LGBTQコミュニティ向けの出会い系アプリ、グラインダー。
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- 出会い系アプリを運営するグラインダーは、オフィス勤務の義務化を通告をした結果、約半数のスタッフを失った。
- グラインダーは従業員に対して、週2日オフィス勤務をしなければ解雇すると通告した。
- 全米通信労働組合によると、同社の178人の従業員のうち約80人がオフィス復帰命令を拒否したという。
出会い系アプリを運営するグラインダー(Grindr)は、週2日のオフィス復帰を通告したことによって、従業員の約半数を失ったという。
2023年8月、LGBTQ+(性的少数者)コミュニティ向けの出会い系アプリを運営する同社は、従業員に対し、同年10月から週2日オフィス勤務することに同意しなければ、8月31日以降に解雇すると通告した。
グラインダーは従業員に、オフィスのあるシカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコ・ベイエリアの3カ所の近くに転居して働くことを決めるための猶予を2週間与えた。
グラインダーの従業員178人のうち約80人が転居を拒否して解雇されたと9月6日に全米通信労働組合(CWA)が声明で発表したとブルームバーグ(Bloomberg)が報じた。
ブルームバーグによると、2023年7月にはグラインダー・CWA組合(Grindr United-CWA)が結成され、現在、CWAが、全米労働関係委員会(NLRB)に不当労働行為で2件の告発を行ったという。
CWAは2023年8月のニュースの更新情報で、「この決定は、担当チームのオフィス近くに居住していない何十人もの労働者の生活を脅かすものだ」と述べている。
グラインダーの担当者は、労働組合の主張にはメリットがなく、従業員は「2023年10月にハイブリッドでオフィスに復帰する」とブルームバーグに述べた。
Insiderはグラインダーに通常の勤務時間外にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
ワイアード(Wired)が報じたところによると、グラインダーは同社に残る従業員に対しては転居費用の援助を申し出ており、退職する従業員には6カ月分の給与を支給しているという。
グラインダーは2022年11月に21億ドルの契約でブランク・チェック・カンパニー(白紙小切手会社)のティガ・アクィジション・コープ(Tiga Acquisition Corp)と合併した。前所有者の中国のゲーム会社クンルンテック(Beijing Kunlun Tech)は、対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the United States)が同社を国家安全保障上のリスクと認定したため、2020年にデラウェア州を拠点とするサン・ヴィンセント・アクィジション(San Vicente Acquisition)にグラインダーを6億900万ドルで売却せざるを得なくなっている。
メタ(Meta)、グーグル(Google)、アマゾン(Amazon)などオフィスへの復帰(RTO)の命令を出す企業が増えていることは、現在テック業界で話題となっている。
グーグルは2022年4月から週3日オフィスに出勤するよう従業員に指示しており、メタも同年6月にこれに続いている。メタもグーグルはともに従業員の出勤状況を監視しているという。