世界最大の“環境起業家”発掘コンペ日本大会。名古屋発「産廃アップサイクル」ベンチャーが優勝し、アジア大会へ

Climatelaunchpad 2023 Japan JOYCLE PDIE Group

「Climate Launchpad2023」日本大会で優勝したJOYCLE。

提供:PDIE Group

気候変動問題の解決に向け、世界のスタートアップを発掘するEU発の国際コンペ「Climate Launchpad(クライメート・ローンチパッド)2023」日本大会が開催された。

クライメート・ローンチパッドは、約60カ国で開催される世界最大の環境ビジネスコンペだ。

狙いは、環境・気候変動問題の解決に挑むプレシード期(企画段階)からアーリー期(創業初期)の有望な起業家の発掘。ブートキャンプやコーチングといったトレーニングに加え、トーナメント方式のピッチコンテストを通して世界に通用する起業家を育成している。

日本大会は今年で3回目だが、これまでに、果物残さを使った土壌改良剤で知られる沖縄発のスタートアップ・EFポリマーが2019年のグランドファイナル(決勝)で炭素技術賞を受賞するなど、日本ともゆかりが深い。

2023年は世界58カ国が参加。目下、国別大会が各国で順次開催されている。

その一つ、8月26日に行われた日本大会は、今年もPDIE(Purpose Driven Innovation Ecosystem)グループが主催。前回より2チーム多い10チームが最終ピッチを行い、アジア太平洋大会進出をかけて競い合った。

名古屋発「産廃アップサイクル」とは?

審査の結果、IoTセンサーを使った産業廃棄物アップサイクル(資源化)プラントをPaaS(Plant as a Service)モデルで提供するJOYCLE(ジョイクル)が1位を獲得。

2位に「資源大国日本」を目指し海水から水素を生成するAonbarr(アンヴァール)、3位に有機農業向けの堆肥を製造・販売するSilent Profession(サイレント・プロフェッション)が選ばれた。

Climatelaunchpad 2023 Japan JOYCLE PDIE Group Aonbarr  Silent Profession

アジア大会進出を決めたJOYCLE(中央3人)と、Aonbarr(アンヴァール、左)、Silent Profession(サイレント・プロフェッション、右)。

提供:PDIE Group

1位のジョイクルは2023年、「資源と喜び(JOY)を循環させる(CYCLE)社会を創造する」をミッションに愛知県名古屋市で創業した。

人口減少にともない、ごみの収集や埋め立てが難しくなりつつある地域を対象に、産廃をバイオ石炭などに再資源化する小型アップサイクルプラントサービスを提供。今後、アップサイクルによる温室効果ガス削減をカーボンクレジットとして販売することも目指している。

今回のローンチパッドでは、同社がアップサイクルプラントサービスの第1ターゲットとしている医療廃棄物分野を中心にピッチを行った。

サービスの特徴は大きく2つ。1つは、病院にオンサイトの小型プラントを設置し、バイオ石炭などに再資源化するという点。もう1つは、プラントに搭載したIoTセンサーでデータを収集し、病院側がプラントの運転状況や再資源化の状況を把握しやすいようダッシュボードの形で可視化しているという点だ。

これらにより、従来型のプラントと比べてCO2排出量を約70%削減できるという。

今後ダッシュボードのUI向上やプラントの低下価格化、販路の拡大などにより、10年後に売上高400億円を目指す。

今年のピッチ「完成度高かった」

Climatelaunchpad2023 PDIE Group

今回の日本大会は、昨年より2チーム多い10チームが最終ピッチを行った。

提供:PDIE Group

前回に続き審査員を務めたBusiness Insider Japanブランドディレクターの高阪のぞみは、今回の日本大会について「昨年に比べ、エネルギーや食料・食品廃棄問題など、各チームがターゲットにしていた社会課題に手触り感があり、すぐにもビジネスとして進めていけそうな完成度の高いものが多かった」とコメントした。

今回選出された上位3チームは、11月に開かれるアジア太平洋大会に進出。各国の大会を勝ち上がってきたチームに挑む。

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