着るだけで疲労回復できる──そんな効果を謳う「リカバリーウェア」が人気だ。
業界大手のTENTIALは12日に会見を開き、赤ちゃんの睡眠の質を向上させることで、子育て世代の寝不足を防ぐ「ベビー用品」を発表した。また“ホワイト企業”として名高いNTT東日本社員の睡眠が同社のパジャマを着用してどのように変化したのか、検証実験の結果を発表した。
我々はアパレル企業ではない
撮影:竹下郁子
TENTIALの主力商品は、睡眠時に着用するパジャマなどの「BAKUNE」シリーズだ。特殊な繊維を用いて全身の血行を促進することで、体の疲労やコリを軽減するという。
これまでは商品を一般医療機器として届け出ていたが、2022年10月に日本医療機器工業会が新設した家庭用医療機器の区分「家庭用遠赤外線血行促進用衣」 (遠赤外線の血行促進作用によって疲労などの改善を目的とする衣類)の届出に切り替えたという。
リカバリーウェア「BKAUNE」シリーズが好調のTENTIAL・中西裕太郎CEO。
撮影:竹下郁子
TENTIALでR&Dを担うCROの舟山健太氏は、
「我々はアパレル企業だとは思っていない。健康を届ける企業だ。エビデンスを取得することが重要で、大学などと連携しながら、引き続きR&Dを経営戦略の柱に据えていく」
と語った。
創業は2018年。2021年に販売開始したBKAUNEシリーズの累計販売数は、CEOの中西裕太郎氏によると、20万枚を超えて30万枚に迫る勢いだという。
また、ARR(年間経常収益)を「3倍(Triple)→3倍→2倍(Double)→2倍→2倍」と毎年増やしていく「T2D3」のような成長ができているそうだ。
ホワイト企業でも社員は睡眠に課題
提供:TENTIAL
会見ではNTT東の社員30人にリカバリーウェアを7日間着用してもらい、睡眠がどう変化したかの検証結果も発表された。
全国1万人のビジネスパーソンの睡眠を測定して独自に算出した、睡眠の質をはかる指標「睡眠偏差値」では、リカバリーウェア利用前は平均値50.0を下回る46.5だったが、利用後は6ポイント増の52.5に変化。
詳細は上の図にゆずるが、睡眠時間は6時間7分から32分増え6時間39分に、日中の眠気は6.1ポイント、日中の生産性は5.6ポイント、ストレスやモチベーションは2.2ポイント改善していた。
TENTIALと今回の実験を共同で実施した、睡眠ビジネスを行うNTT東日本の子会社・NTT DXパートナーの梅田貴大さんは、次のように話す。
「我々はホワイトな会社だというイメージもあるかもしれないが、睡眠についてはよくない状態の人もいた。それが改善された」
日中の眠気による経済損失、1人年間46万円
NTT DXパートナーの梅田貴大さん。
撮影:竹下郁子
さらに、こうして睡眠偏差値と睡眠時間が改善することによって、1人あたりの睡眠不足による年間の損失額が、22.6万円縮小する試算だという。
「我々の平均年収が800万円として独自の指標で試算すると、リカバリーウェア利用前は1人あたり年間46.9万円の経済損失だったのが、24.3万円になり、少なく見積もっても年22.6万円が解消されたことになります」
健康経営の意識の高まりもあり、リカバリーウェアを福利厚生として導入することを検討中の企業もあるそうだ。
赤ちゃんの睡眠の質向上させ親の寝不足解消へ
撮影:竹下郁子
新商品として、子育て世帯に待望だったというベビー用品の発売も控える。
商品はスリーパーとブランケットの2種類。「子育てに奮闘する両親がゆっくり休めるよう、赤ちゃんの眠りを支える」というコンセプトで、親と赤ちゃんが同じ寝室で寝ることが多く、夜泣きに悩む人が多い日本ならではの製品だという。