アメリカの株価は「9月効果」に打ち勝つのか…専門家の意見は分かれている

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(Photo by Drew Angerer/Getty Images)

  • 9月は歴史的に「セプテンバー効果」として知られる、株式にとって一年で最悪の月と考えられている。
  • しかし2023年は、アメリカ株が同じパターンを繰り返すのか、それとも逆らうのかについて市場専門家の意見は分かれているようだ。
  • 専門家5人による、9月以降の株価の方向性の予想を紹介しよう。

9月は歴史的に株安の月だが、統計的なこと以外に説明できる理由はない。この現象には「セプテンバー効果」というニックネームさえある。

CFRAリサーチのデータによると、1945年以来、S&P500種指数は1年の9カ月目に平均0.7%下落している。2023年9月はこれまでに1%以上下落している。

米国株がこのパターンを繰り返すかどうかについては、市場の専門家の間でも意見が分かれている。エコノミストのエド・ヤルデニ(Ed Yardeni)を始めとする何人かは、悪い結果を覚悟しているようだが、一方で市場は今度こそトレンドに逆らうことができると考えている人もいる。

ここでは、5人の専門家による9月とその先の株価の予想を紹介する。


エド・ヤルデニ(Ed Yardeni):ヤルデニ・リサーチ(Yardeni Research)

「日曜日、9月はリンゴ狩りに適した月だと確認できた。9月が株にとって不運な月であることは広く知られており、1928年以来、9月の55%はそうだった」とヤルデニは顧客向けメモで述べている。

しかし、9月は株式にとって不運な月であるにもかかわらず、典型的な「年末のサンタクロース・ラリー」の前に割安な株式に投資する良い機会でもあるとヤルデニは述べている。

ヤルデニは、9月を投資家にとって不運に月にする可能性のある事象として、原油価格の上昇、インフレリスク、中国経済の失速を挙げた。


トム・リー(Tom Lee):ファンドストラット(Fundstrat)

より楽観的な見方をするファンドストラットのトム・リーは、歴史的に弱い9月にも株式市場が持ちこたえる可能性がある3つの理由を指摘している。

1つ目は、季節的傾向の分析だ。リーによると、1950年以降、8月に株価が10%以上上昇し、9月の最初の3日間で下落した月は8回あった。その8回のうち5回は、9月の残りの期間に株価が上昇した。

「だから、希望を失ってはいけない」

また、リーは8月に入ってからの米国株の下落を指して、オプション市場における投資家のポジション動向は「この売り越しが終わりに近づいている」ことを示唆していると述べた。

さらに、中古車価格の下落はインフレ圧力の緩和を示しており、その結果、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ圧力が弱まる可能性があると付け加えた。

「要するに、9月は厳しいスタートだったということだ。(9月の)最初の3日間が好調であったことを考えれば、残念なことだが、株価が下落したからといって、今月の残りの期間が期待外れということにはならない」


バンク・オブ・アメリカ(Bank of America) 

バンク・オブ・アメリカのテクニカル・ストラテジスト、スティーブン・サットマイヤー(Stephen Suttmeier)はInsiderが入手したメモの中で、「S&P500が1月から8月にかけて10%から20%上昇するのが、9月以降の期間にとって最も良い展開だ」と述べている。S&P500指数は、2023年の最初の8カ月間に約17%上昇した。

「これが2023年のシナリオだ」とサットマイヤーは付け加えた。今年ここまでのAIを活用した上昇が株価を押し上げ、さらなる上昇を示唆していると同氏は述べている。


ジェレミー・シーゲル(Jeremy Siegel):ウォートンスクール教授

シーゲルは、9月以降の株式の長期的な動向について語った。アメリカの株式市場は底堅い地合いにあり、住宅市場は住宅ローン金利の急上昇を今のところ食い止めているという。

「株式はここで持ちこたえることができるだろう」と、ウォートン校の教授は9月初め、ポッドキャスト「ビハインド・ザ・マーケッツ(Behind the Markets)」で語った。インフレ率が低下しているため、FRBが金利を引き上げる可能性が低くなっているからだ。

「FRBが9月に利上げする可能性はほとんどなくなり、実際、11月の利上げも怪しくなっている」


デビッド・ローゼンバーグ(David Rosenberg):ローゼンバーグ・リサーチ(Rosenberg Research)

対照的に、トップエコノミストのローゼンバーグは、以前から株の暴落が迫っていると警告してきた。ローゼンバーグは、アメリカ経済は春までに崩壊し、S&P500種株価指数が25%暴落すると予測している。

彼は最近、ポッドキャスト「WTFinance」で、「2024年の第1四半期までにこの不況が起こらなかったら、顔に付いた卵を拭きながら、『私は間違っていた。景気循環は廃止された』と報告書を書くつもりだ」と語った。

アメリカ人はパンデミックによる貯蓄を使い果たしつつあり、学生ローンの返済が消費者をさらに圧迫することになるだろうと彼は付け加えた。

「電池が切れてしまうと思う。消費不況は避けられない。問題は、それがどの程度悪化するかだけであり、起こるかどうかではない」

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