スターバックスの元CEOハワード・シュルツ氏。
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- スターバックスの元CEOハワード・シュルツ氏は当初、フラペチーノの導入に反対していた。
- フラペチーノからは「スターバックスの本質」が顧客に届かないのではないかと、シュルツ氏は懸念していた。
- フラペチーノは今やスターバックスを象徴するドリンクの1つだ。
フラペチーノはスターバックスを代表するドリンクの1つだ。しかし、発売当初は批判の声もあった。当時のCEOハワード・シュルツ氏だ。
コーヒーや氷などをブレンドして作るフラペチーノは当初、シュルツ氏の目には"質の高いコーヒーを届ける"というスターバックスの目標からの"逸脱"と映った。発売から28年後、シュルツ氏はフラペチーノについて自分は見誤ったとジャーナリスト、グラハム・ベンシンガー(Graham Bensinger)氏のインタビューで語った。
「フラペチーノはハワード・シュルツが100%正しくない、間違っていた、議論の間違った側にいたことを示す良い例だと思います」とシュルツ氏は話した。シュルツ氏は今年3月にCEOを退任し、スターバックスのトップとしての仕事を終えた。
クッキー&クリームのフラペチーノ。
Abby Wallace/Insider.
南カリフォルニアのアイデアとスターバックスの買収から生まれた「フラペチーノ」
スターバックス公式サイトの2015年の投稿によると、フラペチーノの歴史は1993年まで遡る。この年、南カリフォルニアにあるスターバックスの従業員ディナ・キャンピオン(Dina Campion)さんが上層部を説得してブレンダーを入手し、ブレンドしたコーヒードリンクを店で作り始めた。
「ブレンドしたコーヒー飲料のようなものを提供している小さなコーヒーショップがいくつかあることに気付いたんです」とキャンピオンさんは話したという。その後、このドリンクは南カリフォルニアの他の店舗でも販売されるようになった。
1994年、同社はスターバックスに懐疑的なジョージ・ハウエル(George Howell)氏が所有するコーヒーショップ・チェーン「コーヒー・コネクション(Coffee Connection)」を買収した。スターバックスによると、同社はその際、コーヒー・コネクションがソフトクリームマシンで作っていた冷たいコーヒー飲料「フラペチーノ」の権利も手に入れたという。
この時点で、スターバックスはフラペチーノを全国展開するのに必要な全てのピースを手にした。フラペチーノ支持派は、このドリンクがスターバックスに若い消費者を呼び込む素晴らしい方法で、普通のコーヒーでないものを求める顧客にもぴったりだと考えた。
フラペチーノが「スターバックスの本質」をダメにする?
だが、シュルツ氏は納得していなかった。
「テイスティングが始まって、純粋主義なわたしは『どうしてわたしたちはこれをやろうとしているんだ? フラペチーノの会社にはなりたくない。うちはコーヒーの会社だ』と言ったんです」と同氏はベンシンガー氏に語った。
「最初にフラペチーノを届けたら、人々にスターバックスの本質をよく理解してもらえないのではないかと不安だったというのもあります」
シュルツ氏は渋ったものの、スターバックスは1995年、アメリカとカナダでフラペチーノの提供を始めた。この年の夏、フラペチーノは同社の売り上げの11%を占めた。
Beverage Onlineによると、スターバックスは1996年、瓶入りのフラペチーノを発売。その後、"瓶入り"だけで10億ドル規模のビジネスに育ったとシュルツ氏はベンシンガー氏に話している。
上海のスーパーで販売されている瓶入りの「フラペチーノ」。
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冷たいドリンクは今や、スターバックスの売り上げの約75%を占めている。中でも、Z世代は伝統的なホットコーヒーよりも冷たい飲み物が好きだ。フラペチーノにはモカ・クッキー・クランブルからコーヒー抜きの抹茶クリームまで、今ではさまざまなフレーバーもある。
「フラペチーノはスターバックスにとって、数十億ドル規模のビジネスになったんです」とシュルツ氏はベンシンガー氏に語った。
「わたしが間違っていました。良い教訓になったと思います。やはり顧客は常に正しいのです」