる。しかし、それによって逆に損をしないように注意が必要だ。

現行NISAと異なり、新NISAには非課税投資枠の復活がある。例えば、10万円で買った商品を売れば、その10万円の非課税投資枠が翌年復活するのだ。機動的に売買をしやすくなるといえるが、その分、短期間で商品の入れ替えをする投資に陥りやすいともいえる。

確かに、短期投資が得意な人もいる。なので、頻繁な商品の入れ替えを一概に否定はしない。しかし、そういう投資ができるのは、投資の知識や経験、さらに投資にかけられる時間のいずれも豊富な人だ。投資の知識や経験が十分でなく、投資以外に本業がある人にはおすすめはできない。

新NISA活用でも大事なのは、長期における資産形成の基本だという点を徹底して欲しい。

間違い#2:無計画にいろんな商品を買う

新NISAでは、無計画に商品を買わないようにすることも大事だ。

新NISAでは投資可能額が拡大されて、より自分に合った投資ポートフォリオを組むことができるようになる。だが、これはいろんな商品を買い過ぎてしまうリスクがあると言い換えることもできるのだ。

いろんな商品を買い過ぎてしまうと、ポートフォリオの管理が大変になる。例えば、自分が何に投資をしているか把握しづらくなる、いつどの商品を売ったらいいか悩む、投資のリスクとリターンが自分に合っているか調整するのにも苦労する、といった状態に陥る可能性がある。

ひいては「シンプルに投資をしていた方がよかった」という結果になりかねない。 投資のポートフォリオを見直す予定のある方は、そのポートフォリオで実際に管理しやすいかどうかも考えたうえで設定して欲しい。

間違い#3:無理して金額を積む

新NISAでは、1800万円という非課税投資枠を早く埋めようとして無理な金額を投資してもいけない。

新NISAの運用法に関して、筆者がしばしば耳にするのは、最短5年で非課税投資枠を使い切るのが良いという意見だ。十分な資力があればそれも一案だが、どんなケースでも5年で使い切るのがベストだと誤解し欲しくはない。

現行NISAでは年間の非課税投資枠の上限が決まっていて、未使用分を翌年以降に埋めることは不可能だ。この場合は、年間の非課税投資枠をできるだけ埋めた方がいいという考え方も成立し得る。

しかし、新NISAでは非課税投資期間は無期限に変更になる。そのため、短期間で無理して非課税投資枠を埋める必要はないのだ。

新NISAで投資金額を増やそうと思っている人は、それが自分に合ったペースであるかどうかも慎重に考えた上で検討して欲しい。

間違い#4:投資のリスクを取り過ぎる

新NISAでは投資でリスクを取りやすくなる。だが、その分、リスクを取り過ぎてしまう可能性も出てくる。リスクとリターンのバランスにも注意した方がいい。

新NISAでは、つみたて投資枠を使わず、成長投資枠だけを利用することも可能(1200万円まで)だ。この原則を利用して、例えば、株式投資に比重を置くあまり、自分が取れる以上のリスクを取ってしまうこともあり得る。それによって、かえって資産を減らして欲しくない。

投資の基本は、あくまで長期・積立・分散だということは何度か述べた。成長投資枠を使用して、ある程度のリスクをとって資産形成を目指す場合でも、資産のメインはつみたて投資枠にして、中長期での安定的な資産形成に努めたい。

資産運用の世界では、コア・サテライト運用という投資手法がある。これは、コア部分は長期かつ安定的に運用し、サテライト部分はコア部分よりも高いリターンを求めて積極的に運用すること。そのようにして、資産全体としてのリスクやコストを抑えつつ、相当のリターンの確保も目指すものだ。

新NISAで、今よりリスクを取って投資をすることを検討している方は、この手法も参考にして欲しい。

間違い#5:他人のアドバイスを鵜呑みにする

新NISAでは自由度が高くなる分、運用に頭を悩ます人も増えるだろう。そこで、他人のアドバイスに迎合して、鵜呑みにしないようにも注意したい。

今後、「新NISAでは○○ファンドを買うべきだ」のようなことを主張する人が身近なところで出てきたり、インターネット上でもいろんな意見が出てくることが予想される。自分の投資スタンスがない人は、そういった意見に右往左往して、行き当たりばったりな投資をしてしまいかねない。

その結果、自分に合わない投資をして、期待した通りの資産形成ができなかったり、投資判断にあれこれ悩んでストレスを抱えてしまう恐れがある。

新NISAをどんなスタンスで利用するか決まっていない方は、具体的な投資のやり方の前に、自分がどんな投資スタンスで資産形成していくかを、まずは考えた方が良いだろう。

まとめ

新NISAは自由度が高く、運用方法の選択肢が増えたが、その分頭を使う必要が出てくる。ただ、基本はあくまで長期・積立・分散投資である点は変わらない。

新NISAの活用方法を考えている人は、ここを前提にしつつ、一部をアレンジして工夫すると良いだろう。基本を徹底しつつ、自分に合った無理のない資産形成の計画を立てていって欲しい。

※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。

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