元電通マンが手掛ける「レジャー施設遊び放題」は業界で受入れられるか? 2年で売上数億円に成長

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レジャー施設やエンタメの楽しみ方は、サブスクリプションが主流になるかもしれない。

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遊園地や水族館などのレジャー施設の楽しみ方が変わるかもしれない。水族館や遊園地などの施設に定額で行き放題のサブスクリプションサービス「レジャパス」が勢いを増している。

2022年4月に、遊園地など70施設からスタートした同サービスは、既に700施設が加盟契約した。ユーザー数は非公開だが、2023年は数億円規模の売り上げを見込む。

運営するORIGRESS PARKS(オリグレスパークス)の吉武優社長は「サブスクは業界が落ち目の時に生まれる」とこのエンタメ業界のサブスクに目を付けた。

ラクスルに類似のビジネスモデル

予約画面

「レジャパス」のウェブサイト。気になる施設を選ぶと、利用できる曜日がカレンダーで表示される。

ウェブサイトより編集部キャプチャ

レジャパスは、エンタメのサブスクリプションサービスだ。月額料金を支払うと、加盟している水族館や遊園地などの施設に行き放題(同一施設は月に1回まで)となる。価格は利用できる施設の種類や利用日によって、月額で税込2178円、3278円、4378円の3プランを用意する。

会員がレジャパスを利用して施設に入場すると、施設側に分配金が支払われる仕組み。この金額は、レジャパスが独自の変数に基づいて施設ごとに設定している。

定価の入場料と比較すると施設が得られる分配金は安価だが、コストを抑えて集客ができる点がメリットになる。

顧客がレジャパスを利用して入場できる日時と、1日当たりの人数の上限は加盟施設側が設定する。加盟施設側はこの「利用枠」をレジャパスに提供するという考え方だ。入場者数が少ない平日は多く、土日は少なくするなど、施設の稼働状況に応じて調整できる。

「サブスク(レジャパス)で来るユーザーって、その施設をめがけて来るユーザーと全く別で、本来は来ないであろう層が来場します。新規のユーザーを獲得できて、かつ、売り上げももらえるという仕組みです」(吉武社長)

ビジネスモデルはネット印刷サービスの「ラクスル」に近い。ラクスルは印刷業者が保有する印刷機械の非稼働時間に印刷を依頼することで、低単価を実現している。レジャパスも、形式上はレジャー施設の定員に対する余剰枠を安く譲り受けているわけだ。

転換点は「大手施設を口説けた」こと

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レジャパスのビジネスモデル。

出典:ORIGRESS PARKS

レジャパスが施設に払う分配金は正規チケット料金と比較すると安い。これまでにない形態に、最初は加盟施設を集めるのに苦戦したとも言う。

「最初の方はめちゃめちゃ疑われてたって感じです。

レジャー施設はだいたい、キャパシティに余裕があるんです。例えば東京ディズニーランドでも、常に人が一杯なわけではなく、平日や閉園前は空いていますよね。

そこにお客さんがゼロよりは、少しでも来てくれた方がいいよねという考え方です。

僕らは1000円の定価チケットではなくて、むしろ0円のものをサブスクサービスに開放してもらうという発想です。元々売れない枠を使わせてもらい、本来ならゼロ円のところに送客する。この考え方を理解してもらうのに時間がかかりました」

サンシャイン水族館、よみうりランド、東京タワーの有名施設を口説けたことが転換点となった。今では加盟施設が近隣施設を紹介してくれることもあるという。

加盟施設はシステム利用料などが必要なため、レジャパス経由の来場者が少ない場合は赤字になるケースもある。

施設側はどう受け止めているのか。横浜市の植物園「横浜イングリッシュガーデン」では、来場者の1~2割程度がレジャパスを利用して訪れるという。

担当者は、

「どうしても花の少ない夏と冬の時期は(レジャパスに関する収支が)マイナスになりますが、通年で見ればプラスになっています。来場者が施設内のカフェや店舗を利用してくれることによる二次的な収入も見込んだ上で契約しました」

と話す。

2023年9月時点で、レジャパスに公開されている施設数は約450。サイト上での公開はまだだが、加盟が決まっている施設数を合わせると計700に上る。サービスを開始した2022年4月の70施設から、1年で10倍に増えた。2024年度中に2000施設を目指す。

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